Ultra DMA/66の性能を徹底検証
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最新のUltra DMA/66対応ハードディスクですら、その転送速度はUltra DMA/33の上限である33Mbytes/sに届くか届かないかというレベルに留まっていることが、ベンチマーク テストの結果、明らかとなった。IDEハードディスクの面記録密度は着々と向上しているため、次世代のIDEハードディスク(2000年8月頃に販売されるIDEハードディスク)の一部は、平均転送速度が33Mbytes/sを越え、最低でもUltra DMA/66が必要になるだろう。ただ、これも7200回転といったハイエンド ドライブに限られると予想される。
IDEインターフェイスの規格は、ハードディスク自体の進化の1〜2世代先を見越してアップデートされる傾向にある。Ultra DMA/66対応製品の末期になって、ようやくUltra DMA/33では間に合わないIDEハードディスクが販売されるという展開は、おそらくUltra DMA/100世代のハードディスクでも同様だろう。編集部では、今後ともIDEハードディスクのベンチマーク テストをとおして、Ultra DMA/100対応製品がどの程度の性能に達したか、その時点で最低限必要なIDEインターフェイスは何かを確認していきたい。
IDEハードディスクは、新しい世代ほど高速なので、できるだけ新しい世代の製品を購入したほうが有利なのは間違いない。しかし、IDEインターフェイスまでハードディスクに合わせてアップデートする必要性はほとんどないことが、今回のベンチマーク テストの結果を見ると分かる。そこで、現時点でPCを新規購入する場合と、ハードディスクだけアップデートする場合に分けて、IDEインターフェイス選択の目安を示すので、購入時の参考にしていただきたい。
PCを新規購入する場合
Pentium III対応のIntel製チップセットは、Intel 440BX/810E/820から、Intel 815/815E/820Eへと入れ替わろうとしている。新世代のチップセットで今回評価した82801AA(ICH1)を採用するのは、Intel 815のみで、Intel 815E/820EはUltra DMA/100に対応した82801BA(ICH2)を採用する。ローエンド/ミドル クラスのPCでは、しばらくの間Intel 815と815E、そして1世代前のIntel 810Eを搭載したPCが併売されるため、IDEインターフェイスがUltra DMA/66までの対応(Intel 810E、Intel 815)か、Ultra DMA/100に対応している(Intel 815E)かは、購入時に検討しなければならない点の1つだ。結論から述べると、Ultra DMA/100対応だからという理由で、Intel 815Eを選ぶ必要はない。ローエンド/ミドル クラスのPCの搭載するIDEハードディスクは、決して高速ではない。ハイエンド ドライブでもUltra DMA/66で間に合うのだから、普及価格帯のドライブならば、なおさらUltra DMA/100は必要としないだろう。
VIA Technologiesは、まだUltra DMA/100に対応したチップセットを発表していないので、しばらくはVT82C686AがIDEコントローラとして採用され続けるはずだ。ベンチマーク テストで確認したように、VT82C686AはUltra DMA/66動作時でもバースト転送速度が規格で定められた値よりも10Mbytes/s以上も遅かった。今後登場する高速なIDEハードディスクでは、この点が問題になるかもしれないが、現在のところハイエンドIDEハードディスクとの組み合わせでもIntel製チップセットに対し、性能面で劣ることはない。
アップデートを行う場合
BIOSに8.4Gbytesの壁(「PC TIPS:容量8.4Gbytes以上のIDEハードディスクを搭載しても、すべての容量が認識できない障害を直すには? 」)が存在するような古いPCならば、最新のIDEハードディスクを接続するために、Promise Ultra66のようなIDEインターフェイス カードは必須となる。難しいのはIntel PIIX4Eなど比較的最近のUltra DMA/33対応チップセットを搭載したPCの場合だ。最新のUltra DMA/66、Ultra DMA/100対応ハードディスクを接続する場合、IDEコントローラもアップデートしたほうがよいのだろうか。
現時点(2000年7月)に限っていえば、IDEコントローラをアップデートする必要性はほとんどない。PIIX4Eや同世代のIDEコントローラは、最新、最速のIDEハードディスク(IBM Deskstar 75GXPなどはすでに33Mbytes/sを上回る転送速度を達成している)と組み合わせるにはおそらく力不足だが、今回のベンチマーク テスト結果から判断する限りほとんどのIDEハードディスクの場合、まだUltra DMA/66対応コントローラと接続した場合と比べても性能差はないと考えられる。ただ、書き込みに限っていえば、最新のIDEコントローラは、大容量の書き込みバッファを備えるおかげでPIIX4Eなどに比べて高い性能を誇っている。それでも、実環境においては体感できる差はまったくないだろう。
将来、Ultra DMA/100の転送速度が必要になるだろうから、その先行投資としてPromise Ultra100のようなUltra DMA/100対応PCIカードを購入する、というのもあまり意味がない。IDEハードディスクが100Mbytes/sのデータ転送レートを達成する前に、IDEインターフェイスは次の規格に移行してしまっているのは間違いないからだ。また、PCIバスデータ転送速度の上限が、133Mbytes/sであることを考えると、IDEハードディスクが100Mbytes/sもの転送レートを達成する頃には、IDEコントローラをPCIバス以外の方法で接続することが必要になる(Intel 800番台のチップセットでは、このことを見越して、IDEコントローラを内蔵するICHとメモリコントローラMCHとの間を最大データ転送速度266Mbytes/secのHUBインターフェイスで接続している)。結論としては、PIIX4Eや同世代のIDEコントローラを搭載したPCならば、ハードディスクだけの交換/追加でも何ら問題はないということだ。
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PC TIPS | 容量8.4Gbytes以上のIDEハードディスクを搭載しても、すべての容量が認識できない障害を直すには? | ||
INDEX | |||
[実験]Ultra DMA/66の性能を徹底検証 | |||
1. | Ultra DMA/66、Ultra DMA/100登場の背景 | ||
2. | 実験前の下準備 | ||
2-1. | 機材を揃える | ||
2-2. | 設定の確認 | ||
2-3. | デバイス ドライバを設定する | ||
3. | Ultra DMA/66の実力を測る | ||
3-1. | ハードディスク間の比較 | ||
3-2. | 転送モード間の比較 | ||
コラム Windows 2000における転送モード間の比較 | |||
3-3. | IDEコントローラ間の比較 | ||
コラム Windows 2000におけるIDEコントローラ間の比較 | |||
3-4. | Windows 98標準ドライバとベンダ製ドライバとの性能比較 | ||
3-5. | アプリケーション ベンチマーク テストで性能差は現れるのか? | ||
4. | Ultra DMA/66は必要なのか? | ||
「PC Insiderの実験」 |
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