Google、パスワードに代わる認証方式「パスキー」のアップデートを発表 「4億以上のGoogleアカウントがパスキーで保護」:「高度な保護機能プログラム」でパスキーに対応
Googleは、パスキーのアップデートとクロスアカウント保護機能プログラムの拡大を発表した。Googleによると、4億を超えるGoogleアカウントで、10億回以上のユーザー認証にパスキーが使用されてきたという。
Googleは2024年5月2日(米国時間)、パスワードに代わる認証方式「パスキー」のアップデートとクロスアカウント保護機能プログラムの拡大を発表した。
Googleによると、2022年5月5日の世界パスワードデーにパスキーを発表して以来、4億を超えるGoogleアカウントで、10億回以上のユーザー認証にパスキーが使用されてきたという。
「パスキーは使いやすく、フィッシングに強く、指紋、顔スキャン、PINのみで認証できるため、パスワードよりも50%高速だ。現在のGoogleアカウント認証には、パスキーが日常的に使用されている。利用数は、SMSワンタイムパスワード(OTP)やアプリケーションベースのOTP(「Google Authenticator」など)といった従来の2SV(2段階認証)の合計よりも多い」とGoogleは述べている。
Googleの発表内容は以下の通り。
クロスアカウント保護の拡大
クロスアカウント保護は、不審なイベントに関するセキュリティ通知を、Googleアカウントにリンクされている他のアプリケーションやサービス上で共有する機能だ。
Googleは現在、340万のアプリケーションとサイトにおける24億のアカウントを保護しており、今後1年間で、同機能のパートナーシップとサポートを拡大していく計画だ。
ハイリスクユーザー向けの保護プラグラムでパスキーに対応
間もなく、Googleが提供する「Advanced Protection Program」(高度な保護機能プログラム)の登録に、パスキーを使用できるようになる。
同プログラムは、選挙運動員や候補者、ジャーナリスト、人権活動家など標的型攻撃のリスクが高いユーザーの保護を目的として無料で提供されている。ユーザーはハードウェアセキュリティキーに加えて任意のパスキーで登録できるようになるという。
Googleは「Defending Digital Campaigns、International Foundation for Electoral Systems(IFES)、Asia Centre、Internews、Possibleのような専門家と協力し、世界のハイリスクユーザーの保護を支援し続ける」と述べている。
独立系パスワードマネジャーがパスキーの管理に対応
1PasswordやDashlaneなどの独立系パスワードマネジャーベンダーが、Androidやその他のOS上で、Googleが提供するパスキー管理APIを活用し、パスキーの保管や管理に対応している。Googleは「この重要なマイルストーンは、セキュリティキーにパスキーを保存する機能とともに、ユーザーにより多くの選択肢を与えることになるだろう」と述べている。
パスキーを採用するパートナー企業の拡大
Googleがパスキーを発表して以来、さまざまなパートナー企業がパスキーを導入し、プラットフォームを超えてユーザーのセキュリティを強化している。過去12カ月間で、Amazon.com、1Password、Dashlane、Docusign、KAYAK、Mercari、Shopify、Yahoo! JAPANがパスキーを導入している。
Googleは、パートナー企業の声を次のように紹介している。
- 「パスキーのおかげで、顧客がパスワードやコードよりも簡単にサインインできるようになった」(Amazon.com)
- 「同期可能なパスキーの登場は、Dashlaneがパスワードレステクノロジーに全面的に乗り出すきっかけとなった。Dashlane、Googleとその他の業界パートナーは、同期可能なパスキーの強化に向けて継続的に協力している。ユーザーがプロバイダーを変更した場合にパスキーを安全に移行できるようにするなど、多くの機能強化を予定している」(Dashlane)
- 「2023年、KAYAKではAndroidやその他のモバイル、Webアプリケーションにパスキーを統合した。その結果、ユーザーのサインインにかかる平均時間は50%短縮し、サポートチケットも減少した」(KAYAK)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AppleやGoogleが対応を進める「パスキー」とは? FIDOアライアンスが仕組みを解説
AppleやGoogleも一気に対応を進めつつある「パスキー」。具体的にどのような仕組みなのか? パスワードレスの技術として広まってきた従来のFIDO認証とは何が違うのか? Interop Tokyo 2023でFIDOアライアンスの土屋敦裕氏が解説した。 - 個人のGoogleアカウントで「パスキー」が利用可能に パスワードより強力な理由とは?
Googleは個人のGoogleアカウント向けにパスキーを作成、使用できる機能の提供を開始した。パスキーを作成して利用する場合、ログイン時にパスワードや2段階認証は不要になる。 - パスワードに代わる認証方式「パスキー」に関する7つの誤解 1Passwordが解説
1Passwordは、パスワードを必要としない認証方式として注目される「パスキー」の仕組みに関する7つの誤解を公式ブログで紹介した。