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プライム市場上場企業は生成AIをどのくらい活用しているのか? デロイト トーマツ調査「生産性向上を実感する企業が増えている」

デロイト トーマツがプライム市場上場企業の生成AI活用状況に関する調査結果を発表した。それによると回答者の47%が生成AIを全社導入していることが分かった。

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 デロイト トーマツ グループは2025年8月28日、プライム市場(東京証券取引所の上位の株式市場)の上場企業における生成AI(人工知能)の導入に関する調査結果を発表した。対象は、プライム市場に上場しており、売上高1000億円以上の企業で部長以上の役職に就く人で、700人から有効回答を得た。

「生産性は変わらない」という回答が減少、これは何を表す?

 調査結果によると、回答者の97.7%が「生成AI導入は有益だ」と答えている。これは前回調査(2024年調査)の94.3%から3.4ポイント上昇した。生成AIを導入済みの企業は95.6%で、こちらも前回調査の87.6%から伸びている。「全社的に導入している」と回答した割合は47.0%で、前回調査の26.4%から20ポイントも増えている。一方、「ほとんどの社員が利用している」は18.5%と前回調査(6.3%)からは増加しているものの比較的少数派で、「半数以上が利用している」は32.9%にとどまっており、「現場浸透までには課題が残っている」とデロイト トーマツ グループは分析している。

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生成AIの導入率(提供:デロイト トーマツ グループ

 具体的な効果としては、42.7%の企業が「意思決定スピードが向上した」と回答した。

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生成AI導入による意思決定スピードの変化(提供:デロイト トーマツ グループ

 生産性への影響については、前回調査では「(生成AIを導入しても生産性に)変化はない」は56.0%だったが、2025年の調査では28.6%に半減しており、デロイト トーマツ グループは「『変化なし』が増えた分、生産性向上を実感する企業が増えていることが見て取れる」と分析している。

 「競争優位性が向上した」という回答は56.6%で2024年の39.3%から拡大した一方、「ほとんど変化していない」という回答も32.7%に上り、成果にはばらつきがあることも分かる。売り上げに関しては「増加する見込み」が過半数(51.6%)を占めた。

 生成AI社内利用の障壁としては「データ活用不足」(44.8%)、「社員の理解不足」(44.5%)、「機能不足」(42.3%)が上位に挙がり、前回調査と同様の傾向が続いている。導入目的も前回調査と同様「業務の自動化、効率化」が最多だが、デロイト トーマツ グループは「生成AI利用が広がる企業ほど『事業構造の変革』を重視する割合が高くなる傾向が明確になった」と分析している。

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生成AI導入後の利用における課題(提供:デロイト トーマツ グループ

 生成AIを本格導入するに当たっての課題については「専門人材の不足」が最も多く、45.1%。次いで「ガバナンス体制」(35.8%)や「データ整備、AI基盤構築」(27.2%)などが上位に並んだ。

このニュースのポイント

Q: 今回の調査は誰を対象に実施されたか?

A: プライム市場に上場し、売上高1000億円以上の企業で部長以上の役職者を対象にし、700人から有効回答を得た。

Q: 生成AIの導入状況はどうなっているか?

A: 導入済みの企業は95.6%で、前回の87.6%から増加。「全社的導入」は47.0%で、前回の26.4%から大幅に増えた。一方「ほとんどの社員が利用している」は18.5%、「半数以上が利用している」は32.9%にとどまる。

Q: 生成AIの導入効果として多く挙がったものは?

A: 42.7%の企業が「意思決定スピードが向上」と回答し、競争優位性の向上を挙げたのは56.6%で、2024年の39.3%から拡大した。

Q: 本格導入に当たっての課題は何か?

A: 最も多かったのは「専門人材の不足」(45.1%)で、次いで「ガバナンス体制」(35.8%)、「データ整備・AI基盤構築」(27.2%)などが挙がった。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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