「ネオクラウドは独走」「電力求めて宇宙へ」 データセンターの常識が変わる5大潮流:今後10年の変化を予測(1/2 ページ)
ABI Researchは、データセンター市場の今後10年間のトレンドをまとめた。ネオクラウドの台頭や2031年におけるAIワークロードと従来型ワークロードの逆転、軌道上データセンターの台頭など、5つの重要動向を解説している。
市場調査会社のABI Researchは2026年8月11日(現地時間)、今後10年間のデータセンター市場を左右する5つのトレンドを公表した。同社のレポート「Winning the Next Wave of Data Center Growth」を基に、今後のデータセンターについて注目すべき5つの動向をブログで紹介したものだ。
ABI Researchは、AI需要の急増によって、従来のクラウドインフラにおける成長パターンが変わりつつあると指摘する。中でも目立つのが、AI向けの計算資源を提供する「ネオクラウド」の急成長だ。この他にもデータセンターの高密度化や、データセンターにおけるワークロード(アプリケーションの処理やその負荷)の変化など、今後10年間を左右する動きを挙げている。
1.ネオクラウド拠点が3.2倍に急増、独走状態に
データセンター運用事業者の中で、今後最も高い成長が見込まれるのが「ネオクラウド」だ。ABI Researchによると、ネオクラウド事業者が運営するデータセンターの世界の拠点数は、2026年の696拠点から2035年には2247拠点へと約3.2倍に拡大する。年平均成長率(CAGR)は13.9%。大手クラウド事業者などが運営するハイパースケールデータセンター(ABI Researchの分類でTier 1は0.0%、Tier 2は3.8%)やコロケーション(2.8%)、政府・ソブリン向けデータセンター(3.2%)などを大きく上回る。
台頭の背景には、AI向け計算資源の需要が増えることに加え、明確な料金体系、ベンダーロックインの回避、地域ごとのデータ保護規制への対応などがある。その需要を象徴するのが、GPUをクラウド経由で提供するGPUaaS(GPU as a Service)市場の拡大で、2030年までに2490億ドル規模に達するとABI Researchはみる。主な顧客層は技術・ソフトウェア企業、メディア、金融、ヘルスケアなどだ。
ABI Researchは、Nscale、Nebius、CoreWeave、Vultrなどをネオクラウド市場のリーダーに挙げている。
2.2031年にAIがデータセンターの主役に
データセンターでIT機器を稼働させるための電力容量(IT電力容量)では、2031年にAIワークロード向けが従来型ワークロード向けを上回る見通しだ。ABI Researchの最高調査責任者(CRO)マリク・サーディ氏とリサーチディレクターのレオ・ガークス氏の分析によると、AIワークロード向けのIT電力容量は2031年に約44GW、2035年には95GWに達するという。
ただし、従来型ワークロードが不要になるわけではない。AIを動かす上でも、GPUのオーケストレーションやデータ転送、ストレージ管理など、従来型のタスクは引き続き必要。データセンター事業者には、AIと従来型の双方のワークロードを支えることが求められるという。
3.欧州でハイパースケール拠点が集約、IT電力容量は約6倍へ
欧州市場では、ハイパースケールデータセンターの拠点数が2025年の1067拠点から2035年には900拠点へと減少する。世界の主要地域で拠点数が減少するのは欧州のみだ。
しかし拠点数が減る一方で、IT電力容量は大幅に増える。稼働中のIT電力容量は4.51GWから26.07GWへと約5.8倍に拡大する見通しだ。ABI Researchは、欧州ではデータセンターの集約と大規模化が進むとみており、高密度なインフラの構築やエネルギー効率の向上が一段と重要になると指摘する。
4.韓国が人口比のソブリンクラウド容量で突出
自国内でのデータ管理や運用主権を重視するソブリンクラウド分野では、韓国が際立った存在感を示す。ABI Researchのシニアリサーチディレクターであるディミトリス・マヴラキス氏は、人口当たりのソブリンデータセンター容量で見ると、韓国は先進的かつ革新的な市場だと評価する。
韓国では、政府によるデータローカライゼーション政策を背景に、SK Telecomなどの国内事業者がソブリンクラウド基盤の整備をけん引している。
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