[System Environment] | |||||||||||
Virtual PC/Virtual Serverでエミュレートされるネットワーク・インターフェイス
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解説 |
Virtual PC 2004やVirtual Server 2005では、仮想的なコンピュータ・システム(仮想マシン)を構築し、その中で各種のOSやアプリケーションを動作させている。デバイスまでも仮想化することにより、ホストOSが稼働するコンピュータやOS環境に依存することなく、常に同じ状態で仮想マシンを稼働させることができる。仮想マシンでエミュレーションされるハードウェア・コンポーネントは、いまとなってはやや古いが、現実のものをベースにしている。そのため、ほとんどのOSやアプリケーションにおいて、特別なドライバなどを用意しなくても利用できることが多い。だが、場合によってはドライバが用意されていないことがある。
例えば、ネットワーク・インターフェイスは「DEC DC21140A」というイーサネット・コントローラ・チップをベースにしているが、このドライバが利用できないことがある。以下の画面はSymantec社の「Symantec Ghost」という、ディスク・イメージのバックアップ/リストア・ソフトウェアにおける、ブートディスク・ウィザードの例である。このソフトウェアでは、MS-DOS上のNDISドライバを使って、ディスク・イメージをサーバへ転送するが、利用するネットワーク・インターフェイスに応じて、適切なNDISドライバを利用する必要がある。しかしDEC DC21140AのためのNDISドライバは用意されておらず、このままでは利用できない。
Symantec Ghostのブートディスク作成ウィザード画面の例 |
Ghostのブートディスク(FD)には、利用するネットワーク・インターフェイスに合わせたNDISドライバを導入する必要があるが、「DEC DC21140A」という名称のドライバは用意されていない。 |
互換ハードウェアのドライバで代用する
該当するハードウェアのドライバが用意されていなくても、ネットワーク・インターフェイスならば、別のドライバで代用できることが多い。実際のネットワーク・インターフェイス・カードを見ると分かるとおり、その構造は非常にシンプルである。たいていの場合は、ネットワーク・コントローラ・チップのほかに、若干の部品(シリアルEEPROMなど)を組み合わせているだけである。
DEC DC21140Aを使ったネットワーク・インターフェイスの例(型番不詳) | |||||||||
Virtual PC 2004やVirtual Server 2005では、DEC DC21140Aというチップを使ったネットワーク・インターフェイスをエミュレートしている。ただしコントローラ・チップはDC21140Aだが、ネットワーク・インターフェイス・カードとしては特定の製品を想定しているわけではないようである(ベンダを識別するコードであるMACアドレスの先頭3bytesは、Microsoft社に割り当てられている「00-03-FF」となっている)。 | |||||||||
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Virtual PC 2004やVirtual Server 2005でエミュレートされているDEC DC21140Aは、このイーサネット・コントローラ・チップの1つである。このようなコントローラ・チップはメーカーごとにいくつかあるが、根本的なアーキテクチャのバリエーションはそう多くない。同じ種類(系列)のチップを使いながらも、付属しているドライバの出来や機能などで差別化が図られている。
DEC DC21140Aは、コントローラ・チップの名称であるが、実際の製品ではこのチップ名ではなく、ネットワーク・インターフェイス・カードごとにブランド名や製品名が付けられる。そのため、同じドライバで動作するものでも、異なる製品となる。このような製品を互換製品という。また、DEC DC21140Aと互換のコントローラ・チップもある。以下に互換製品の名称をいくつか挙げておくので、DEC DC21140A用ドライバが見当たらない場合は、これら(のドライバ)で代用するとよいだろう。
名称 | 備考 |
DEC DC21140A/21140/21x4x/21xxx | Virtual PC 2004/Virtual Server 2005でエミュレートされている、イーサネット・コントローラ・チップの名称。先頭の「DC」や末尾の「A」は型番としてみる場合は無視すること。開発元はDEC社。この系列(アーキテクチャ・ファミリ)のチップを総称して21x4xとか21xxxなどと呼ぶこともある(xには、バージョンアップに伴って任意の数字が入る) |
DEC Tulipチップ | TulipはDEC 21x4xのコード名。Linux用のドライバなどでは、このチップ向けのドライバをまとめてtulip.cというファイルで提供している |
Intel 21140 | DEC社の半導体部門はIntel社に譲渡されたため、最終的なサポートやドライバは、Intel 21140という名称で提供されていることが多い |
ADMtek(Infineon) AN983 | AN983はADMtek社(現Infineon Technologies社)の開発した、21x4x互換のイーサネット・コントローラ・チップ |
DAVICOM 9102 | 21x4x互換のイーサネット・コントローラ・チップ |
Macronix MX98713/MX98715 | 21x4x互換のイーサネット・コントローラ・チップ |
Accton EN1207 | Accton社の販売している、21x4xを利用したネットワーク・インターフェイス・カード |
D-Link DFE-500 | D-Link社の販売している、21x4xを利用したネットワーク・インターフェイス・カード |
Planex FNW-9802 | Planex社の販売している、AN983を利用したネットワーク・インターフェイス・カード |
DEC DE500 | 21140チップを用いた、DEC社製のネットワーク・インターフェイス・カード |
Corega FastEther PCI-TX | Corega社の販売している、21140を利用したネットワーク・インターフェイス・カード |
21140互換ネットワーク・インターフェイスの例 | |
DEC DC21140Aと互換性のあるコントローラ・チップやネットワーク・インターフェイス・カードの例。これらのドライバなら代用できる可能性がある。ただし各ベンダの正規ドライバでは、場合によっては他社製品では動作しないようになっていることがあるので、注意する。 |
ここに挙げた名称(のインターフェイス)と同じものが見つからないとしても、ネットワーク・コントローラ・チップ(やネットワーク・インターフェイス・カード)は、互換性を保ったまま後継製品が開発されるのが普通なので、似たような名称のものを探して試行してみるとよいだろう。例えばDEC DC21140Aの後継チップは「21143」などという型番になっているので、それを利用するとよい。
互換インターフェイス用ドライバに対する注意点
互換インターフェイスに対するドライバは、本来の製品向けとは異なるので、場合によっては動作しなかったり、その製品独自の機能が利用できなかったりするので注意する必要がある。また性能も最大に発揮できないかもしれないので、あくまでも代用であるということを理解して利用していただきたい。
例えば、DECのDE500ネットワーク・インターフェイス・カード(21140チップを使用したDEC純正のネットワーク・インターフェイス)用のNDISドライバをVirtual Server上のゲストOSに組み込もうとしたところ、DE500カードが見つからないというエラー・メッセージが表示された。このように、本来の製品以外では動作しないようになっている場合もあるので、ほかのドライバも試すとよい。
関連リンク | ||
Emulated hardware devices in Microsoft Virtual Server 2005[英文](マイクロソフト サポート技術情報) | ||
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