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Athlon MP

【アスロン・エム・ピー】

最終更新日: 2002/09/05

 AMDの第7世代x86互換プロセッサ「Athlon」シリーズにおけるサーバ/ワークステーション向けプロセッサのブランド名。Athlonシリーズでは初めてマルチプロセッサ構成での動作が保証されたプロセッサである。2001年6月5日に発表されたAthlon MPの最初のバージョンは、基本的にAthlonのマイクロアーキテクチャを踏襲しつつ、デュアル・プロセッサ構成(SMP)をサポートするなど、機能が拡張されている。プロセッサ・コアは当初、開発コード名「Palomino」が採用されていたが、2002年8月に後継の「Thoroughbred」コアを採用したAthlon MPが発表されている。

Athlon MPのパッケージ(OPGA)
Athlon MPのパッケージ(OPGA)
これはオーガニックPGAパッケージ。モデル・ナンバ1500+(1.33GHz)のモデルから採用されている。写真提供:日本AMD

 Athlon MPの特徴の1つは、SMP構成時にプロセッサが外部バス(FSB)を共有しないということがあげられる。各プロセッサは、メモリ・コントローラを内蔵するチップセットと個別にポイント・ツー・ポイントで接続される。この技術をAMDでは「Smart MP」と呼んでいる。Intel XeonシリーズなどのようにFSBを共有する方式と比べると、プロセッサとメモリ間、または各プロセッサ間でのデータ転送が競合しにくいため、実質的な転送レートを上げやすいというメリットがある。

 キャッシュの効率を高めるハードウェア・プリフェッチ機能も、Athlon MPに実装された新機能の1つである。これは、実際にキャッシュ・ミスが生じる前に、必要になりそうなデータをあらかじめ予測してメイン・メモリから読み出してキャッシュに転送しておく機能だ。これにより、メイン・メモリの読み出し遅延(レイテンシ)による性能低下を抑えられるという。

 命令セットでは、3DNow!プロフェッショナルの実装により、IntelのストリーミングSIMD拡張命令(SSE)に対応した。これにより、従来の3DNow!やエンハンスト3DNow!のみならず、SSE対応のアプリケーションの高速実行も期待できる。

 Athlon MPでデュアル・プロセッサ構成のシステムを構築するために、「AMD-760MP」いう専用チップセットがAthlon MPと同時に発表された。その後、PCIバスを2系統に増やすといった改良が施された「AMD-760MPX」というチップセットが、2001年12月に発表されている。

 Athlon MPは、プロセッサ・コアの種類によって、若干仕様が異なる。以下では、初代のPalominoコアと、その後継であるThoroughbredコアに分けて、Athlon MPの主な仕様を記す。基本的にThoroughbredコアはPalominoコアの機能をそのままに、製造ルールの微細化により低消費電力と高クロック化を実現したものだ。なお、Palominoコアのものは「Athlon MP Model 6」、またThoroughbredのものは「Athlon MP Model 8」などとも呼ばれる。

項目 内容
マイクロアーキテクチャ QuantiSpeedアーキテクチャ
コアのクロック周波数 1GHz〜1.73GHz
FSBのクロック周波数 266MHz
1次キャッシュ 命令:64Kbytes/データ:64Kbytesの合計128Kbytesをコアに統合
2次キャッシュ 256Kbytesをコアに統合
製造プロセス 0.18μm・銅配線
パッケージ 1GHz〜1.2GHz:CPGA
1.33G〜1.73GHz:OPGA
(いずれもSocket A対応)
SIMD命令 3DNow!プロフェッショナル
SMP対応 最大2基のプロセッサ構成をサポート
Athlon MPの主な仕様(Palominoコア、Model 6)

項目 内容
マイクロアーキテクチャ QuantiSpeedアーキテクチャ
コアのクロック周波数 1.66GHz/1.80GHz
FSBのクロック周波数 266MHz
1次キャッシュ 命令:64Kbytes/データ:64Kbytesの合計128Kbytesをコアに統合
2次キャッシュ 256Kbytesをコアに統合
製造プロセス 0.13μm・銅配線
パッケージ OPGA(Socket A対応)
SIMD命令 3DNow!プロフェッショナル
SMP対応 最大2基のプロセッサ構成をサポート
Athlon MPの主な仕様(Thoroughbredコア、Model 8)

 2001年10月に発表された1.33GHz〜1.53GHzのAthlon MPでは、Athlon XPと同様にAMDの新しい性能指標「モデル・ナンバ」が採用された。PalominoからThoroughbredにコアが切り替えられた後も、モデル・ナンバは使い続けられている。モデル・ナンバと実際のクロック周波数の対応は以下のとおりだ。

モデル・ナンバ 実動作クロック周波数 Palominoコア(Model 6) Thoroughbredコア(Model 8)
1500+ 1.33GHz
 
1600+ 1.40GHz
 
1800+ 1.53GHz
 
1900+ 1.60GHz
 
2000+ 1.67GHz
2100+ 1.73GHz
 
2200+ 1.80GHz
 
Athlon MPのモデル・ナンバと実動作クロック周波数、およびプロセッサ・コアとの対応

 パッケージは当初セラミックPGA(CPGA)だったが、その後OPGAに変更されている。

Athlon MPのパッケージ(CPGA)
Athlon MPのパッケージ(CPGA)
これはセラミックPGAパッケージ。1.0GHzと1.2GHzのモデルは、このパッケージを採用している。写真提供:日本AMD

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