第8回 なぜクラスタリングにSELinuxを使わないのか!
面 和毅
サイオステクノロジー株式会社
OSSテクノロジーセンター
開発支援グループ
グループマネージャー
2008/4/16
クラスタリングとSELinux、相性はバッチリ……?
実際にサーバを運用していくうえで、クラスタリングというキーワードは避けては通れないでしょう。クラスタリングソフトを使用した際に、SELinuxを無効にしなくてはならないのか気になるところだと思います。そこで今回から数回にわたって、クラスタリングとSELinuxの関係について紹介します。
クラスタリングにもいろいろな種類がありますが、今回はサンプルとして、比較的理解が簡単なアクティブ/スタンバイ型を例にして検証を行います。
クラスタリング・Powered by SELinuxの検証環境
今回は、検証環境として図1のような環境を想定しています。
図1 クラスタリングを実現するための検証環境 |
- プライマリ :CentOS 5.1
- セカンダリ :CentOS 5.1
の2台のマシンが、アクティブ/スタンバイのクラスタリングを構成し、Apacheを動作させています。外付けの共有ストレージがあり、コンテンツファイルが格納されています。
クラスタは、アクティブになったマシン上で、
- 仮想IPアドレス(クライアントPCからApacheに接続する際のIPアドレス)
- 共有ディスク(Apacheのコンテンツファイルを格納)
- Apache(仮想IP上で動作)
を提供し、障害が発生した場合には上記3つのリソースをスタンバイ側に移動します。
図2 アクティブ/スタンバイでは障害時にそれぞれのリソースがスタンバイ側に移動する |
さらに今回は、手元の環境で簡単に再現ができるように、検証環境(プライマリ/セカンダリの両マシン)をVMWare Serverを用いて作成しています。
VMWare Serverを用いた共有ディスクの実現
今回、共有ディスクを作成するためにVMWare ServerでSCSIデバイスとしてHDDを追加しています。
この際、注意点としてはHDDへの書き込みがすぐに反映される「Persistentモード」を使用することです。
そのほか、クラスタリングのための共有ディスクを作成する際には、パラメータをある程度修正した方がよいようです。
【参考】 VMWareコミュニティ Shared SCSI for clustering in VMWare Workstation http://communities.vmware.com/message/107057 |
VMware設定ファイル(.vmx)にて、共有ディスクを設定するために追記した部分をリスト1に挙げます。
scsi0.sharedBus=virtual diskLib.dataCacheMaxSize = "0" diskLib.dataCacheMaxReadAheadSize = "0" diskLib.dataCacheMinReadAheadSize = "0" diskLib.dataCachePageSize = "4096" diskLib.maxUnsyncedWrites = "0" disk.locking=FALSE scsi0:1.redo = "" scsi0:1.mode = "independent-persistent" |
リスト1 .vmxファイルに追記した部分 |
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なぜクラスタリングにSELinuxを使わないのか! | |
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