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連載:経営財務トレンド(4)

金融庁企業開示課長が明かす「任意適用の4条件」

垣内郁栄
IFRS 国際会計基準フォーラム
2009/10/6

2010年3月期から可能になるIFRSの任意適用について、金融庁の担当者が「4つの条件」を詳しく説明した。システムの全面入れ替えは不要で「大仰に考えないでもらいたい」という。

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日本の会計基準を作り続ける

 三井氏はIFRSを強制適用することに国内で消極的な意見があることを考慮し、「一部には日本のよい会計の哲学、考え方が国際的に侵されるような週刊誌的な見方もある」と指摘。しかし、日本企業が国際的な事業活動や財務活動を活発に行っていることから、「こういった会計基準の国際的なコンバージェンスの最大の受益者は、国際貿易の最大の受益者である日本であるといえる」と強調した。

 同氏はまた、日本の考えをIFRSに反映させることの重要性を指摘した。そのためには「日本の会計基準の開発能力をより高くする必要がある」として、「その意味で日本の会計基準を作り続ける」と話した。意見書では「コンバージェンスの継続の必要性」が記載されている。三井氏は「やみくもに国際会計基準に合わせるのではなく、むしろ国際会計基準と微妙に違うけど、日本的な基準を作り、アピールする戦略もあるかもしれない」と話した。

教育ビッグバンが必要

 また、記念フォーラムでは主催した国際会計教育協会会長の橋本尚氏(青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科教授)が講演し、「国際的に通用するプロフェッショナルを目指すにはIFRSの学習は不可欠」と指摘した。原則主義といわれるIFRSの基準書は2800ページ、対して細則主義の米国会計基準は2万ページの基準書といい、IFRS自体の「学習量はコンパクト」。ただ、最新情報を追うには英語での読解が欠かせなく、原則主義に基づき、企業は自らで基準を判断し、財務諸表を作成する必要がある。数値情報に加えて、注記情報が増えるのも特徴で、橋本氏は「これまでは覚える会計学だったが、これからは考える会計学になる」と強調した。

国際会計教育協会会長で青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科 教授の橋本尚氏。主に「IFRS」を用い、「イファース」と読んでいた

 そのうえでIFRSを学習するポイントとして「IFRSの特徴を概念フレームワークに基づき理解したうえで、実践の場を通じてIFRSの適用経験を積むこと」と説明。「これまでの会計で求められたスキルと、IFRSで求められるスキルはまったく違う」とも話した。大学などの高等教育機関については「IFRSという世界標準に照らして、会計プロフェッショナルを目指す者が共通に備えるべき資質、能力を『コア・カリキュラム』として体系的、具体的に明示すべき」と説明。「次のコンバージェンスは会計教育のレベルを均一化すること」として「会計教育ビッグバン」の必要性を強調した。

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