特集 3. ドメインによるNASの統合の実際 |
PowerVault 715Nは、前述のようにWindows Powered NASを採用しているためドメイン・ネットワークの場合、「サーバー アプライアンス名の設定」でドメイン名を設定すれば、自動的にドメイン・コントローラに統合される。これにより、PowerVault 715N上でグループやユーザーを作成する必要はなく、ドメイン・コントローラが保持しているグループ/ユーザー情報が継承される。Web UIを使って「User」や「Home」といった共有フォルダをデータ領域であるE:ドライブに作成しておけば、管理者権限を持つユーザーならエクスプローラを使って新規フォルダの作成やアクセス権の設定が行える。この点は、ドメインのメンバであるWindows 2000 Server上のフォルダを操作するのと同じだ。
PowerVault 715Nの共有フォルダにアクセスしたところ |
クライアントPCからPowerVault 715Nの共有フォルダにアクセスすると、Windows 2000 Serverなどと同様に見える。アクセス制御の動作も同じなので、Windowsネットワーク環境ならば違和感はまったくない。 |
フォルダのアクセス制御の画面 |
[場所]には、PowerVault 715Nが参加しているドメイン名が表示されている。ここで、ドメインで管理されているグループ/ユーザーに対してアクセス権を設定することができる。 |
単にファイルの共有を行いたいだけならば、これだけの設定で使い始めることができる。さらにディスク・クオータ(容量制限)機能もサポートしており、ユーザーごとに利用可能な最大容量を設定することも可能だ。こうしたファイル管理の部分は、Windows 2000 Serverと同様なので、普段からWindows 2000 Serverの管理をしている人にとっては非常に分かりやすいだろう。
詳細設定はターミナル・サービスを利用
Windows Powered NASでは、通常の設定と管理をWeb UIで行えるため、Windows 2000 Serverの知識はそれほど必要とされない。しかし、初期状態のハードディスク構成を大幅に変更するような場合は、以下の画面のような「ターミナル・サービス」を利用して、Windows Powered NASを直接操作する必要がある。例えば、工場出荷時のデータ領域は4台のディスクを使ったRAID 5に設定されているが、これをRAID 1×2台の構成にするような場合だ(RAID 5からRAID 0へはWeb UIで変更可能)。
今回は、試しにデータ領域を再びRAID 5に再構成してみたところ、データ領域のフォーマットならびにRAID 5の構成に2時間30分ほどかかった。この間、PowerVault 715Nのデータ領域(E:ドライブ)へはアクセスできなくなる。通常、こうした操作を行う必要性はまったくないが、ターミナル・サービスを使うことで、幅広い設定が行えることは覚えておくと便利だ。
アプライアンス・サーバだけあって、NASの設定/管理方法は非常に容易である。これはPowerVault 715Nに限ったことではなく、ほとんどのNASがWebブラウザを使い、簡単なメニュー操作で設定/管理が行えるようになっている。この点が、Windows 2000 ServerなどのOSを利用したファイル・サーバとの大きな違いとなる。
次ページでは、PowerVault 715Nのハードウェア構成を見ていく。通常のサーバとどういった点が異なっているのだろうか。
INDEX | ||
[特集]NAS導入事始め | ||
1.NASの概要と選択ポイント | ||
2.NASの設定を試してみよう | ||
3.ドメインによるNASの統合の実際 | ||
4.NASのハードウェアを見てみよう | ||
5.NASのメリット/デメリット | ||
「System Insiderの特集」 |
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