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NVIDIAとMicrosoftが示した「新世代Windows PC」 x86ではない“Arm版”の姿とはRTX Spark搭載で見直されるPC、業務にも浸透するか

NVIDIAとMicrosoftは、Armベースの新型チップ「NVIDIA RTX Spark」を発表した。AIエージェントをPC上で安全に実行することを前提に、Windows搭載PCの新たな方向性を示したものだ。

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 AIエージェントがPC上で自律的に動くことを前提に、NVIDIAとMicrosoftがWindows搭載PCの設計そのものを見直し始めた。台北で開催された「NVIDIA GTC Taipei」に合わせて、「Windows搭載PCの姿を変える」という新型チップ「NVIDIA RTX Spark」(以下、RTX Spark)が発表された。2026年5月31日(米国時間)にNVIDIAが発表したものだが、Microsoftも同じタイミングで、Windowsの仕組みに手を入れたことを明らかにした。

 「OpenClaw」や「Hermes Agent」といったオープンソースのAIエージェントソフトウェアが、GitHubや、複数のAIモデルを切り替えて利用できるサービス「OpenRouter」で急速に支持を集めてきた。その一方、ユーザーの手元のPCでエージェントを安全かつプライバシーを保って動かせないことが、広範な普及を妨げる要因の一つになっていた。そこでNVIDIAとMicrosoftが打ち出したのが、従来の一般的なWindows PC向けとは異なる設計だ。

AIエージェント前提の「Windows搭載PC」 新世代Arm版の姿とは

 NVIDIA創業者兼CEOのジェンスン・フアン氏は「RTX Sparkは、NVIDIAのCUDA(GPUを汎用<はんよう>計算に使うための開発基盤)やRTX(AIや画像処理向け技術群)、AIプラットフォームの全てを1つのスーパーチップに統合した。これがノートPC上で実現する新しいパーソナルAIコンピュータだ」と述べる。ローカルのAIエージェントから最先端モデル、クリエイティブな作業までを1台でこなせるPC像を描いてみせた。

 RTX Sparkは、6144基のCUDAコア(GPUの演算コア)とFP4精度(AI処理向けの低精度演算形式)に対応した第5世代「Tensor Core」を備える「NVIDIA Blackwell RTX GPU」を搭載する。これを「NVIDIA NVLink-C2C」というチップ間の高速インターコネクト(接続技術)経由で、20コアの「NVIDIA Grace CPU」(以下、Grace CPU)に接続した構成だ。AI演算性能は1ペタフロップ(1秒間に1000兆回の演算)、CPUとGPUが共有する主記憶であるユニファイドメモリは最大128GBに達するという。

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NVIDIA RTX Sparkのイメージ(提供:NVIDIA)

 注目したいのは、このGrace CPUがArmアーキテクチャを採用している点だ。Armベースのシステムオンチップ(SoC)設計で市場をリードするMediaTekがカスタムCPU設計に協力し、電力効率や性能、接続性を高めたとしている。NVIDIAにとって、Windows PC向けプロセッサでArm系設計を主力に据える初の大規模な取り組みとなる。

 NVIDIAとMicrosoftは、AIエージェント向けの新しいWindowsのセキュリティ基盤と、「NVIDIA OpenShell」ランタイムという実行基盤で協業を始めた。エージェントをWindows上で安全に実行するため、権限管理や動作範囲の制限、ポリシー適用などのセキュリティ機能をOSレベルで提供する。OpenShellは、エージェントに何をさせ何をさせないかをユーザーが定義するポリシー機能、プライバシー方針に応じてクエリをローカルモデルへ振り分ける機能、クラウドへ送る内容から個人情報を秘匿する機能を備え、既にHermes AgentやOpenClawといった主要なエージェント開発企業のWindowsアプリにも採用されている。

 Microsoft側の動きも見逃せない。同社は公式ブログで、RTX Sparkの性能を引き出すためWindows側も最適化したと明かす。20基全てのコアへ処理を効率的に割り振る「ワークロードプロファイルスケジューリング」(WPS)、電力と発熱を制御する「Microsoft Power and Thermal Framework」(MPTF)、x86アーキテクチャ向けのアプリをArm上で動かすエミュレーター「Prism」の強化などを実装。

 MicrosoftのCEO、サティア・ナデラ氏は「Windowsを通じて、あらゆるデスクに無尽蔵の知性を届けることが目標だ。RTX Sparkはそのビジョンへ向けた飛躍だ」とコメントしており、Windows自体の今後の方向性を占う布石であることをうかがわせる。

 RTX Spark搭載ノートPCは最薄14ミリ、最軽量約1.4キロで14〜16型サイズを想定。今秋にASUS、Dell Technologies、HP、Lenovo、MSI、Microsoft Surfaceなどから発売される予定だ。

 企業の情報システム部門にとっても、この動きは無縁ではない。Arm搭載PCは長らく業務アプリケーションの互換性が懸念材料だったが、Prismエミュレーターの改良やソフトウェアベンダーによるArmネイティブ対応アプリの拡大によって採用ハードルは下がりつつある。加えて、OSレベルでエージェントの権限やアクセス範囲を制御できることは、企業がAIエージェントを安全に展開するための管理機能としても重要な検討事項だ。

 NVIDIAとMicrosoftが示したのは、単なる高性能チップの発表ではない。Armチップの採用、Windows側の最適化、セキュリティ基盤の刷新などが組み合わせられることで、AIエージェント時代の新たなPC像が見えてくる。今秋の実機投入以降、この構想がどこまで現実の業務環境に浸透していくのかが注目される。

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