「AIがどのような課題を解決するかについて社内で合意が取れている」のは14% Gartner調査:20%が「AIエージェントによる生産性向上の効果は限定的」と回答
Gartnerは、生成AIやエージェント型AIが企業アプリケーションに与える影響に関する調査結果を発表した。それによると「AIがどのような課題を解決するかについて合意が取れている」と回答したのは14%にとどまった。
ガートナージャパンは2025年10月2日、生成AI(人工知能)やエージェント型AIの企業アプリケーションへの影響に関する調査結果を発表した。これは北米と欧州、アジア太平洋地域で、フルタイム従業員250人以上の組織に所属するITアプリケーションリーダー(以下、リーダー)360人を対象に実施した調査の結果をまとめたもの。
AIエージェントによる生産性への期待値は?
AIエージェントが生産性にもたらす影響について聞くと「影響は大きいが、変革的とは限らない」と回答した人の割合が53%だった。一方、「変革的な影響をもたらす」という回答は26%、「生産性向上の効果は限定的」と答えた人は20%だった。
AIを活用するには「AIに何を期待するか」について社内で認識を合わせる必要がある。だが、調査結果によるとIT部門とユーザー、経営層の間で「AIがどのような課題を解決するかについて合意が取れている」と回答したのは14%にとどまった。だが、この三者間で合意形成ができている企業は、AIエージェントが「変革的である」と答える割合が合意形成できていない企業と比べて1.6倍高く、生成AIツールに「大きな価値を見いだす」と回答する割合は3倍以上だった。
また、AIが解決できるビジネス課題について共通理解を持たない企業は、AIエージェントが最も効果を発揮する領域として「オフィスツールを使った業務の生産性」を挙げる傾向が高かった。それに対して、合意形成ができている企業では「カスタマーサービス」「ERP」(Enterprise Resource Planning)、「営業支援」など、より専門的なユースケースに注力する傾向が見られた。
調査結果によると、調査対象となったほとんどのリーダーは、今後2〜4年以内にアプリケーションや従業員がAIエージェントに代替されるとは考えていないことも明らかになった。具体的には、アプリケーションを代替すると強く同意したリーダーは12%、従業員を代替すると強く同意したのは7%だった。ただし、「やや同意」と回答した割合は高く、34%がアプリケーションを、29%が従業員を今後2〜4年でAIエージェントが代替すると考えていると回答した。
ガートナージャパンの林 宏典氏(ディレクターアナリスト)は、「AIエージェント領域の技術は着実に進歩しているものの、まだ期待が先行している。ユーザー企業は、ベンダーの支援を得つつ主体的に技術を学び、ソリューションを試すことで、技術の実態をつかみ、それに合ったユースケースを見いだし適用することを推奨する」と述べている。
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