2010年のDB業界を振り返る
2010/12/21
商用DBベンダはBI/DWHに突き進む
近年、商用データベースベンダは自社製品の性能や拡張性を強化してきています。各社とも、自社製品をビジネスインテリジェンス(BI)やデータウェアハウス(DWH)で使ってもらうことを想定しているのです。
オラクルは7月に「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition 11g(OBIEE 11g)」を発表しました。「Action Framework」という機能が大きな特徴の1つとして挙げられます。この機能は、売り上げなどのデータの変化に対応して、自動的に業務アプリケーションの動き方を変えてしまうというものです。
ビジネスインテリジェンスも「11g」 オラクルがBI新版を発表
http://www.atmarkit.co.jp/news/201007/08/obiee11g.html
Database Watch 2010年8月版 企業やコミュニティのボーダーを越えて
http://www.atmarkit.co.jp/fdb/rensai/dbwatch2010/dbwatch201008_01.html
オラクルといえばもう1つ、10月から提供を開始した「Oracle Exadata X2シリーズ」も自信の製品でしょう。サン・マイクロシステムズのハードウェア技術とオラクルのソフトウェア技術を結集し、高い性能を発揮するデータベースマシンです。
「Javaを最も速くする」Oracle Exalogic Elastic Cloudとは何か
http://www.atmarkit.co.jp/news/201009/24/oracle.html
Database Watch 2010年8月版 いよいよ動き出すExadata X2シリーズ
http://www.atmarkit.co.jp/fdb/rensai/dbwatch2010/dbwatch201011_01.html
11月はIBMやマイクロソフトもBI製品を発表
他社も負けていません。マイクロソフトは5月から「Microsoft SQL Server 2008 R2」を出荷しています。この製品でもBIやDWHに力が入っています。
マイクロソフトは、同社のRDBMSを導入すると「セルフサービスBI」が可能になるといいます。これは、「誰もが、自分自身で自由に、簡単にデータを活用できる理想的な状態」を指すそうです。そのためのツールとして、ExcelからSQL Serverのデータを操作できる「PowerPivot for Excel 2010」、ワークブックをセキュアに共有する「Microsoft SQL Server PowerPivot for SharePoint 2010」などを用意しています。セルフサービスBIについて詳しく解説する体験サイトもあります。
DWH向けには、SMP(対称型マルチプロセッシング)型で提供するアプライアンス「SQL Server Fast Track Data Warehouse」や、MPP(超並列プロセッシング)型アプライアンス「SQL Server Parallel Data Warehouse」があります。後者は11月に登場し、12月7日のMicrosoft BI/DWH Dayで紹介されました。ハードウェアの出荷は年明けになるとのこと。追ってレポートします。
一方IBMでBIといえばCognosです。IBMは11月10日、新バージョンとなる「IBM Cognos Business Intelligence V10.1(IBM Cognos 10)」を発表し、11月17日のIBM Cognos Performance 2010で詳しく紹介しました。
このイベントでIBMが主要なメッセージとして掲げたのが「BI(ビジネスインテリジェンス)からBA(ビジネスアナリティクス)へ」です。「アナリティクス」というとBIが持つ機能である「分析」と連想しがちですが、ここでは「把握」や「掌握」という意味で使っています。Cognos 10は「ビジネス全体を掌握し、先を見通し、ビジネスに有効なアクションを打ち出すための製品」だとアピールしていました。
そしてそのアクションを生み出すための主要な3要素となるのが「何を見るべきか」、「どう見るべきか」、「見た後にどうするか」の3点を考えることだそうです。Cognosの機能と結びつけると、「何を見るべきか」は情報を可視化する統計関数やマイニング機能、過去・現在・未来を立体的に可視化するReai-Time Monitoringや予測分析を指すと言えます、「どう見るべきか」に対応する機能としてはCognos External Data Access機能という、ユーザーがExcelでレポートを見ることを可能にする機能と、iPhoneやiPadなどモバイル機器からのアクセスを容易にするCognos Mobile機能などが挙げられます。「見た後にどうするか」に対応する機能としては、コミュニティやWikiなどを使った情報共有のためのCognos Collaboration機能が役に立つということです。
IBMはCognosを「System z」や「Power Systems」といったハードウェアと合わせて提供しているほか、IBMの運営するクラウドで利用することも可能にしています。
ボーイングなどで導入、IBMがビジネス分析ツールの最新版を発表
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1010/26/news067.html
各社がアピールしているのは、いかにビジネスに役立つかという点です。そして、ユーザーにとって使いやすいインターフェイスや、ハードウェアも一体で提供する製品も用意しているところも共通点として挙げられます。さて、今後各社はいかにして違いを打ち出していくのでしょうか。
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2010年のDB業界を振り返る | |
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