就業者の54%が「大半のタスクをAIと共同で実施」と回答、一方で「人間のみを信頼する」タスクは? Salesforce調査:何年たてばAIを信頼できるのか
セールスフォースは、欧米で実施した自律型AIに関する調査の結果を発表した。それによると仕事上のタスクをAIに任せる動きが広がりつつあり、回答者の約半数が、大半のタスクをAIと共同で実施していることが分かった。
セールスフォース・ジャパンは2024年7月25日、自律型AI(人工知能)に関する調査の結果を発表した。これは米国、英国、アイルランド、オーストラリア、フランス、ドイツ、インド、シンガポール、スイスでフルタイムで働く就労者を対象に実施した調査で、約6000人から有効回答を得た。それによると、8割近くの人が自律型AIの未来を信頼していることが分かった。
なお、ここでいう自立型AIとは「人間の直接的な介入なしで作業を遂行する能力を持ったAI」、もしくは「コードの作成、データインサイトの発見、文書作成などの複雑なタスクを自動的に処理する能力を持ったAI」のことだ。
46%が「社員研修は人間が実施するものだけを信頼する」と回答
Salesforceの調査によると、就業者は既に仕事の半分近くをAIに任せている。ただし、全ての業務をAIに委ねているわけではなく、社員研修やトレーニング、データの安全性確保といった任務については「人間が監督すべきだ」と考えているようだ。
調査結果によると、就業者は約43%の仕事をAIに任せている。AIへの信頼度はリーダー層の方が高いようで、AIに任せている仕事量の割合は、一般の従業員の40%に対してリーダーは51%だった。自律的なAIの動作については「(自律的なAIの動作を)信頼している」と回答した人の割合は10%。「今後3年未満で信頼できるようになる」と回答した人は20%。「3年以上たてば信頼できるようになる」と回答した人は41%だった。
「大半のタスクをAIと共同で実施している」と回答した就業者の割合は54%。タスクのうち、自律型AIに全て任せても問題ないと考えられているタスクの上位には「データインサイトの発見」(13%)、「コードの作成」(12%)、「コミュニケーション用文書の作成」(12%)、「パーソナルアシスタントの役割」(12%)などが挙がった。
これに対して「人間のみを信頼する」と回答した人の割合が高いタスクは、「インクルーシブであること(包括的な環境づくりをすること)」(47%が人間のみを信頼)、「社員研修とトレーニング」(同46%)、「データの安全性確保」(同40%)だった。
一方、調査結果からは、理解不足からAIに対する懸念が生じている可能性があることが明らかになった。「自分の職場でAIがどのように導入され、管理されているのか知らない」と回答した人の割合は54%。そして自分の職場でAIがどのように導入され、どのように管理されているか知っている就業者は、知らない就業者と比べて、「今後2年以内に自律的なAIの動作を信頼できるようになるだろう」と回答した人の割合が5倍高かった。
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