第3回 RFIDのソフトウェア処理を理解する


西村 泰洋
富士通株式会社
ユビキタスシステム事業本部
ビジネス推進統括部
ユビキタスビジネス推進部
担当課長
2006年6月30日


 UHF帯の共用化技術対応によるインパクト

 2006年1月の法改正より、UHF帯のRFIDシステムは相互電波干渉を防ぐために、共用化技術対応のリーダ/ライタの利用が必須となりましたが、システム設計に与えるインパクトを簡単に説明します。

 共用化技術対応によって、リーダ/ライタの相互干渉を防ぐために、一定時間、ほかのリーダ/ライタからの電波の発射を確認したうえで、同じチャネルにならないように自らのリーダ/ライタの電波を発射することになりました。このListen Before Talk(LBT)という技術では読み取り処理をする前に、ほかのリーダ/ライタからの電波の発射の有無を確認してから、同じ周波数帯を避けて電波の発射をするための待ち状態ならびに停止が必要となります。

 例えば、リーダ/ライタは以下のようなステップで処理をします。

  1. チャネルの空き状態の確認(5ミリ秒以上)
  2. 空きチャネルでの電波発射(送信時間4秒以内)
    ※ほかのリーダ/ライタは同一チャネルの利用不可
  3. チャネルの解放ならびに停止(50ミリ秒以上)
    ※連続利用なら1に戻る

 1台のリーダ/ライタで読み取りをする場合でも、停止時間と送信時間を見込む必要がありますので、対象物が速度を伴って移動する場合には、特に注意して設計をしてください。また複数のリーダ/ライタを利用する場合は、各リーダ/ライタの送信にかかわるタイムチャートを作成するなどして確認をしてください。

 今回は、モード、アクセスメソッド、ソフトウェア処理などを中心に解説してきましたが、現場での適用に当たっては、設定やコマンド選択は、業務要件と担当のシステムエンジニアの設計思想によります。RFIDのソフトウェアに興味がある方は、各メーカーの提供している開発キットなどで新鮮な体験をエンジョイしてください。

3/3
 

Index
RFIDのソフトウェア処理を理解する
  Page1
ハードウェアの構成を理解する
ソフトウェア・シーケンスの概要を理解する
  Page2
リーダ/ライタのモードとアクセスメソッド
ユーザーメモリをどのように読み取るか
Page3
UHF帯の共用化技術対応によるインパクト


Profile
西村 泰洋(にしむら やすひろ)

富士通株式会社
ユビキタスシステム事業本部
ビジネス推進統括部
ユビキタスビジネス推進部
担当課長

物流システムコンサルタント、新ビジネス企画、マーケティングを経て2004年度よりRFIDビジネスに従事。

RFIDシステム導入のコンサルティングサービスを立ち上げ、自動車製造業、流通業、電力会社など数々のプロジェクトを担当する。

著書に「RFID+ICタグシステム導入構築標準講座(翔泳社)」がある。

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