「Z世代さん」はいない――「何を考えているのか分からない」と嘆く前に:仕事が「つまんない」ままでいいの?(111)(1/3 ページ)
世代間ギャップに悩む管理職、リーダーの皆さん。メンバーと話をしていますか?
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2022年5月に『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本』(翔泳社)という書籍を出版させていただいてから、講演などで管理職やリーダーの皆さんとお話しさせていただく機会が増えました。多くの方が、若い世代との間にギャップを感じているようです。
「最近の若い世代は……」といった話は以前からあったように、世代間ギャップ自体は、今に始まった話ではありません。しかし、多くの管理職やリーダーが、若い世代とのギャップに悩んでいます。課題感としてよく伺うのは、以下のような内容です。
- 最近の若い世代は何を考えているのかよく分からない
- パワハラ、モラハラと言われないか心配。用心しながら話しているが、うまい距離感をつかめない
- やりとりがメールやチャットばかりで会話が少ない。なぜ話してこないの?
- 飲みニケーションに誘いづらい
- 報告、連絡、相談をしてこない
- 優しく接しているつもりだが、若手社員が離職してしまう
課題を見てみると、単なるコミュニケーションの問題というよりも、パワハラ防止法のような、労働環境における法律の変化や、業務上における情報共有や連絡手段の変化、在宅勤務やテレワークなど働き方の変化など、これまで管理職やリーダー世代が経験してきた関わり方、働き方が通用しないことが原因のようです。
「世代をひとくくりにした情報」も問題
また、個人的には「世代をひとくくりにした多くの情報」も、世代間ギャップを広げる要因の一つになっているのではないかと思っています。
例えば、「若い世代は飲みに行きたがらない」は以前からよく聞く話です。ただ、個人的には「本当かな?」と、情報の真意を疑っています。
というのも、「お酒が好きな人、苦手な人」は世代に限らずいるでしょうし、「小人数ならいいけれど大人数は苦手な人」「お酒を注ぎに回るのが好きな人、自分のペースで飲みたい人」「尊敬できる人ならいろいろな話をしたい&聞きたいけれど、苦手な人とは同じ時間を過ごしたくない人」といった得手不得手は、年齢にかかわらずあると思うからです。
以前『若い世代は本当に「飲みニケーションが苦手」なのか調べてみた』という記事で、年代によって飲みニケーションの意識に対して差があるのかどうか、幾つかのデータを調べたことがあります。すると、年代によって大きな差はありませんでした。
また、最近では「Z世代は文章の最後に句読点の『。』が書かれていると怖く感じる」という「マルハラ」や、「Z世代はタイパ(タイムパフォーマンス)重視」といった、ある世代をひとくくりにして、「○○世代は□□だ」のように決め付ける情報が多くあります。
一部では、そういう意見もあるのかもしれませんが、「これ、本当かな?」と、首をかしげたくなる情報もあります。
そういった情報を見たら、僕は大学生の娘に「Z世代は〇〇って記事を見つけたんだけど、実際はどう?」と聞いています。すると「そんなことを言っている人は周りにいないよ」みたいなケースがとても多いのです。
しかし、ネットやメディアでそのような情報があると、それをうのみにして「そうか、最近の若い世代は飲みに行きたがらないのか」「Z世代は『。』が苦手なのか」と、つい遠慮したり、過度に気を遣ったりしてしまう……そういった「世代をひとくくりにした情報」の弊害も、多く発生しているのではないでしょうか。
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