ユーザビリティのヒント(2)

「メールが送信されました」
伝えるのなら、控えめに
「Yahoo!メール vs Gmail」

ソシオメディア 上野 学

2006/7/28

Webアプリケーションのユーザーインターフェイスデザインに役立つさまざまなTips集。Yahoo!メールとGmail、使いやすいのはどっち?という疑問から使いやすいユーザーインターフェイスを考えてみましょう(編集部)

 前回から始まったこの「ユーザビリティのヒント」ですが、今回もいくつかのTipsをご紹介しながら、Webアプリケーションのユーザーインターフェイスやインタラクションデザインについてボトムアップに考えていきたいと思います。

 できるだけウィンドウオブジェクトを制御しない

 Webアプリケーションによっては、JavaScriptなどを使用して、ウィンドウの開閉、サイズの変更、スクロールバーやボタン類を隠す、アドレスバーやステータスバーを隠す、といったことを行っていると思います。実はこのような、ブラウザのウィンドウオブジェクトに対する制御は、できれば避けたいところです。なぜなら、ブラウザーウィンドウはシステム管理者のものではなく、ユーザーのものだからです。

 ユーザーは普段いろいろなウェブコンテンツを閲覧していますから、ブラウザーの扱いについてはかなり慣れているといえるでしょう。ユーザーはそれぞれ自分なりの使い方を持っていて、ウィンドウを全画面表示にするのかどうか、お気に入りや履歴をどれぐらい使うのか、右クリックやキーボードショートカットをどれぐらい使うのか、ボタン類をどのような表示方法に設定しているのか、といったことは人それぞれです。システム側がこれらの機能を勝手に変更してしまうと、ユーザーはいつもの使い方ができなくなって困ります。もしテレビを見ていて、ある番組では音量調節がまったくできなくなるとしたらどうでしょうか?

 インタラクションデザインとして、あるリンクをクリックすると新しいウィンドウが開いてそこにリンク先のページを表示されるようにすることがあると思います。そのような仕掛けにするのは普通、「元の画面は残したまま、新しい画面を表示させたい」という理由からです。なぜ元の画面を残しておきたいのかというと、「またそこに戻ってほしいから」「戻る必要があるから」でしょう。しかし「ユーザーが選びやすいフォームのカタチを考えよう」でも書いたとおり、ユーザーはウェブに対して、1つのブラウザウィンドウの中で画面が展開されていくことを漠然と期待しているため、自動的に新規ウィンドウが開くと混乱してしまうことがあります。

 ダイアログとして新規ウィンドウを表示させることもありますが、利用環境が特定されているような業務システムを除いて、このような「ウェブにおいてはイレギュラーな」インタラクションは避けた方が無難でしょう。

 利用環境が特定されている場合は、元のウィンドウと新規ウィンドウの親子関係を視覚的に明確にして、きちんとモーダルな存在として振る舞うように作り込むことが重要です。ダイアログが親ウィンドウの後ろに隠れてしまったままそこに居座り続けるといったことがないように注意する必要があります。

モーダルダイアログ:モードを持ったダイアログ。ダイアログが閉じられるまで他の操作を行えなくなる。

 リッチクライアントの場合、デスクトップアプリケーションのGUIにかなり近いデザインが可能なため、マルチウィンドウを使った立体的なインタラクションを実現したいと考えるかもしれません。特に従来のクライアント・サーバ形式のアプリケーションをウェブベースに移行する際にはそういったデザインになりがちですが、一時的なモーダルダイアログを除いて、基本的にはシングルウィンドウでの画面展開とし、ウィンドウがもともと持っている機能(それから右クリックで呼び出せる機能)をむやみに制限しない方がよいでしょう。

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 INDEX

ユーザビリティのヒント(2) 
Page1<できるだけウィンドウオブジェクトを制御しない>
  Page2<正常であることを報告するためにダイアログを使わない>
  Page3<可逆的な操作に対していちいち確認を取らない>
  Page4<コモンケースにいちいち確認を取らない>
  Page5<フリップフロップを使わない>
  Page6<基本コントロールの振る舞いを変えない>

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