アジャイル・エンタープライズ実現への道
2006/4/5
俊敏な企業だけが生き残る──エンタープライズ・アジリティ
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「生き残ったのは最も強い種ではない、最も賢い種でもない。変化に適応したものが生き残ったのだ」──ダーウィンの言葉として伝えられる、生物進化に関するこの金言は、かねてから企業がビジネス環境の変化に対応することの大切さを説くものとして用いられてきました。
企業を取り巻くビジネス環境変化のサイクルタイムの短期化がますます進んだことで、今日、環境変化の察知能力、環境変化に対する戦略や業務プロセスの迅速な対応能力が企業の生き残りに最も必要な経営要素になってきたといえるでしょう。
そうした中、企業の俊敏性(エンタープライズ・アジリティ)を支える仕組みとして、事業構造・組織・人財・業務プロセス・ITがそれぞれ相互補完する“システム”、そして改革・革新を継続的に繰り返してそのシステムをさらに高いレベルに押し上げる“メタ・システム”が求められます。
コンサルティングファーム アクセンチュアの「ハイパフォーマンスのためのIT投資:CIOを対象としたグローバル調査」(2005年/米国)の調査結果では、23%の企業・政府機関が“SOA”の本格導入を表明しており、それが「ハイパフォーマンスを達成している企業・政府機関」においては50%を占めるという結果が出ています。
“俊敏な企業”への変革を目指すには、企業固有の組織風土・ビジネス構造の違いはあっても、ビジネスプランナーとIT(広い意味での情報技術)技術者が戦略的整合を持ち、業務プロセスの標準化と知識共有・教育が不可欠であることはいうまでもありません。今後、日本の企業はトップダウン型、ミドルシフト型の違いはあっても、全従業員が参加する“エンタープライズ・アジリティ”を目指さなければ負け組み企業になり兼ねないと気付いている企業がどれくらいあるのでしょうか。
機能中心組織から業務プロセス主導による組織へ
現在のような移り変わりの激しい市場環境下では、かつてビジネスチャンスの拡大に貢献し、いまなお企業で現役として実行・利用されている、旧来のビジネスモデル、組織、情報システムが改革や成長の妨げになっている場合が多いと指摘されています。
現在でも、大部分の企業では機能別の個別組織やその機能組織を支援する情報システムが使われていますが、これでは部分最適・効率化経営に陥ることは否めません。また、多くの企業では中長期の戦略策定は行っているでしょうが、それを現場の現実解につなげるのに、時間が掛かり過ぎ、市場変化についていけないという課題もあります。このような組織/ITでのディシジョンメイキングスタイルは柔軟性に欠け、俊敏性を追及できるものではなく、顧客価値創出・競争力差別化基盤構築につなげることは困難でしょう。
KIU研究会では、これに替わるものとして“エンド・ツー・エンド”──つまり顧客や市場の動きがすぐに見える仕組みと、そうした情報に基づいて行われる迅速な意思決定に即応できる「業務プロセス主導型組織」「SOAなどに基づいた柔軟なITシステム」が連携するBPM指向の組織革新を提唱します。
KIU研究会におけるBPM/SOAのマネジメントとテクノロジ
以上にKIU研究会の会合で発表された中から、BPM/SOAの効果や利点を挙げます。
■ビジネスとITの連携
バリューチェーンの可視化、業務プロセス全体の見える化により、ビジネスチャンスを的確にとらえ、変化に対して俊敏な対応が可能になる。
■パフォーマンスの向上と自律的改善サイクル
個別業務のパフォーマンスを監視・改善するとともプロセス連携によって、全体最適・顧客満足向上を志向する現場の自律的な力を引き出す。
■統合コスト、メンテナンスコストの削減
Webサービスなどの標準技術を採用することにより、業務変更に伴うアプリケーション改修やシステム統合に関するコストが削減される。アプリケーション資産の最大限の再利用を促進するととともに、外部サービス(システム)との連携も容易となる。
■ROIの向上
BPM/SOAはハイパフォーマンスの基礎となるものだが、価値やROIはプロジェクトや業務改善策の成果としてもたらされる。従って、そうした成果を生み出す戦略や計画を定義、実行することが重要となる。また、コスト削減や時間短縮などの改善は、次なる改善を行う原資を生み出すため、改善を継続する企業はますます高いROIを実現することになる。
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