Ultra DMA/66の性能を徹底検証
2.実験前の下準備
2-1. 機材を揃える
澤谷琢磨
2000/07/06
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IDEインターフェイスは、PCが備えるほかのI/Oと同様、過去との互換性をなるべく保つよう規格化されている。ところが、「Ultra DMA/66、Ultra
DMA/100登場の背景」で述べたように、ハードディスクの転送速度の向上のペースが非常に速いため、IDEインターフェイスには、ここ数年で複数回のアップデートが加えられている。そのため、かつてなかった制限が発生したり、逆にこれまでの制限が取り払われたりしているなど、変化が著しい。
ここでは、今回の実験対象に選んだデバイスのインストール過程を追うことで、Ultra DMA/66対応デバイスの取り扱いについて確認していくことにする。
実験に用いたハードディスクの概要
今回はUltra DMA/66対応IDEハードディスクが各種条件下でどのような性能を示すのかを確認することに主眼をおいて、テスト対象のハードウェアを選んだ。
テスト用のUltra DMA/66対応ハードディスクには、DiamondMax Plus40シリーズの「53073U6(以下、Maxtor 53073U6)」と、Seagate
U8シリーズの「ST38410A」を選んだ。DiamondMax Plus40シリーズは、Ultra DMA/66対応ハードディスクの中でも、スペック上は最も高速なドライブの1つである。今回のベンチマーク
テストでは、この「53073U6」を基準として測定しているが、その理由はこのディスクの転送速度が、Ultra DMA/66対応の中では最高速に近いことによる。
Seagate U8シリーズは、普及価格帯のハードディスクであり、比較対象として選択している。現在は後継のU10シリーズに切り替わっているが、つい最近までエントリPCでの採用が多かった。Seagete
U8シリーズのSeagate ST38410Aは、Ultra DMA/66対応ハードディスクとしては比較的初期の製品であり、Maxtor 53073U6と比較することで、ここ1年間のハードディスクの性能向上を知ることもできる。
また、Ultra DMA/33対応ハードディスクとして、富士通製のMB3021AT(以下、Fujitsu MB3021AT)もテストに加えた。Ultra
DMA/33対応と、Ultra DMA/66対応の性能の違いを見るためだ。Fujitsu MB3021ATは、Ultra DMA/33対応としても、比較的初期の製品なので、最新のハードディスクとの性能差は大きいはずだ。
実験に用いたIDEコントローラ
Ultra DMA/66対応ハードディスクの性能を引き出すには、ハードディスク側の対応に加え、IDEコントローラや接続用ケーブルの対応も必要だ。IDEコントローラは、PCの標準的なI/Oデバイスの1つであり、現在のPCならマザーボード上に必ず実装されている。現在PCのマザーボード上に実装されているIDEコントローラのうち、Ultra
DMA/66に対応している製品としては、「Intel 82801AA」と「VIA VT82C686A」を採用したものが多い。
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Intel 82801AA |
82801AAは、Intel 800系チップセットのIDEコントローラチップだ。IDEコントローラとしての機能ばかりではなく、USBホスト
コントローラやLPCインターフェイスなどを集積している。 |
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VIA VT82C686A |
VT82C686Aは、VIA Technologies製のPentium III用チップセット「Apollo
Pro133A」と、Athlon用チップセットの「KX133」、「KT133」のIDEコントローラ チップである。82801AAと同様、USBコントローラやPCI-ISAブリッジの機能も備えている。 |
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Intel 82801AAは、ICH1とも呼ばれており、Intel 810、Intel 810E、Intel 815そしてIntel 820チップセットに含まれるチップだ(Intel
820Eおよび815Eは、Ultra DMA/100対応の「82801BA」を用いている)。VIA VT82C686Aは、PC133 SDRAMに対応したPentium
III用チップセットとして人気を集めているVIA Apollo Pro133Aチップセットに含まれるチップだ。またVT82C686Aは、AMD Athlonプロセッサ用チップセットのVIA
Apollo KX133/KT133などでも使われており、Intel以外のベンダのUltra DMA/66対応コントローラとして、最も採用が多い製品である。今回のテストでは、82801AAとVT82C686Aを搭載したマザーボードとして、Intel
810を搭載したAOpen MX3Wと、VIA ApolloPro 133Aを搭載したAOpen AX64Proを用意した。
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AOpen MX3W |
AOpen製のIntel 810を採用したMicro ATXフォームファクタに準拠したマザーボード。DIMMスロット2本、PCIバス
スロット3本を備えている。Intel 810採用マザーボードとしては、きわめて標準的な製品である。なお、BIOSはAward製である。 |
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AOpen AX64Pro |
AX64ProはVIA Apollo Pro133Aを搭載したマザーボード。DIMMスロットは3本、PCIバススロットを4本備える。グラフィックスを内蔵していないため、今回はnVIDIA
RIVA TNTを搭載したCreative Labs CT6710 AGPカードと組み合わせた。バックアップ用BIOS ROMチップを別に実装している(DIE-HARD
BIOSと呼んでいる)点を除けば、Apollo Pro133A採用マザーボードとしては、標準的な構成のマザーボードと同等とである。 |
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今回のテストでは、Ultra DMA/33対応コントローラとUltra DMA/66対応ハードディスクを組み合わせた場合、Ultra DMA/66対応のハードディスクが単体のときに比べて性能が低下する場合があるのか、あるとしたらどの程度の性能が低くなるのかについても確認を行った。Ultra
DMA/33対応のIDEコントローラとしては、Intel PIIX4Eを選んだ。PIIX4Eは、Intel 440BXチップセットを始め、Pentium
II/Pentium III対応チップセットのIDEコントローラとして、Intel 800番チップセットがリリースされるまで標準的なチップであったため、搭載しているPCが非常に多い。テスト用マザーボードには、Intel
440BXチップセットを採用したMSI MS-6163を選んだ。
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Intel PIIX4E(82371EB) |
PIIX4Eは、Intel 440BXをはじめ、440ZX、450NXなど、800系チップセット以前のIntel製チップセットでよく使われていたチップである。IDEコントローラとしては、Ultra
DMA/33対応しているので、Ultra DMA/66対応ハードディスクを接続しても、ハードディスクはUltra DMA/33モードで動作する。 |
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MSI MS-6163 |
Micro-Star International製のMS-6163は、Intel 440BXを搭載した製品としては中期の製品にあたる。 |
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マザーボード上のIDEコントローラの代わりに、IDEコントローラが搭載されたPCIカード(IDEインターフェイス カード)を用いることも可能だ。IDEインターフェイス
カードを別途用意することで、マザーボードを交換することなしに、IDEインターフェイスをアップグレードできる(Ultra DMA/33対応マザーボードをUltra
DMA/66対応にすることができる)。今回のベンチマークテストでは、代表的な製品であるPromise Ultra66を用いて、IDEコントローラだけUltra
DMA/66対応にアップデートした場合の効果を確認した。Promise Ultra66と組み合わせるマザーボードにはMSI MS-6163を選んだ。
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Promise Ultra66 |
Promise TechnologyはIDEインターフェイスのアップデート向け製品で有名なベンダ。IDEコントローラ
チップには同社製のPDC20262を搭載する。同様の製品として、HighPoint製やCMD製のIDEコントローラを搭載したPCIカードがほかのベンダからも販売されている。なお、すでにUltra
DMA/100に対応したPromise Ultra100が発表されている。 |
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