特集 5. NASのメリット/デメリット |
ここまでNASの概要ならびにPowerVault 715Nを例に設定・管理方法とハードウェア構成を見てきた。設定・管理の容易さがお分かりいただけただろうか。
PowerVault 715Nのシステム価格は、評価機の構成で21万4000円である。同じようなハードウェア構成のエントリ・サーバが約10万円+OSの値段で購入できることを考えると、価格的にはそれほど変わらない(ディスク構成などが同じにできないため単純に比較はできないが)。アプライアンス・サーバというと、設定・管理が簡単なうえ、価格が安いことがメリットとして強調されることが多い。しかし、実際には量産効果と価格競争から、特にエントリ・サーバを中心に汎用サーバの低価格化が進んでいるため、NASのように機能的に単純なアプライアンス・サーバとの価格差は縮まっているようだ。またNASでは、設定・管理の容易さのトレードオフとして、グループウェアなどのサーバ・アプリケーションが利用できない点にも注意したい。
つまり、NASを企業内のファイル・サーバとして導入する場合、価格的なメリットよりも、設定・管理の容易さの点を重視すべきだ。単にファイル・サーバとしてしか利用しないことが明らかな場合は、汎用サーバを使うよりもNASの方が圧倒的に管理の手間を削減できる。特に専任の管理者を置けないような部署や支社などでは、NASの導入は有効だろう。
2002年に入り、サーバ・ベンダやストレージ・ベンダ以外の多くのベンダがNAS市場に参入し、製品のラインアップが充実してきた。これにより、用途や規模、性能によって製品が選択できるようになってきている。ファイル・サーバの管理に不安を感じていたり、面倒だと思っていたりするのならば、置き換えとしてNASを検討してみることを勧めたい。
INDEX | ||
[特集]NAS導入事始め | ||
1.NASの概要と選択ポイント | ||
2.NASの設定を試してみよう | ||
3.ドメインによるNASの統合の実際 | ||
4.NASのハードウェアを見てみよう | ||
5.NASのメリット/デメリット | ||
「System Insiderの特集」 |
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