第3回 タグとEPCISをつなぐALE Serviceを使ってみよう


須永 啓太
イー・キャッシュ株式会社
プロフェッショナルサービス事業部
執行役員

宮田 高司
イー・キャッシュ株式会社
プロフェッショナルサービス事業部
2007年6月28日
まだすべての仕様が定まっていないEPCglobalネットワークシステムだが、フリーのミドルウェア「RDSC Framework」を使って、体験してみよう。EPCglobalが目指すモノが見えてくるだろう(編集部)

 第2回では、RDSC Framework For Logisticsのコンポーネント群から、「RDSC Adapter」について説明しました。これは、EPCglobalネットワークシステムでいう“RFID Middleware”の部分を担っているコンポーネントです。

 今回は、EPCglobalネットワークシステムでいうところのALEに該当する「ALE Service」について説明します。

 ALE Serviceとは何か?

 RDSC Adapterは、リーダ/ライタからRFIDタグのEPCデータを読み込み、そのデータをALE Serviceに送信する機能を担っていました。ALE Serviceは、受信したデータを選別して、EPCISに送信する役目を担っています。なお、ALE Serviceは、ASP.Netで実装されたWebアプリケーションです。

 ALE Serviceで使用するコンポーネントの動作環境は以下のとおりです。さらに、詳細な情報が必要な場合は、「RDSC Framework for Logisticsリリースノート」を参照してください。

コンポーネント名 動作保障OS 必要なソフトウェア
ALE Service Windows Server 2003(SP1)
Windows XP Professional(SP1a、SP2)
Windows 2000 Professional(SP4)
Microsoft .Net Framework 2.0(最新パッチを適用したもの)
Microsoft ASP.NET 2.0
IIS5.0、IIS5.1、IIS6.0(OSに対応したもの)
 

【RDSC Framework for Logistics リリースノート】
http://www.rdsc.jp/middleware/note.html

 ALE Serviceの役割を簡単にいってしまえば、リーダ/ライタを使ったアプリケーションを作成した場合に、EPCデータを扱いやすいように整形し、提供するものです。

 図のようにALEは、タグを直接扱うリーダ/ライタとアプリケーションの間に存在します。ALEはアプリケーションでEPCデータを扱いやすいように加工するインターフェイスとデータの送受信をするインターフェイスで構成されています。ALEの機能は、大きく分けて以下のように定義されています。

●EPCデータの受信

 RFIDシステムでは、複数個のリーダ/ライタが必要になることがあります。このとき、それぞれのリーダ/ライタがEPCISに直接データを送信する形は、管理上、望ましくありません。

 例えば、リーダ/ライタにRFIDタグをかざした状態でEPCデータを読み込むと、読み込みイベントが一定間隔で延々と上がってきます。このような連続するデータを、そのままEPCISが取り込んでしまうと、意味のないデータを含む膨大なデータ処理が発生します。この結果、リソースの無駄使いや過度な負荷をEPCISに与えてしまいます。

 ALE Serviceは、リーダ/ライタとEPCISとの間でデータを仲介することで、RFIDタグからの連続するデータを監視します。

●EPCISへのデータ送信

 ALE Serviceは、受信したEPCデータの中から必要なものだけをEPCISに送るためにフィルタリングや統合を行います。このようなEPCデータは、EPCglobalで定義されたECReport形式で送信されます。

 このように、ALE ServiceはRDSC AdapterとEPCISをつなぐ重要な機能が実装されています。

 ALE Serviceで扱うリーダ/ライタを指定する

 それではALE Serviceの設定をしてみましょう。まず、前回ダウンロードしたファイルの中から「ALEService.msi」を実行して、インストールを完了させてください。

 ALE Serviceは、IIS上に配置するので、IISの設定変更が必要となります。インストール時に指定したIISのディレクトリ直下に「App_Data」というフォルダが存在します。その中の「readers.xml」というファイルを編集します。

 readers.xmlは、ALE Serviceがコントロールするリーダ/ライタを定義するファイルです。ALE Serviceでは、リーダ/ライタの管理を用意にするために、個々のリーダ/ライタに任意の名前を付けられます。

 今回は、前回セットアップしたRDSC Adapterを使用して、EPCISにデータを送るところまでを確認します。そこで、ReaderHost.exe.configで指定したReaderNameである「reader1」を使用してセットアップを進めます。

 では、LogicalReader nameに「LogicalReader1」、PhysicalReader nameに「reader1」と設定しましょう。

<LogicalReaders>
 <LogicalReader name="LogicalReader1">
 <PhysicalReader name="reader1" />
 </LogicalReader>
</LogicalReaders>

 これで「reader1」という論理名を付けたリーダ/ライタからのEPCデータを、ALE Serviceで受信できるようになりました。また、「reader1」は、前回紹介したjp.rdsc.rp.ReaderHost.exeで設定したものと同じ値です。この設定により、RDSC Adapterから読み込んだRFIDタグの情報をALE Serviceで処理できるようになります。

 
1/3

Index
タグとEPCISをつなぐALE Serviceを使ってみよう
Page1
ALE Serviceとは何か?
ALE Serviceで扱うリーダ/ライタを指定する
  Page2
ALE Serviceが動作するIISの設定
HTTPPostのインストール
  Page3
HTTPPostの動作確認


RDSC Frameworkで体験するEPCglobal 連載インデックス


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