第2回 RDSC Framework for Logisticsをインストールしよう


須永 啓太
イー・キャッシュ株式会社
プロフェッショナルサービス事業部
執行役員
2007年1月26日


 RDSC Adapterのセットアップ

 では、実際にRDSC Adapterのセットアップを行ってみます。RDSC Adapterは、リーダ/ライタを制御して、ALE ServicesにEPC(Electronic Product Code)データを送信する、EPCglobalネットワークシステムでいうRFID Middlewareの部分を担っているコンポーネントです。

 RDSC Adapterはリーダ/ライタに対して制御コマンドを送信し、RFIDタグからEPCを取り出し、その情報をALE Serviceに対してReader ProtocolというXML形式のデータフォーマットで送信する役割を担います。Reader Protocolは、EPCglobalネットワークシステムにて定められた仕様ですので、この仕様に準拠しているALE Serviceであれば、RDSC Framework for Logistics以外で実装されたALE Servicesとも通信が可能ということになります。

 また、RDSC Adapterは複数の種類のリーダ/ライタに対応しています。リーダ/ライタを別のものに切り替えるには、設定ファイルを編集するだけで可能になっており、現在以下のリーダ/ライタに対応しています。

製品名 使用周波数 説明
FEC URWI-201 13.56Mhz
FEC社製RFIDリーダ/ライタ。USBインターフェイス接続
FEC ORWI-001 13.56Mhz FEC社製RFIDリーダ/ライタ。RS-232Cインターフェイス接続
TAKAYA TR3シリーズ 13.56Mhz Takaya社製RFIDリーダ/ライタ。RDSC Frameworkでは、RS-232Cインターフェイス接続タイプのみサポート

 現状では、UHF帯のリーダ/ライタを公式にサポートしていません。しかし、今後のリーダ/ライタ対応ラインアップとして対応が予定されているので期待したいところです(近日中にSymbol Technologies社製UHF帯リーダ/ライタの対応が予定されています)。

 それでは、RDSCAdapterSetupをセットアップしてみたいと思います。RDSCAdapterSetup.msiをクリックして、インストールを完了させてください。

 RDSC Adapterは、RFIDタグにEPCを書き込むための実行モジュール「TagWriter」とRFIDタグに書き込まれたEPCを読み出してALEに送信する実行モジュール「ReaderHost」の2つで構成されています。また、ReaderHostとTagWriterはそれぞれコンフィグレーションファイルを基に、実際にRDSC Adapterが制御するリーダ/ライタを理解します。

 RDSC Adapterの動作確認―書き込み編

 RDSC Adapterの動作確認をしてみましょう。今回はFEC社のリーダ/ライタ「FEC URWI-201」と、Philips Semiconductors社の「ICode-SLI」チップを搭載したRFIDタグを使用して、動作の確認を行いたいと思います。

 まず、RFIDタグにEPCを書き込むためにTagWriterを使用します。コンフィグレーションファイルを編集して、TagWriterがFEC URWI-201を制御できるようにします。TagWriter.exe.configを以下のように編集してください。

<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?>
<configuration>
  <runtime>
    <assemblyBinding xmlns="urn:schemas-microsoft-com:asm.v1">
      <probing privatePath="bin"/>
    </assemblyBinding>
  </runtime>
  <appSettings>
    <add key="AssemblyPath" value="bin\icode2.dll" />
    <add key="ReaderDeviceClass" value="jp.rdsc.rw.fec.orwi201.ReaderDeviceImpl" />
    <add key="ComPort" value="2" />
  </appSettings>
</configuration>

 RDSC Adapterは、リーダ/ライタごとに制御用のDLLを持っています。ここで定義されているXML要素のうち、「AssemblyPath」はどのリーダ/ライタの制御用DLLを呼び出すかを指定しています。また、「ReaderDeviceClass」は、読み込んだDLLの中で、どのクラスをリーダ/ライタ制御用のクラスとして認識させるかというものです。

 TagWriterを起動すると以下のような画面が表示されます。実際にEPCをRFIDタグに書き込んでみましょう。

 前回、SGTINについて紹介しましたが、SGTINは「GTIN+シリアル番号」です。例えば「urn:epc:tag:sgtin-96:0.4912345.67890.1001」と表現されるEPCがあった場合、インディケータには「0」、企業コードには「4912345」、商品コードには「67890」、シリアル番号には「000001001」が設定されていることになります。

 これを日本で使われているJANコード(日本で流通しているバーコードはほとんどがこの規格です)で表すと「4912345 67890 3」、GTINで表すと「04912345678903」になります。JANコードとGTINの最後の「3」という数字はチェックデジットで、バーコードの誤読み取りを防ぐために用意されているものです。ICタグには必要ないものですので、SGTINには含まれていません。

 では、実際にテキストエリア内に「urn:epc:tag:sgtin-96:0.4912345.67890.1001」と入力して書き込みボタンを押してみましょう。RFIDタグにEPCが書き込まれます。

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Index
RDSC Framework for Logisticsをインストールしよう
  Page1
RDSC Framework for Logisticsのインストール
Page2
RDSC Adapterのセットアップ
RDSC Adapterの動作確認―書き込み編
  Page3
RDSC Adapterの動作確認―読み出し編
リーダ/ライタ制御を簡略にするためのミドルウェア


RDSC Frameworkで体験するEPCglobal 連載インデックス


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