AI推論時代のデータファブリック課題 Equinixが2つのサービスを発表
企業におけるAI推論のニーズは、単一のクラウドにユーザーがアクセスする従来型の構成だけでは満たしにくくなっている。分散するデータやAIモデルを低遅延で柔軟に接続する必要性に応えるとして、Equinixは2つのサービスを発表した。
企業におけるAI利用の本格化に伴い、AIモデルの選択やGPUの調達だけでなく、「推論」というプロセス自体に注目が集まるようになってきた。
米Equinixは、AI推論の本番運用におけるボトルネックが、「分散したデータとAIモデルをいかに低遅延、高セキュリティ、最適なコストで接続するか」というデータファブリック/ネットワークの課題に移りつつあるとする。
この課題に対応するため、同社は2026年9月2日(米国時間)、既存のデータセンター/ネットワーク事業の強みを生かしたインフラソリューションを2つ発表した。1つは分散AI推論のための基盤、もう1つはクラウド間の接続を抽象化するサービスだ。
オープンモデルで低遅延なエッジ推論
まず、分散AI推論基盤として発表したのが「Equinix Inference Exchange」。
分散AI推論のユースケースとしては車の自動運転などが思い浮かぶが、一般企業でも、分散するデータやユーザー、アプリケーションに対してAIサービスを低遅延で提供したいというニーズが高まっているとEquinixは説明する。Inference Exchangeは、こうしたニーズに対応するサービスだ。
Inference Exchangeでは、世界に280拠点以上ある同社のIBXデータセンターを活用し、企業がニーズに応じた場所を選んで推論基盤を利用できる。コロケーションは新しいものではないが、今回は「ネオクラウド」とも呼ばれるAI特化型クラウド事業者のTogether AIと提携。同社がAIモデルカタログを含むAI推論基盤サービスを提供する。
Equinixが新サービスのメリットとして強調するのは、主に3点だ。
第1は、エッジ推論による低遅延。企業は自社のデータやユーザー、アプリケーションに近い場所で推論を実行できるため、低遅延化が期待できる。また、データセンター間は直接、専用の高速回線で接続されているため、接続環境の構築・運用に伴う負担も抑えられるとしている。
第2は、オープンモデルの利用によるコスト低減と制御性だ。今回提携したTogether AIは推論に特化したクラウド事業者で、オープンソース/オープンウェイトのAIモデルに力を入れている。200以上のモデルから選択し、統一されたソフトウェア基盤上で運用できる。単一のAPIからアクセスできるため、モデルの切り替えも容易だという。
オープンモデルを利用することで、企業は特定のAIモデルベンダーへのロックインを避けるとともに、利用コストを抑えられるとしている。
第3は、ソブリンAIへの対応だ。法管轄権や法規制を考慮した上で、データ主権をはじめとするソブリンAIの要件を満たせるとしている。
Inference Exchangeの一般提供開始は、2027年第1四半期を予定している。
要件を伝えるだけで自動的に接続を設定する「Fabric One」
もう一つの発表が「Equinix Fabric One」。こちらは、分散するAI、クラウド、企業環境間のネットワーク接続を容易にするサービスだ。
従来の企業ネットワークでは、新しいクラウドやサービス、拠点を利用するたびに個別に接続を設計・構築し、ルーティングや冗長化などを運用する必要があった。
しかし、AI推論が本格化すると、利用するAIモデルやAIクラウド、データの配置場所が増え、接続の設定や運用はさらに複雑になる。
Fabric Oneは、この問題をインテントベースのネットワークによって解決するサービスだ。
企業は接続したい対象と要件を指定するだけで、必要な接続構成をサービス側が判断し、自動的に設定できる。WebポータルやAPIに加え、自動化ワークフロー、AIエージェントからのリクエスト、さらには自然言語によるプロンプトからも接続を要求できるとしている。
具体的なネットワーク構成についても、ルーティング、クラウド接続、暗号化、冗長化、フェイルオーバーなどのオーケストレーションと運用管理をFabric Oneが担う。
新サービスでは、AWSとGoogle Cloudが策定したオープンな接続仕様「OpenAPI 3.0 Interconnect」を採用する。これを利用して、接続構成や運用のオーケストレーションを行う。
特定のクラウドやネットワーク事業者に依存しない相互運用性を確保することで、企業はAI環境の選択肢を維持できるという。
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