[Competition] PDF編集ツール デジタルアドバンテージ 島田 広道2009/08/19 |
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スペック表インデックス
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PDF(Portable Document Format)といえば、広く普及している電子文書の標準的なフォーマットである。文書を作成したアプリケーションが何であれ、PDF形式にしておけば、無料で提供されるPDFビューア(Adobe Readerなど)でどこでも文書を表示したり、印刷したりできる。このように幅広く配布可能な形式であると同時に、図版や組版処理などテキスト・ファイルでは不可能な文書構成が可能なことから、最近では私文書だけでなく、企業のニュース・リリースや、官公庁が公開する文書などにもPDFが広く利用されるようになっている。
このように閲覧の機会ばかり多いことから、PDFは文書を閲覧するためのフォーマットと思っている人が多いかもしれない。しかし実際には、PDFはエンドユーザーのレベルで作成や編集も可能な文書フォーマットでもある。
例えば、プロジェクトで利用する図面や文字主体の文書など、それぞれを別々のアプリケーションで作成しながら、PDF形式で統一して文書交換したり、保存して再利用したりする場合がある。大幅な修正であれば、元アプリケーションに戻って修正し、PDFを再作成する必要があるが、誤字脱字の修正や日付の変更程度なら、PDFの状態で簡易に修正できると便利だ。今回は、こうした目的に使える編集機能を備えたPDF編集ツールを取り上げる。
PDF編集ツールの分類
PDF関連のソフトウェア・ツールというジャンルにおいて、PDF編集ツールは、ほかの文書フォーマットからPDFへ変換するだけのツールの上位製品としてラインアップされていることが多い。この変換専用ツールは、WordやExcelなどといったアプリケーションの文書をPDFに変換するのが主な機能で、編集機能はないか、あっても限定的だ。おおよそ5000円以下の廉価で販売されていることが多い。
それに対しPDF編集ツールは、PDFへの変換機能を内包しつつ、PDFを編集するさまざまな機能を装備した製品と位置付けられる。さらに編集ツールは、PDF文書に追記のみ可能というタイプと、PDF文書内のテキストなどを修正できるタイプに分類できる。前者は、PDF文書にテキストや図形を追加可能だが、もともとのPDF文書内にあるテキストなどは修正できず、自分で書き加えた要素のみ編集できる。そのため、前述のようにPDF文書のまま手直しするような用途には、後者のタイプの製品が当てはまる。本稿では、この後者のタイプの製品から、編集とPDFへの変換以外の機能も充実している高機能なツールをリストアップした。
PDFの開発元、アドビシステムズの製品について
ここで、PDFの開発元であるアドビシステムズ(以下アドビ)のAcrobat 9について補足しておきたい。以下に紹介するスペック比較表で価格だけを比較してしまうと、Adobe Acrobat 9 Standardは大して機能差がない割に高額で見劣りしてしまうかもしれない。
アプリケーションを選ばず、どのようなアプリケーションからも出力できることがPDFの大きなメリットだが、かつては、アプリケーションでの編集結果が正しくPDFに反映されないなどのトラブルもままあった。PDF開発の歴史は、こうした異なるアプリケーションとの組み合わせで、正しい結果を出力可能にするノウハウ蓄積の歴史といっても過言ではないだろう。PDF開発元のアドビ製品は、この点で最も安心できるメーカーであることは間違いない。本稿の目的は、PDF編集ツールをリストアップし、主要機能を比較することであり、実際に使用して評価するものではないので、製品の信頼性や互換性の点については確認していない。ビジネス利用でひとたびトラブルが起これば、とたんにコスト増や信用不安を招く恐れもある。単純な価格比較だけでなく、信頼性についてもご検討いただきたい。
スペックにおけるPDF編集ツールの注目ポイント
以下、スペック表の大分類ごとに注目ポイントを記す。
■PDF文書の編集
編集ツールである以上、PDF文書内のテキストや画像、表などの要素をどのように編集できるかは、重要なポイントである。PDFのまま文書を手直しできる範囲は、これによって大きく左右される。
文書を配布する前に、不要になった部分あるいは公表すべきでない部分を隠したいことがある。[スミベタ・黒塗りの追加]の機能があれば、黒いボックスを重ねて隠すことが可能だ。製品によっては、視覚的に隠すだけでなく、電子的に元の要素を消去できる場合もある。
複数の文書を1つのPDFにまとめる機会が多い場合は、ページ単位の編集機能(ページの順番入れ替えや分割など)が有用なので注目した方がよいだろう。
■他文書からPDFへの変換機能
前述のようにPDF編集ツールはPDFへの変換機能も装備しているので、その機能についても比較している。
一般的に、PDFへの変換には元のアプリケーションの印刷メニューを用いることが多いが、操作ステップが多くなりがちで不便なこともある。しかし、[直接PDFへ変換できるアプリケーション]に記載のアプリケーションは、メニューやツール・バー・ボタンなどを介して、ほぼワンタッチ操作で直接PDFへの変換を実行できる。
複数の文書を取り扱う場合、1つのPDFに統合したり一括で変換したりする機能は重宝するはずだ。それゆえか、これらの機能には全製品が対応している。
他文書からPDFへの変換では、元の文書の表現をどれだけ忠実にPDFで再現できるかが非常に重要なポイントとなる。しかし、これはスペックからは容易に判断できない。評価版ソフトウェアなどが提供されているなら、実際に試用して確認するとよいだろう。
■PDFから他文書への変換機能
例えば変換前の元文書が存在せず、かつPDFのままでは編集できないほど大幅に修正する場合は、この機能が役立つ。PDFからほかのアプリケーション用文書に変換後、そのアプリケーションで編集してからPDFへ変換し直せばよい。ただ、Adobe Acrobat 9 Standardを除けば、変換可能な文書はWord/Excel/画像など代表的なものに限られる。
■PDF文書に対するセキュリティ設定
PDFにはもともと、閲覧やコピー、印刷、編集などを禁止(制限)するセキュリティ機能があり、文書に対して埋め込める。ここでは、こうしたセキュリティの設定をPDF編集ツールから制御できるかどうか、調査してみた。
■上記以外の機能
編集や文書フォーマットの変換、セキュリティ設定とは別の機能については、本欄に記載している。本稿の主題であるPDF編集からは外れるが、ニーズに合致する機能があれば、結果として低コストで導入できる可能性があるので確認しておきたい。
ベンダ | 製品名 | 提供形態 | 詳細スペック表へ |
アドビシステムズ | Adobe Acrobat 9 Standard | リセラー / 直販 | |
クロスランゲージ | PDF Works 作成・編集・変換 | リセラー / 直販 | |
ジャストシステム | JUST PDF オールインワンパック | リセラー / 直販 | |
ソースネクスト | いきなりPDF COMPLETE 4 | リセラー / 直販 | |
比較対象の製品一覧 |
INDEX | ||
Competiton | ||
PDF編集ツール | ||
1.スペック表の各項目について | ||
2.スペック表:アドビシステムズ Adobe Acrobat 9 Standard | ||
3.スペック表:クロスランゲージ PDF Works 作成・編集・変換 | ||
4.スペック表:ジャストシステム JUST PDF オールインワンパック | ||
5.スペック表:ソースネクスト いきなりPDF COMPLETE 4 | ||
「Competition」 |
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