連載:アニメーションで見るパケット君が住む町(1)
パケット君が「情報」という商品を運ぶ町を探検しよう
綱野衛二
Roads to Node
2009/1/21
運送会社の会社員「パケット君」を中心に、「ビントサーフ市」の全景から、彼らの仕事をアニメーションで見ていきましょう。
プロローグ〜パケット君は配送会社の会社員!
ネットワーク、特にインターネットで使われているTCP/IPネットワークは現代のコンピュータシステムでは欠かせないものになっています。しかし、「ネットワークが苦手」と思っている人が多いのも事実です。
そこで、この連載ではTCP/IPネットワークの基礎を、荷物を運ぶ「物流」の仕組みに例えて説明しています。
コンピュータという「会社」が、コンピュータを使用するユーザーという「顧客」の要望に沿って、情報という「荷物」を運びます。
「会社」に勤めるいろいろな役割を持つ「会社員」たちが、どのように自分の役割を果たして「荷物」を運ぶのかを見ることで、ネットワークの基礎的な仕組みを理解する一端となるでしょう。
その世界の、会社員である「パケット君」を中心に、彼らの世界を見てみましょう。
では、これから彼らの日常を拝見しながら、その世界の「物流の仕組み」を学んでいきましょう!
パケット君は、「ホスト株式会社」「TCP/IP事業部」の商品受発注課で働く中堅社員です。
TCP課長「パケット君。受領確認はきたかね?」
パケット君「はい、いま届きました!! 次送ってきますっ!!」
忙しそうです。パケット君の住む町は「インターネット世界」の一都市「ビントサーフ市」の中にあります。「ビントサーフ市」の様子を見てみましょう。
図1-1 ビントサーフ市全景 |
パケット君 「ここはいい町で、仕事もやりがいがあっていいよ」
ルート君「それはいいから。これはステーションに持っていって、そこで別のルート君に話を聞いて」
パケット君 「はいはい。ステーションね」
ARP君「パケット先輩。ステーションの住所ッス」
イーサ配送君「そろそろ出るぞー」
パケット君 「はーい、いま行きまーす」
忙しそうですね。
1-1 ホスト株式会社の仕組み〜荷物は上から下に運ばれる
パケット君の会社「ホスト株式会社」の「TCP/IP事業部」は、商品の運送を担っています。お客さまのご要望を受けた別部門の「ネットワークアプリケーション事業部」からの依頼で、荷物を配送します。
TCP/IP事業部は7階建てのビルにあり、次のような配置になっています。
- 7階〜5階 …… サービス部門
- 4階〜3階 …… 商品受発注部門
- 2階〜1階 …… 車両課・道路への出入り口
パケット君は……。
パケット君「3階の商品受発注課の配属だよ」
だそうです。
1 サービス部門〜Webサービス+名前解決+発注
各部門の役割を聞いてみましょう。まずはサービス部門です。
HTTP課長「『Webサービス課』のHTTP課長です。私どもはお客さまの『Webサービスを受けたい』というご要望を受けたネットワークアプリケーション事業部の依頼で、ご要望を配送できる形にし、また受け取った荷をご要望の形にすることを行っています」
代表として「Webサービス課」のHTTP課長に説明してもらいました。サービス部門の役割は、
- 顧客の要望に合わせた、運送サービスを提供する
- 運送サービスに合わせた荷物ややりとりを決定する
図1-2 Webサービス部門のお仕事(左下のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です) |
Webサービス部門なら、Webサービスを受けたい顧客の要望に合わせて、荷を整えます。ほかにも、荷のやりとりの手順などをこの部門が決定しています。
サービス部門はサービス以外のことはあまり考えていません。例えば、送り先までどういう道順で届けるのか、ということは……。
HTTP課長「それは商品受発注課の仕事だ。ウチの部署は『お客さまのご要望を形にする』部門、だからな」
だそうです。つまり、サービス部門はそこしか考えてないんですね。お客さんが、「荷を運んでもらって何かしたい」、例えばWebサービスを受けたいと思っているその要望を形にするだけなんです。運ぶことなどはほかの課がやってくれるから、だそうです。
サービス部門には、TCP/IP事業部が提供するサービスごとに部署があります。「Webサービス課」以外にも、「名前解決課」「メール課」などですね。
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