分からない分、何でもできる。新しく勉強し始める時が一番自由だ:Go AbekawaのGo Global!〜ダニーさん from イギリス(後)(2/3 ページ)
グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。前回に引き続き、アクトビのフロントエンドエンジニア、Daniel Parsons(ダニエル・パーソンズ)さんにお話を伺う。何事にも軽いフットワークで対応するダニーさんは“失敗”をどう捉えているのか。
「何を学ぶか」ではなく「何をしたいのか」で考える
阿部川 今、とっても楽しくて仕事をしていると思うのですが、これからもずっとエンジニアをしたいと思っていますか。10年先こんなことやってみたいとか、そういう思いはありますか。
ダニーさん 仕事以外でいえば、以前から作曲とかやっていたので、クリエイティブなことに興味がありますね。何かを作ることを大事にしているので、そういったことにもチャレンジしたいと思っています。仕事面でいえばマネジメントというか「人を集めてものを作る」というスキルを身に付けたいと思っています。最近気付いたことですが、自分だけでやれることには限界がありますよね。プロジェクトとか1人じゃ難しいですし。ですから、そういったことができるようになりたいです。
阿部川 ぜひ勉強してください。組織論とかリーダーシップとかマネジメントとか、学んでいて楽しいことはいっぱいありますよ。
ダニーさんは短い時間に集中してプログラミングを学び、IT業界に来ましたが、エンジニアの中には、ある一定期間は「仕事をしながら学ぶ」という人も多いと思います。でもそうしていると「俺、このままエンジニアリングやプログラミングの仕事をずっとしていくのかな」と思う瞬間があると思います。例えば、仕事する時間が長過ぎるとか、新しいことを勉強できないとか。そういった、エンジニアとしての下地を作っている人に対して、ダニーさんから何かアドバイスはありますか。
ダニーさん 僕も勉強し始めたころに言われたのですが「プログラミング自体に集中するのはよくない」ということです。なぜかというと、言語の勉強って、どこから始めていいか分からないじゃないですか。だから、いきなりプログラムの勉強をするのではなく、「こういうWebサイトを作る」「このプロダクトを作る」などの目標を立てた方がいいですね。そうすると、どこから入ればいいか、何となく明確になります。
僕が勉強し始めた時にも「Python」か「JavaScript」か「Java」か。どこから始めればいいのか分からなかったんです。その時イベントで会った友達から「言語から考えちゃ駄目。何を作りたいかをちゃんと決めること」とアドバイスされました。作りたいもの、つまりデザインを作るだけでも成長にはつながります。今でも、すごく大事なアドバイスだったと思うので、皆さんにも伝えたいです。例えば僕だったら、スペイン語のWebサイトを見て、かっこいいなと思い、これを作るならPython知らなきゃなとか、そういうことです。
阿部川 「まず、何をやりたいか」という目的ですね。それがとても大事。それがしっかりしていて自分のやりたいことだったら、ちょっと大変なことも耐えられるということですね。
ダニーさん はい。自分が作りたいものを作れるから達成感が全然違う。オンライン授業などでプログラムを勉強しているだけの人は勉強してテスト受けてそれが終わっても「何か足りない」と感じるのではないでしょうか。きっとそれは、自分がやりたいことをやってないからです。
このお話を聞いて、SES(System Engineering Service)の会社にいたころのことを思い出しました。勉強の時間、ということで入社して6カ月の間、放置されていたんです。案件がなかったのでしょうね。勉強して資格を取りまくってそれなりに知識も付いたのですが、楽しくはなかったです。ただ勉強するのではなく、自分が何をしたいのか、は大切ですね。
もう一つ。会社に入って仕事をすると、プロジェクトに関して「これって本当にユーザーが集まるのか」とか、「現実的に作れるのか」といったそういう“問い”がたくさん出てきます。そうした問いは、勉強しているときにはないものです。だからこそ、何でも作れる。そういうのは勉強し始める時にしかできないことなので、それを若いエンジニアに知っていてほしいと思います。
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