連載 役に立つXMLツール集(8)
XULとJSFでリッチクライアント 〜XUL編〜 Page 2
www.netpotlet.com
原田洋子
2004/6/16
XULファイルを表示するために何かをインストールする必要はありませんが、サーバ上にあるXULファイルを表示させるためにはセットアップが必要です。
MIMEタイプの設定
XULファイルには拡張子.xulを付けますが、この拡張子に対応するMIMEタイプは通常、Webサーバに登録されていません。サーバがXULコンテンツを提供できるようにするには.xulのタイプ「application/vnd.mozilla.xul+xml」を追加します。本記事ではTomcat 5.0.24を使っているので、「jakarta-tomcat-5.0.24/conf/web.xml」にリスト1の要素を追加します。
<mime-mapping> |
リスト1 MIMEタイプの追加 |
Webアプリケーションの準備
今回はサーバサイドJavaアプリケーションとして動かすので、サーブレットの仕様で決められているWebアプリケーションという名前のディレクトリ構成を作っておかなければなりません。例えばEclipseのTomcatプラグインを使う場合、「Tomcatプラグイン」で説明されているようにインストール、セットアップを行い、Tomcatプロジェクトを作ると、Webアプリケーションが出来上がります。サーブレットの仕様では“Webアプリケーション”ですが、Eclipseでは“プロジェクト”と呼ばれます。ツールを使わずにWebアプリケーションを作る場合は「jakarta-tomcat-5.0.24/webapps」以下に仕様で決められているディレクトリやファイルを作ります。
今回は図1に示す構成のWebアプリケーションを用意します。このWebアプリケーションにはcoveという名前を付けました。従って、Tomcatプロジェクトの名前がcove、あるいはwebapps以下にcoveディレクトリを作り、以下に各ディレクトリ、ファイルを作ります。「+」や「-」の記号が付いているのはディレクトリ、記号がないのはファイルです。
図1 cove Webアプリケーションの構成 |
XULファイルの書きだしはリスト2のようになります。1行目は説明の必要はないでしょう。2行目はMozillaのデフォルトのスタイルを指定している行です。そして4行目のwindow要素ですが、これがXULのルート要素です ※注2。ルート要素では6行目にあるとおり、
xmlns="http://www.mozilla.org/keymaster/gatekeeper/there.is.only.xul"
のように名前空間を指定します。XULの各要素はルート要素windowで囲まれた中に書いていきます。
※注2 XULのルート要素 通常、XULのルート要素はwindowです。ただし、HTMLの<FRAMESET>、<FRAME>、<IFRAME>タグと同様の機能を持つiframe要素から参照されるXULファイルでは、pageをルート要素にすることがあります。ほかにも、ダイアログのためのdialog要素やウィザード表示のためのwizard要素などもルートになります。 |
XULプログラミングには
- 構造を定義するのはXUL要素
- スタイルはCSS
- 振る舞い(ボタンをクリックしたときの動作など)はJavaScript
- 多国語表示はエンティティの参照
- 詳細制御と付加情報はRDF(Resource Description Framework)
というルールがあります。XULで何をどうすればいいのか困ったときは、このルールを思い出してください。
また、XULはXMLですからXML文書に採用されているテクニックは、ほぼXULファイルにも使えます。例えば、リスト3のようにXHTMLの名前空間も宣言すると、XULとXHTMLが混在する記述も可能です。もちろん、双方のタグともレンダリングされます(図2)。このように、XULファイルではXULの要素ばかりではなく、XUL以外のマークアップ言語も書く方法があります。
【リスト2 XULの書きだし(別ウィンドウで表示します)】
【リスト3 XULとXHTMLが混在する文書(別ウィンドウで表示します)】
図2 XULとXHTMLの混在 |
次ページでは、XULを表示させるための準備を行い、基本的なXULの記述方法を解説します。(次ページへ続く)
Page 1 | 2/3 | Page 3 |
Index | |
連載 役に立つXMLツール集(8) XULとJSFでリッチクライアント 〜XUL編〜 |
|
リッチクライアントって何? XULを使いこなす情報源 |
|
XULを表示するための準備 XULの書き方 |
|
XULのサンプル まとめ&サンプルダウンロード |
「連載 役に立つXMLツール集」 |
- QAフレームワーク:仕様ガイドラインが勧告に昇格 (2005/10/21)
データベースの急速なXML対応に後押しされてか、9月に入って「XQuery」や「XPath」に関係したドラフトが一気に11本も更新された - XML勧告を記述するXMLspecとは何か (2005/10/12)
「XML 1.0勧告」はXMLspec DTDで記述され、XSLTによって生成されている。これはXMLが本当に役立っている具体的な証である - 文字符号化方式にまつわるジレンマ (2005/9/13)
文字符号化方式(UTF-8、シフトJISなど)を自動検出するには、ニワトリと卵の関係にあるジレンマを解消する仕組みが必要となる - XMLキー管理仕様(XKMS 2.0)が勧告に昇格 (2005/8/16)
セキュリティ関連のXML仕様に進展あり。また、日本発の新しいXMLソフトウェアアーキテクチャ「xfy technology」の詳細も紹介する
|
|