ENUMとは何ですか? 藤原和典 (JPRS) |
ENUMは、電話番号に対してインターネット上のサービスを対応させる機構です。電話番号としてITU-Tにより管理されるE.164電話番号を用い、それをドメイン名に変換し、URIを登録することができるリソースレコードをDNSに記述することで、電話番号に対応するURIをDNSに登録します。
ENUMの標準化が行われてきている背景として、E.164電話番号は全世界でユニークな番号であること、数字だけであるので言語に依存しないこと、またインターネットで音声を運べる環境が整備され、VoIP(Voice over IP)システムが普及してきたことが挙げられます。
そこで、VoIP端末を(電話)番号で指定したい、VoIP端末(IP電話)の番号はインターネットのデータベースで管理したい、さらには、インターネットの各種資源を(電話)番号で指定したいという考えに基づいて、ENUMの実現方式が検討されてきました。
ENUMのプロトコルはIETF ENUMワーキンググループで標準化され、2000年9月にRFC 2916がProposed Standardとして発行されました。RFC 2916では電話番号からドメイン名への変換方式が定義され、専用のドメイン名として e164.arpa が用意されました。また、ドメイン名へのサービス登録方法として、RFC 2915で定義されているNAPTRリソースレコードを用い、またそのサービスがENUMで使われることを識別するためにE2U(ENUM to URI) という文字列を用いることが決められました。その後、NAPTRリソースレコードがDDDS という仕組みの中で再定義されたことやあいまいさを減らすためにRFC 2916を改良する議論が行われ、現在標準化手続き中です。
ENUMと同じ方式を、ENUMのTLDであるe164.arpa以外のドメイン名を用いて実装した場合のことを、ENUMライクといいます。自組織のドメイン名をTLDとしたENUMライクDNSを用いて組織内の内線番号の管理をしたり、電話網の経路制御のデータベースを実装するということが考えられています。
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