AIエンジニア 安野たかひろさんに学ぶ「周囲を巻き込むコミュニケーション」:仕事が「つまんない」ままでいいの?(115)(1/2 ページ)
エンジニアは、周囲と良好な関係を築き、時に協力しながら、巻き込みながらものごとを進めていきます。そのためには、何を意識したらいいのでしょうか。都知事選に出馬されたAIエンジニア 安野たかひろさんのプレゼンテーションから学びます。
「東京都知事選挙、早く終わらないかなぁ」――誤解を恐れず正直な気持ちをお話しすると、ぶっちゃけ、こう思っていました。6月下旬のことです。
だからといって、都知事選にまったく興味がなかったわけではありません。僕は新潟県民なので投票権はないものの、東京は日本でもっとも人口が多い都市です。その影響はきっと地方にもあるでしょう。また、都知事選には著名人も多く出馬しています。「次の都知事は誰になるのかな?」といった、小さな関心はありました。
ですが、僕は選挙中の雰囲気がどうしても好きになれませんでした。自分の正しさを主張するために他の候補者を批判したり、嫌みを言ったりする言動があまり好きではないからです。また、ネット上でも「○○候補の□□はけしからん!」といった、ネガティブな声があふれます。見たくなくても、自然と目に入ってしまいます。
そのために、早く平穏な日常に戻ってほしかったのです。でも……。
実は、終盤の数日は少し気持ちが変わりました。それは、知人から、AI(人工知能)エンジニア 安野たかひろさんの「人が巻き込まれていく面白さ」の話を伺ったからです。僕は安野さんのことを存じ上げていませんでしたが、彼のプレゼンテーションを聞いたら確かに興味が湧いたのです。
そこで今回は、安野さんの「AIエンジニア発、コミュニケーションの話」をしてみます(選挙結果の是非や政策の話には触れません)。
「AIエンジニア発のコミュニケーション」は、なぜかスーッと入ってくる
先の知人によれば、「安野さんの存在の広がり方は、他の候補者とは違う」そうです。知人の言葉をそのまま借りると……。
「選挙といえば普通は、大物政治家や著名人が駆け付けては『○○さんをお願いします!』と大きな声を張り上げるじゃないですか。でも、安野さんたちは違うんです。安野さんの友達が応援しているんです。あと、奥さんのプレゼンも秀逸なんです。『安野たかひろはけんかができない』なんて言うんですよ。普通、選挙のときにそんなこと言います?」
この話を伺った段階では、まだ「へぇ、そうなんですか〜」という感じでした。でも、気になったのでネットで調べてみたんです。そして何本か街頭演説の動画を見てみると……。
知人の「安野さんの存在の広がり方は、他の候補者とは違う」という話に合点がいきました。安野さん自身の「話の分かりやすさ」はもちろんですが、ご友人の皆さんの話も、「清き一票を!」と声を張り上げるわけでも、お願いするわけでもないのに、話の内容がなぜかスーッと入ってくる。
この様子を見て思いました。「これは選挙だけではなく、仕事上で信頼関係を構築する上でも、とても大切なポイントが詰まっているのではないか?」と。
なぜならば、ビジネスやエンジニアリングの世界でやりたいことを実現し、そのための環境を整えていくには、自分の主張を分かりやすく伝えたり、周囲から理解を得て応援してもらったり、時に折衝したり……といったことが必要なケースが多いからです。
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