連載 SQL
ServerでXMLを操作する
第1回:リレーショナルDBからXML文書を取り出す
2. リレーショナルデータをXML文書として取り出す |
■リレーショナルデータとXML文書のマッピング
リレーショナルなデータをXML文書として取り出したり、逆にXML文書をリレーショナルなデータとして格納する場合には、XML文書内のデータとリレーショナルなデータをマッピング(対応付け)してやる必要があります。
SQL Server 2000ではデータベース内のデータをXML文書にマッピングする場合、テーブル名を親要素、列名を子要素または属性として使用して1行分のデータをXML文書に対応させます。行データが複数ある場合、テーブル名を親としたデータの固まりが複数存在することになります。列名が要素名となるか属性名となるかは、指定するオプションで異なります。テーブルとXML文書の関係を図で表すと図1のようになります。
図1 データベースとXML文書のマッピング |
■SQL Server 2000のデータをXML文書として取り出す
さて、ここからは実際のSQL Server 2000の操作法を紹介していきましょう。SQL Server 2000からXML文書形式でデータを取り出す方法には、SELECTステートメントの「FOR XML」句を使う方法と、XPathクエリを使って取り出す方法があります。今回はFOR XML句を使ってデータを取り出す方法を紹介しましょう。
FOR XML句は、SELECT文を記述するときのオプションとしてSQL Server 2000で新しく追加されたものです。SELECT文に「FOR XML」を追加指定することで、データベースから結果をXML文書として取り出せるようになっています。
FOR XML句の構文は、以下のようになります。
SELECT … FOR XML [XMLモード] [, オプション[,
オプション]] |
上記の構文に従ってテーブルの全データを取り出すSQL文を記述すると、以下のようになります。
SELECT * FROM テーブル名 FOR XML AUTO |
FOR XMLの後ろの“AUTO”はFOR XMLのオプションとして、「XMLモード」を指定しています。ほかに“RAW”と“EXPLICIT”があります。XMLモードは、取り出すXML文書の内容を指定するパラメータで、それぞれ次のような機能になっています。
●RAW
テーブルの各行を、汎用の識別子“row”を要素とし、列を属性とした1つのXML要素に変換します。列名は属性名に使用され、XML要素の属性にマップされます。
●AUTO
テーブルの各行について、テーブル名を要素とし列を属性とした1つのXML要素に変換します。列名は属性名に使用され、XML要素の属性にマップされます。さらにオプションを指定することで、結果を入れ子構造のXMLツリー形式にすることもできます。
●EXPLICIT
データのスキーマ定義を明示的にSQL文の中に指定することができます。スキーマとデータ構造を対応させるため、ユニバーサルテーブルと呼ばれるテーブルの形式に合うように特殊なSQL文を構築する必要があります。
さらにオプションとして、以下の記述を加えることができます。
●XMLDATA
データのスキーマ定義を同時に生成します。
●ELEMENTS
列は属性ではなく独立した子要素となります。AUTOモードでのみ有効です。
●BINARY BASE64
バイナリデータを含む列があった場合、BASE64エンコードされて返されます。BINARY BASE64を指定しないでバイナリデータを含む列があった場合は、AUTOモードでは参照が返され、それ以外のモードではエラーになります。RAWモード、EXPLICITモードでバイナリデータを取得する場合はこの指定が必須です。
オプションは、モードによって指定できない場合があるので注意してください。
■FOR XML句でデータを取り出す
今回はURLクエリを使ってデータを取り出してみます。URLクエリは、Webブラウザのアドレスに直接SQLステートメントを記述してデータを取り出す方法です。基本的な記述は、以下のようになっています(実際には1行として入力しますが、例では見やすさのために行を分割しています)。
http://サーバ名/仮想ディレクトリ名?sql= |
SQL文は、SQLステートメントまたはストアドプロシージャ名を記述します。SQLステートメントを記述するときは、空白文字の代わりに“+”を使います。パラメータは、“&”で区切って指定します。「FOR XML」を指定してXML文書としてデータを取り出す場合、XML文書のルート要素をパラメータで指定する必要があります。その場合、“&root=ルート要素名”と記述します。
実際にデータを取り出してみます。先ほど作成したデータベースから、個人情報を取り出してみます。Webブラウザを起動して下記のURLクエリ文を入力します。
http://localhost/Person?sql= |
結果は画面9のようになります。テーブル名が要素名となり、列が属性となって取り出されています。
画面9 データを取り出した結果。XMLモードがAUTOの場合 |
■ELEMENTSオプションの指定
次に、ELEMENTSオプションを指定して取り出してみます。記述は次のようになります。
http://localhost/Person?sql= |
結果は、画面10のようになります。今度はテーブル名を親要素、列を子要素としてXML文書を構築しています。
画面10 データの取り出し結果 - XMLモードがAUTOでELEMENTSオプションを指定した場合 |
■RAWモードの指定
次に、XMLモードをRAWにしてみます。記述は次のようになります。
http://localhost/Person?sql= |
結果は画面11のようになります。今度は親要素がrowになり、列を子要素としてXML文書を構築しています。
画面11 データを取り出した結果。XMLモードがRAWの場合 |
■EXPLICITモードの指定
最後に、XMLモードをEXPLICITにしてみます。記述は次のようになります。
http://localhost/Person?sql= |
結果は画面12のようになります。テーブル名が要素名となり、指定した「氏名」と「年齢」列のみを属性として取り出してきました。
画面12 データを取り出した結果。XMLモードがEXPLICITの場合 |
「FOR XML」句を使ったデータの取り出しは、XMLモードとオプションの指定で変化します。今回実施したURLクエリでは、テーブル名を要素として列を属性にするパターンと、テーブル名を親要素として列を子要素にするパターン、そしてrowを要素にして列を属性にするパターンに分類できます。
今回のように1つのテーブルでデータを表している場合はどの方法でも差はありませんが、複雑にリレーションが張られたテーブル構造の場合には構造に合った方法を選択するべきです。
次回は取り出したデータを、XSLTを使ってスタイルに合わせて表示する方法を紹介します。今回はURLクエリでデータを取得しましたが、VBScriptやJScriptを使ってデータを取り出す方法についても紹介していきます。
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Index | |
SQL ServerでXMLを操作する | |
SQL
Server 2000でXML機能を使えるようにする ・SQL Server 2000のXML対応機能とは? ・この記事で使用するデータ ・SQL Server 2000の設定 |
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リレーショナルデータをXML文書として取り出す ・リレーショナルデータとXML文書のマッピング ・SQL ServerのデータをXML文書として取り出す ・FOR XML句でデータを取り出す ・ELEMENTSオプションの指定 ・RAWモードの指定 ・EXPLICITモードの指定 |
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クライアントサイド・スクリプトでSQL Serverを操作する ・サーバサイド・スクリプトとクライアントサイド・スクリプト ・スクリプトでデータを取り出す ・取り出したデータのXML文書化 |
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XSLTでXML文書をHTMLに変換 ・XSLTスタイルシートの作成 ・クライアントサイド・スクリプトからXSLTを呼び出す ・スクリプトをサーバサイド・スクリプトに作り替える |
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XPathを使って、SQL
Serverでクエリを実行する ・データベースをXML文書に見せかける ・ダイレクトにXPathを指定する方法 ・テンプレートを使用する方法 ・スキーマを使用する方法 |
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XML文書形式のデータをSQL
Serverに格納する方法 ・XML文書とテーブル構造の関係 ・SQL文の構築(Insert文を構築する) ・サンプルプログラム |
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ストアドプロシージャを利用したデータの追加 ・OPENXMLの仕組み ・ストアドプロシージャの作成と呼び出し ・挿入されたデータを確認する ・Insert文とOPENXMLのどちらを使うべきか |
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