Database Watch 7月版 Page 1/2
頑張れニッポン! のデータベースたち
加山恵美
2007/7/18
今月は国産のRDBMS群にスポットを当ててみます。外国産の商用RDBMSやオープンソースRDBMSと比較すると地味ですが、着実に進化を重ねていることが分かります。
■日立、HiRDB V8.2をリリース
日立は2007年8月からHiRDB V8.2をリリースすると発表しました。2006年6月末にHiRDB V8へとメジャーバージョンアップしてからほぼ1年、V8.2では、
- ネイティブXMLのサポート
- データベース暗号化のサポート
- HiRDB Control Managerの機能強化
などがポイントです。
まずはネイティブXMLのサポートですが、いまやどのRDBMS製品もXMLデータをネイティブのまま扱えることをアピールする時代になってきているようです。単にCLOB型の列に格納したり、シュレッディングして格納することからもう一歩踏み込んだ対応です。近年のネイティブXMLデータベース周辺の活気がRDBMS製品群に刺激を与えているのかもしれません。
ネイティブXMLのサポートとは、XMLのデータをXMLのツリー形式のままデータベースに格納可能であることを意味します。一口にこう説明したとしても、システム内部で具体的にどのように実現しているかは製品ごとに差があるようです。HiRDBには「XML型」というデータ型があり、ここにXMLデータを格納すると、そのままテーブルに格納できるようになっています。もしXMLのデータ構造に変化があったとしても、XMLデータをそのまま格納しているので、テーブルの定義を変更する必要がないということです。
一般的にRDBMSだと格納するデータ構造が変わればテーブルの定義も変更しなくてはなりません。例えていうなら、箱に詰めようとする物の形が変化すれば箱の形も変えなくてはならないということです。しかしネイティブXMLサポートなら、詰めようとするXMLの形が変化しようが個々に違おうが、箱の形は変えなくても構わないということになります。
これは画期的なことといえます。XMLのデータをネイティブのまま格納できるということは、ここに大きな利点があるのでしょう。それで近年では各RDBMS製品が競ってネイティブXMLサポートをアピールしているようです。
加えてネイティブXMLサポートで重要となってくるのはXQueryのサポートです。XQueryはXMLデータに問い合わせを行うための言語で、今年W3Cで正式な勧告となりました。HiRDBはXQueryおよびSQLの標準規格であるSQL/XMLの主な機能をサポートしているため、HiRDBのXML型にデータを格納すればXQueryでもSQL/XMLでも問い合わせが可能となります。XMLをそのまま格納し、そのまま取り出せることになります。
もう1つ、HiRDB V8.2の主要なポイントにセキュリティ機能の強化が挙げられます。その筆頭はAES(Advanced Encryption Standard)のサポートです。AESは次世代の暗号化標準として2001年12月にFIPS(Federal Information Processing Standard:米国連邦情報処理標準)となったものです。また2003年に総務省と経済産業省が発表した電子政府推奨暗号リストにも掲げられています。HiRDBではこうした暗号化を列単位に指定することが可能となっています。
さらにセキュリティ機能に関連して、誰がどのような操作を行ったかを調査する監査証跡機能や、更新を禁止する列やユーザーなどを指定することにより不正改ざんや人為ミスを防ぐことができるようになっています。こうした機能により、HiRDBはISO/IEC15408のセキュリティ評価基準を満たしています。
今回のV8.2はメジャーバージョンアップではなくリビジョンアップとなりますが、機能拡張からセキュリティ強化まで力が入っているようです。
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連載 Database Watch 7月版 頑張れニッポン! のデータベースたち |
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