4047社に聞いた「DX推進」のリアル IPAが2023年版の分析レポートを発表:各企業の「DX推進指標の自己診断結果」を分析
IPAは「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2023年版)」を公開した。DX推進指標に基づいて日本企業が提出した自己診断結果を分析した。中小企業は大企業に比べて、相対的に成熟度レベルが低いことが分かった。
情報処理推進機構(IPA)は2024年5月30日、「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2023年版)」を公開した。同レポートはDX(デジタルトランスフォーメーション)推進指標に基づいて日本企業が提出した自己診断結果を分析したもので、2019年版から毎年公開している。2023年版は、過去最多となる4047社の結果を分析した。
「企業はデータを活用した事業運営に積極的に取り組んでいる」
自己診断結果を提出した企業は、2019年版の248社から約16倍に増加。IPAによると2022年に、ものづくり補助金の申請の一部で「DX推進指標の提出」が要件となったことが影響しているという。2019年版では全体の7割以上が大企業だったが、2023年版は全体の約9割を中小企業が占めている。
現在値の平均が最も高い指標は「9-4 データ活用の人材連携」で1.59だった。IPAは「上位5指標を見ると、企業はデータの重要性を理解し、外部と連携しながらデータを活用した事業運営に積極的に取り組んでいる」と分析している。
現在値の平均が最も低い指標は「4-3 評価」の1.00。下位となった指標についてIPAは「システムや外部との連携に積極投資している一方で人材の確保、育成、評価といった人材面全般の取り組みと投資意思決定や予算配分の仕組みの構築が進んでいないか、課題を抱えていることが分かる」としている。
現在値の平均を中小企業と大企業で比べると、中小企業の1.14に対して大企業は2.11。約1ポイントの差があり、中小企業は相対的に成熟度レベルが低かった。IPAは「DXを実現するIT関連の取り組みは中小企業でも進められているものの、DX推進のための経営の在り方を変革する取り組みが進んでいないか、現在進んでいるさなかだ」と分析している。
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