「いまだ半数がWordやExcel頼み」 ベテラン暗黙知の言語化を仕組みにできない大企業の“笑えない実態”:半数が組織として取り組めない
taiziiiは大企業管理職を対象に「業務引き継ぎ実態調査」を実施した。ベテラン従業員の暗黙知を言語化する組織的な仕組みがある企業は16.5%にとどまることが分かった。
AIを活用した業務改善コンサルティングやシステム開発を手掛けるtaiziiiは2026年8月25日、従業員1000人以上の大企業に勤務する課長職以上の管理職200人を対象に実施した「業務引き継ぎについての実態調査」の結果を発表した。
調査結果によると、ベテラン従業員が持つ「判断の観点」「業務の勘所」といった暗黙知を言語化し、組織的に記録、更新している企業は16.5%にとどまることが明らかになった。
「暗黙知を組織的に記録、更新できている」大企業は16.5%
業務の現場において、長年の経験を持つベテラン従業員が培ってきたノウハウや状況に応じた判断基準は、言語化されにくい「暗黙知」として個人の頭の中に蓄積されやすい。こうしたベテラン従業員の判断の観点や業務の勘所を言語化、記録する取り組み状況について尋ねたところ、最も多かった回答は「一部の部署やチームでは取り組んでいる」で37.0%だった。
一方で、「組織的な仕組みがあり、定期的に記録、更新されている」と回答した企業は16.5%にとどまった。全社横断的なルールや仕組みとして暗黙知の言語化と蓄積が定着している組織は、大企業でも2割に満たない実態が浮き彫りとなっている。
調査では、全体の46.5%に上る企業が組織的な取り組みに至っていないことも判明した。その内訳を見ると、「個人の裁量に任されており、組織的な取り組みはない」が21.0%で最も高く、「特に必要性を感じていない」が13.0%、「必要性は感じているが手が回っていない」が12.5%と続いた。
taiziiiは、大企業における業務引き継ぎの実態が「全社的な仕組みとして定着している層(16.5%)」「一部の部署やチームにとどまる層(37.0%)」「組織的な取り組みに至っていない層(46.5%)」という三層構造に分かれていると分析している。取り組んでいても、部署単位の活動で閉じてしまっている組織が最も多く、全社的な仕組みへと引き上げられている組織はごく一部に限られる。
組織的な取り組みに至っていない46.5%のうち、「特に必要性を感じていない」とする回答は13.0%にとどまる。「個人の裁量任せ」(21.0%)や「手が回らない」(12.5%)を合わせると33.5%に達することから、taiziiiは必要性を否定しているのではなく、実行するための仕組みやリソースの不足が大きな障壁になっていると指摘している。
現場が求める支援は「期間の確保」が53.5%、「作成ツール」が47.5%
業務引き継ぎや暗黙知の言語化を円滑に進めるために現場の管理職が会社へ求めるサポートについて尋ねたところ(複数回答)、最多となったのは「期間の十分な確保」で53.5%だった。次いで「マニュアル作成ツール」が47.5%、「プロセスの標準化」が44.0%となった。
その他の項目では、「成功事例の共有」が28.5%、「上司の進捗(しんちょく)管理」が27.0%、「外部研修の提供」が15.5%となり、上位3項目と比べて大きな差が開く結果となった。研修などの教育機会や意識付けよりも、業務環境そのものの改善を求める声が圧倒的多数を占めている。
この結果についてtaiziiiは、現場が求めている支援の本質は「時間(期間の確保)」「道具(マニュアル作成ツール)」「型(プロセスの標準化)」という3つの業務環境の整備に集中していると分析している。現場の意識改革を促すような外部研修は最下位となっており、管理職が真に必要としているのは、日々の業務で暗黙知を言語化し、記録として残すための具体的な時間とツールの提供と言える。
専用ツールの利用率はわずか7.5%――WordやExcelへの依存が46.0%
現場が求める支援として「マニュアル作成ツール」が47.5%と高い割合を示した一方で、業務現場におけるツール利用環境には大きな乖離(かいり)が存在している。
調査によると、引き継ぎ作業における専用ツールの利用率はわずか7.5%にとどまった。これで最も多く使われていたのは「WordやExcelなど」の一般的なオフィス文書作成ソフトウェアで、46.0%と半数近くを占めた。
大企業の管理職が直面する3つの課題と暗黙知の資産化
今回の調査結果を踏まえ、taiziiiは大企業の管理職が抱える業務引き継ぎの課題として、主に以下の3点を挙げている。
- ベテラン従業員の判断基準が本人の頭の中にしか存在せず、異動や退職のたびに業務が停滞しかける
- 言語化やマニュアル整備の必要性は認識しているものの、日常業務に追われて着手する余力がない
- 一部の部署で独自に記録を残していても、全社的な仕組みとして展開できず属人化が解消されない
なお本調査の回答者の年齢構成は、30代以下15.5%、40代33.0%、50代33.5%、60代以上18.0%となっている。回答者の業種構成は製造業32.5%、情報通信15.0%、金融・保険12.5%、サービス10.5%、その他29.5%だった。
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