.NET Framework SDKで始める.NETプログラミング(前編)
1..NET Framework SDKとは?デジタルアドバンテージ 遠藤孝信 2001/02/10 |
.NET Framework SDKについて、もう少し詳しく説明しておこう。前述したとおり、.NET Framework SDK(以降.NET SDKと略す)は.NET環境で動作するアプリケーションを開発するためのソフトウェア開発キット(SDK:Software Development Kit)である。.NET SDKは、.NET対応アプリケーションを作成し、コンパイルし、テストするための最低限の開発環境をまとめたものであり、VS.NETのようなグラフィカルな統合開発環境はない。とはいえ、最低限といえども、.NET対応のアプリケーションであるWebサービスやWebアプリケーション、Windowsアプリケーションを作成する上で必要となるものはすべて含まれている。
.NET SDKには、主に以下のものが含まれる。
.NET SDKの内容 |
.NET Framework(クラス・ライブラリ/Common Language Runtime:CLR/ASP.NET) |
コマンドライン・コンパイラ(C#コンパイラ/Visual C++コンパイラ/Visual Basic.NETコンパイラ/JScript.NETコンパイラ) |
ツール(逆センブラ/デバッガなど) |
ドキュメント |
サンプル・プログラム |
チュートリアル |
.NET Framework SDKの内容(主なもの) |
ここで.NET Frameworkは、現在のWindows環境を.NET環境へと進化させ、.NET対応ソフトウェアを実行可能にするためのランタイム・モジュールである。この.NET Frameworkは、現時点では.NET SDKかVS.NETにしか含まれていないが、今後は単体あるいは他のソフトウェア(.NET対応ソフトウェア)とともにユーザーに配布される予定である。Windows 2000の後継となるWhistler(ウィスラー。これは開発コード名だが、2001年2月5日に正式名称が「Windows XP」となることが発表された)や、さらにその次バージョンとされるBackcomb(ブラッコム)では、当初から.NET対応ソフトウェアを実行するための環境(.NET Framework)が実装される予定だ。しかしこれらの新しいOSを待たずとも、.NET Frameworkのモジュールさえ組み込めば、既存のWindows環境(Windows 95、Windows 98、Windows Me、Windows NT 4.0、Windows 2000)でも.NET対応ソフトウェアを実行することが可能になる。
コマンドライン・コンパイラながら、.NET SDKにはC++やVisual Basicを始め、Microsoft.NETとともに登場した新しいC#のコンパイラまでが含まれている。グラフィカルな開発環境とコマンドラインでは、開発スタイルは大きく異なるものの、標準のVS.NETで利用可能な言語処理系は.NET SDKでもすべてサポートされており、任意の処理系でプログラミングを始めてみることが可能だ。すでに述べたとおり、.NET SDKでのプログラム開発は、基本的にテキスト・エディタでソース・ファイルを編集し、コマンド・プロンプトからコンパイルを行うという昔ながらのシンプルなスタイルである。大規模なソフトウェア開発には不向きだが、すべてのファイルを手で記述することで、VS.NETでは見えにくい.NETプログラミングの本質に触れることができる。
.NET Framework SDKの入手方法
今すぐ.NET SDKを入手するには、大きく次の2つの方法がある。
- マイクロソフト・サイトからのダウンロード
- 雑誌の付録CD-ROM
また.NET SDKは、VS.NETのCD-ROMにも含まれているので、このCD-ROMを入手するという方法もある。VS.NET CD-ROMの入手方法については、別稿の「Insider's Eye:Visual Studio.NETベータ1 日本語版の入手法を総括する」が詳しいので参照されたい。ちなみに.NET SDKは、VS.NETベータ1 CD-ROMのうち、「Windows Component Update CD」と表記されたCD-ROMに収録されている。
■マイクロソフト・サイトからのダウンロード
高速なインターネット回線を利用可能な環境にいるなら、マイクロソフト・サイトからダウンロードするのが手っ取り早い。具体的には、次のサイトからダウンロード可能である。
●マイクロソフトの.NET Framework SDKベータ1 日本語版のダウンロード・ページ
ただし、ファイル・サイズは約107Mbytesと巨大である。したがってダウンロードにあたっては、他人に迷惑をかけない深夜時間帯を選ぶ必要などがあるだろう。また上記のページには、全体を11個のファイルに分割したものも用意されている。巨大なファイルのダウンロードが難しければ、これら小さく分割されたファイルを個別にダウンロードすることも可能である。
ちなみに、英語版の.NET SDKは以下のページからダウンロードできる。
●米Microsoftの.NET Framework SDKベータ1(英語版)のダウンロード・ページ
日本語版といっても、一部のドキュメントやメニュー名などが日本語化されているだけで、ほとんどの添付ドキュメントは英語のままである。したがって英語版の.NET SDKが手元にあるなら、日本語版を入手しなくても、英語版を利用するという方法もある(雑誌添付のCD-ROMなどで、英語版の.NET SDKを収録したものがあった)。
■雑誌の付録CD-ROM
100Mbytes超のファイルをインターネットからダウンロードするのが困難なら、雑誌の付録CD-ROMに収録された.NET SDKを入手するという手もある。Windowsプログラマ向けの雑誌やムックなどで、.NET SDKを収録したCD-ROMを添付したものが販売されている。
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