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ビジネスプロセス・マネジメントのすすめ

株式会社メタジトリー
丸山 則夫

2006/2/2

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経営環境の変化に応じて、業務プロセスや情報システムを俊敏に変更できるようにする──という提案に異議を唱える人は少ないだろう。しかし、それを実践するのははなはだ困難だ。その理由と解決策としてのBPMについて解説する。(→記事要約<Page 2>へ)

 企業経営の進化を継続するために、「BPM(ビジネスプロセス・マネジメント)は有効である」が本論のテーマです。

 BPM適用領域についてはいろいろな意見があります。意見の違いはBPMを情報システム構築の手段として見るか、ビジネスプロセス・マネジメントという言葉の持つ意味から見るかによるものです。ここでは後者の立場で全体概要を説明します。

コミュニケーションが成り立たない!

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 事業運営に情報システムが欠かせないことは、誰もが納得できるしょう。しかし、事業の推進と情報システムの構築の関係は水と油のごとく遊離しているように思えるのはなぜでしょうか?

 次のようなことがありました。

  • ある事業部長が嘆いていました。
     「会議の席上で、自社の事業戦略を説明し、情報戦略を理解してもらう会議で、情報システム構築会社の担当者で発言しているものは1人で、ほかは黙って聞いているだけ。何を考えているか分からない。ほかの会議で説明を求めると、やり方ばかりの話で要求しているものが実現できるのかさっぱり分からない……」
  • あるSIerが頭を抱えていました。
     「なぜ、どの構築でも開発期間が延びるのだろうか? 毎年、時間単金が下がっているのに、期間が延びるので困っている。この原因はオーナー側の要件がハッキリしていないためなのに何ともならない……」
  • あるプロマネから相談を受けました。
     「受注した案件で、要求レスポンスが0.5秒、同時接続数が数千台の開発を任された、ユーザーの前で、この要件に関して蓋をして開発を進めている。今後が心配だ……」
  • ある社長が嘆いていました。
     経営と実務でも遊離が起こっています。「事業計画を立てる会議で工場と営業の報告内容が違う、よくよく聞いてみると、言葉の定義が違い、基になるデータ自体が異なっていた。会議ではその違いを翻訳しながら聞かないと正確な状況が把握できない」

 なぜ、発注側であるユーザーと受注側のシステム構築者や経営者と実務者のコミュニケーションがスムーズにいかないのでしょうか?

経営、業務、技術、構築の役割とその特徴

 事業運営と情報システム構築に関係する役割を経営、業務、技術、構築とすると、それらの特徴は以下のとおりです。

  • 経営は、不確定を判断
     「事業運営上で単純化できない複雑な状況の中で方向性を判断するのが経営の振る舞いである」
  • 業務は、不確定を実行
     「日常の単純化できない複雑な状況の中で業務を実行する。当然、決まりきった業務もあるが、それだけでは済まないのが業務である」
  • 技術は、確定として決断
     「技術として確定するには論理的に成り立つ前提条件がある」
  • 構築は、確定として実行
     「システムの構築は発注者の情報システムで実現したい事項をRFPなどで明確にしてもらい、それを実施する」

 ここで注目してほしいのは、「……として」です。これは“割り切り”を意味しています。情報システム化や技術開発は、あいまい性を割り切り、モデル化を行い、その中で完全さを求め、実現するものなのです。

図1 4つの関係

 経営・業務と技術・構築のギャップ(図では左右)──すなわち、「コミュニケーションが成り立たない!」とは、“割り切り”部分が合意できずに衝突することをいうわけです。

経営、業務、技術、構築の間のギャップ

 4つの領域(経営、業務、技術、構築)間のギャップで、以下のようなことがよく起こります。

  • 経営と業務の関係
     経営企画「事業計画を毎年策定するが、業務活動の変更を伴う適正化にはつながらず、計画実現へのアクションはやる気や危機意識によって実施されている状況である」
  • 業務と構築
     業務担当「思ったシステムにはならなかった。システムに安全弁が備わっていない。小さなミスが重大事態に至る危険がある」
    構築者「いわれたことをいわれたとおりに作ったが、満足してもらえなかった。人間のモラルまで要求されても作れない」
  • 経営と技術
     経営者「KPIやBSC(バランスト・スコアカード)などは、華やかな経営ツールではある。しかし、実際の経営判断で使うことを躊躇(ちゅうちょ)している。また統合パッケージを導入したときの投資効果に疑問がある」
  • 技術と構築の関係
     開発者「セミナーなどで勉強していると、ツールベンダは優れた技術の製品を訴えてくる。しかし、それを構築で実践することは困難である」

 これから説明するBPMは、経営、業務、技術、構築の4つの領域間で生まれるギャップを解消することです。

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ビジネスプロセス・マネジメントのすすめ
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 経営、業務、技術、構築の役割とその特徴
 経営、業務、技術、構築の間のギャップ
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ビジネスプロセス・マネジメントによる成功
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