新たなユーザー体験をもたらすKDE 4.1(中編)
〜 KDEを彩るアプリケーションたち 〜
日本KDEユーザ会
2008/11/28
個人情報管理スイート「Kontact」
「Kontact」は、電子メールクライアントやスケジュール管理の機能を持つ個人情報管理スイートで、KDE 4系ではKDE 4.1で初めて正式にリリースされました。メールクライアントの「KMail」、スケジューラの「KOrganizer」、アドレス帳の「KAddressBook」などを統合し、1つのアプリケーションとして利用できるようにしたものです。WindowsでいうOutlookに相当するものと思っていただければいいでしょう。
画面の左側にはサイドバーが表示され、個々の機能を選択することができます。右側には選択した機能に対応するアプリケーションの画面が表示されます。
画面3 個人情報管理スイートKontactのサマリー画面 |
Kontactで使える機能のリストと対応する統合されているアプリケーションは、以下のとおりです。
- 電子メールクライアント(KMail)
- アドレス帳(KAddressbook)
- スケジュール管理(KOrganizer)
- RSSリーダ(Akregator)
- メモ帳(Kjots)
Kontactが提供しているこれらの機能について、簡単に説明します。
電子メールクライアント機能は、KMailを組み込んで実現しています。電子メールの受信プロトコルとしては、POP3はもちろんIMAPもサポートしていますし、SSLを使ったセキュアな受信にも対応しています。また、スパムフィルタ機能も提供されており、最近急増しているスパムに悩まされることも非常に少なくなっています。
アドレス帳は、個人情報を管理するアプリケーションであるKAddressbookを組み込んで実現されています。メールアドレスだけでなく、住所や電話番号などの個人情報全般を管理することができます。
スケジュール管理は、KOrganizerを組み込んで実現しています。カレンダーに基づくスケジュール管理やToDoリストを管理することができます。
RSSリーダは、Akregatorを組み込んで実現しています。Akregatorは、KDE 3.4からKDEのリリースに含まれた比較的新しいアプリケーションであり、古くからのKDEユーザーでも知らない方が多いかもしれません。フィードの形式としては、RSSとAtomの両方をサポートしています。
メモ帳は、Kjotsを組み込んで実現しています。メモ帳では、ブック単位でメモを作成し、仮想的な本棚で管理することができます。また、KNotesを組み込んで実現しているポップアップメモというものもあります。こちらでは、デスクトップに張り付けるメモを作成することができます。
これらの機能は、各アプリケーションを直接起動して、個別に利用することもできます。例えば、電子メールクライアントだけが欲しいという方は、KMailを直接利用することができます。しかし、Windowsで利用できるような個人情報管理スイートが使いたいという方は、ぜひKontactを試してみてください。
コラム■新たなPIMフレームワーク、Akonadi |
KDE4.1では、PIM(個人情報管理、Personal Information Manager)フレームワークが導入されました。それが「Akonadi」です。 KDE 3においては、同じようなデータアクセスのために、各PIMアプリケーションが個々に実装を行っていました。また、複数のPIMアプリケーションが同じデータを利用しようとした場合、同一のデータが複数回読み込まれるため、メモリ利用効率が悪いという問題がありました。 Akonadiではこれらの問題を解決するため、PIMアプリケーションが利用できる統一的なデータアクセスのための仕組みを提供しています。Akonadiは、データへのアクセスを提供するサーバとして動作し、特定のデータ(メールやカレンダーなど)を格納するデータモデルとして情報を送受信します。そのため各アプリケーションでは、このデータモデルの表示や編集を行うことで、必要なデータ処理を行うことができます。 Kontactはもちろん、KDE 4.1のPIMアプリケーションはすべてAkonadiの上に構築されています。また、Akonadiの開発チームはKDEに仕組みを提供するだけでなく、GNOMEからも同じ仕組みを利用できるようにしようと野心的にプロジェクトを進めています。 |
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