連載
KIU研究会レポート(4)


BPM・BRM・SOA専門家が語る、これからのシステム構築

生井 俊

2007/2/9

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第6回 KIU研究会 − 2006年4月27日

「ビジネスのスピードでシステムを!」V2.0

 
Speaker
ブレイズ・コンサルティング株式会社
代表取締役
酒匂 秀敏氏
   

 いま求められているシステムは、常に変化し続けるビジネスルールを受け止め、その急速な変化を許容できるものだ。いまや「ビジネス=ITシステム」であり、情報と戦略のシステムが同期を取っていくことが大切になる。われわれは、ビジネスルールシステムでそれを実現している。

 ビジネスルールを、どうやってシステムを組んでいくのか──。そこにはビジネスルール・アプローチという考え方がある。頻繁に変わるビジネスルールの部分をシステムの中から取り出し、システム化して管理するというものだ。ビジネスルールシステムがビジネスルールを外部管理することで、企業の情報システムは急速なビジネス変化を許容し、お客さまへのサービスを柔軟に、しかも迅速に対応できるようになる。

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 ビジネスロジックの部分を頻繁に変えた方が戦略的に有利である、変えることによって──例えばある複雑な判断、人間系の判断の部分もITの中で自動化できるというのであれば、その部分をビジネスルールとして外に切り出す。そういう形で切り出していくのがビジネスルール・アプローチだ。ビジネスルールの抽出、分析、検証、実装を行ってシステム化し、迅速にシステムに反映する。ルールを変えることによってビジネス変化への柔軟な対応が可能となる。

 ルールベースマネジメント・システムアーキテクチャの目標として、競争優位なシステムの構築を行う。その特徴は、ビジネスルールの場合はルールエンジンがあるため、コーディング量がかなり減ることにある。それと、ルールの可視化による戦略性や実際の判断を可視化することで、適正性への対応ができる。

 ブレイズが提供するルールベースマネジメントサービスでは、ルールのモデリングや、ビジネスプランニングセッションをお客さまと一緒にやって戦略を決める。そして、この戦略を「ルールシステムで作っていける」というワークショップを充実させている。

より良い意思決定を速く、そして、変化と複雑さを管理するために。

 
Speaker
アイログ株式会社
プロフェッショナルサービスマネジャー
国安 治氏
   

 弊社は、ビジネスで起こる複雑なものを簡単に見えるように視覚化するものと、それを自動化するルールエンジン、複雑に絡んだ制約の中から最適なリソースの割り当てをやっていく最適化のエンジンなどをコンポーネントとして提供している。

 ITによる業務の改善が実現する有力な要素として考えられるのは、BPM、そしてBRM(ビジネスルール管理)だ。当然、分析やマイニングも重要なことで、その結果を踏まえて、その後どう最適化するかが必要になってくる。

 業務を効率化・改善することと、業務のリスクを軽減することの両方に対して、SOA/BPMの重要性が上がってきている。さらに、組織やチーム、業務自体、そういうものを継続的に改善させていくのにはBPMが重要で、これらにBRMSを加えることで、その効率がさらにアップする。

 BPM化とは、プロセスが視覚化・能率化されたものだ。最初はきれいに整備されたプロセスが設計され、これでうまくいくが「新しい製品・サービスを投入する」「新しいポリシーが上がる」「新しい規制が作られる」など、変更要件が出てくる。それが、何週間、何カ月、何年かたつとプロセス変更が積み重なり、「スパゲティプロセス」というべき状態になってしまう。

 それは、なぜか。それぞれの個所にプロセスとは別に、ポリシーが混ざっているのが原因だろう。プロセスフローのチェックポイントや分岐点にビジネスルールによる判断を入れることで、複雑化を回避できる。BPMとBRMS(ビジネスルール管理システム)の組み合わせは、非常に効果を発揮する。弊社でもBPMベンダ十数社とすでに協業をしている。

第7回 KIU研究会 − 2006年5月25日

経営者と現場のためのプラットフォーム──情報優先・運用重視アーキテクチャの提案

 
Speaker
オブジェクトテクノロジ研究所
代表取締役
鎌田 博樹氏
   

 ビジネスとITの融合では、情報そのものをどう扱うかが、大きなテーマになる。これまでのITは、基本的にシステムの機能や操作性を追求しているが、必ずしもユーザーの満足を得られないケースが多い。それはつまり、ユーザーの範囲が広がり、特定しにくくなってきている側面があるからだ。ITの側では、情報を扱う上でのアーキテクチャを考えていく必要がある。

 その際の考え方だが、ITの対象である情報は、一種のメディアになってきている。最近はWebに関連して、情報アーキテクチャや情報デザインが発達してきているが、それをなんとか取り込んだ形でBPMを構築していくべきなのではないか。さもないと、ビジネス的観点のない、つまりプロセスやコントロールという観点のないデザイン、情報が1人歩きしてしまうという可能性が出てくる。そして、ライフサイクルも、ITインフラ、アプリケーション、BPM、そして情報そのもののライフサイクル全体を統合するような環境を考えていく必要がある。

 当然、ビジネスは基本的に情報と不可分だ。そして、情報は自明のものではない。情報管理のプラットフォームとして、かなり汎用的なものが成立しつつある。「組織」といい換えてもいいが、経営の2つの側面が“プロセス”と“情報”だとすると、このプロセスと情報に関する環境、あるいは、方法論は早い段階で統合しないと、BPMは成熟していかないのではないか。現状では、UIのデザインやナレッジマネジメント、CMS、BPMとが日本では意識的に統合されているようには見えない。バラバラだとユーザーが混乱し、市場がちゃんと育っていかないという懸念がある。情報ライフサイクル管理を含んだ形でBPMを考えていただきたいというのが、わたしからの提案だ。

BPMの概説とBPMが実現する世界──BPMの概説とBPMが実現する内部統制

 
Speaker
日本プロセス株式会社
サヴィオン事業部 統括部長
宇野澤 庸弘氏
   

 企業の経営者の一番の関心事は、いまも、明日も、あさっても、いつも会社を大きくしたいということだろう。それをやるためには「改善」が必要になる。業務プロセスの改善をPDCAでやろうというわけだが、これはBPMの思想そのものだ。そのときに、自動的にプロセスの管理や可視化を行ってくれるものがBPMS(BPMシステム)である。

 システム開発者などITをよく知っている人は、ITのシステムをつくるのは上手だ。しかし要件となる業務プロセスは、ビジネスオーナーが知識として持っている。この人が発注者として「こういうふうにシステムをしてくれ」といったのを受けて、ITエンジニアがシステム構築をするというのが従来の構図だ。開発者はITのプロだが、業務についてはまったくの素人だ。当然、ビジネスオーナーとの間に溝がある。

 その溝を埋めていくのが、BPMツールの1つである「モデラー」の役目だ。表記に関してはBPMNとして標準が作られた。ビジネスオーナーが主体になって、モデラーで業務プロセスを描いたら、ITエンジニアがIT技術を駆使してプログラムを作る。画面デザインやデータベースのアクセス、必要があればビジネスルールを作成する。それはBPMSに接続されたモデラーと直結しているので、業務の流れに関しては何ら疑いを挟む必要がなく、動くものを作ればよいということになる。システムが動いたら、BSCでパフォーマンスを測るもよし、分析して改善をしてもよし。可視化や内部統制のために、このサイクルを回していくのがBPMである。

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筆者プロフィール
生井 俊(いくい しゅん)
1975年生まれ、東京都出身。同志社大学留学、早稲田大学第一文学部卒業。株式会社リコー、都立高校教師を経て、現在、ライターとして活動中。著書に『インターネット・マーケティング・ハンドブック』(同友館、共著)『万有縁力』(プレジデント社、共著)。
■要約■
「経営とITの融合」研究会の第4〜7回会合の模様をお伝えする。

企業の成長のためには「改善」が必要になる。業務プロセスの改善をPDCAでやろうというのは、BPMの思想そのものだ。業務システムの開発者と発注者の溝を埋めていくのがBPMツールの「モデラー」の役目だ。モデリング言語は、BPMNが標準となっている。

発注者であるビジネスオーナーが業務プロセスを描いたら、ITエンジニアがIT技術を駆使してプログラムをつくる。システムが動いたら、BSCでパフォーマンスを見たり、分析をして改善したりすることができる。

いま求められているシステムは、急速な変化を許容できるものだ。ビジネスルール・アプローチは、頻繁に変わるビジネスルールの部分をシステムの中から取り出し、システム化して管理するというものだ。

BPMにおけるプロセス分岐点にビジネスルールによる判断を入れることで、プロセス複雑化を回避できる。BPMとBRMS(ビジネスルール管理システム)の組み合わせは、非常に効果を発揮する。

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