eビジネスの未来を保証する、と宣言したBEA
2001/2/28
「ソフトウェア企業として、売り上げ1ビリオンダラー(10億ドル、約1160億円)に最短で到達した」。米国時間の26日にダラスで開催されたBEAシステムズのユーザーカンファレンス「BEA
eWorld」の基調講演で、同社の会長兼CEOのビル・コールマン(Bill Coleman)氏は同社の急成長ぶりを報告した。
BEA 会長兼CEOのビル・コールマン氏 |
BEAは、主力のアプリケーションサーバ「WebLogic」と、トランザクションモニタの「Tuxedo」がともに市場で高いシェアを獲得、eビジネスのプラットフォームを提供する企業としてここ数年急速に成長してきた。現在、9000社を超える顧客を抱えているという。
コールマン氏は、eビジネスによって企業と顧客、もしくは企業同士が連携することで、ビジネスに大きな変化が起こったと指摘。「過去にメインフレームやミニコン、PCが登場したが、それらはビジネスの効率を上げることはあっても、ビジネスのあり方を変えたわけではなかった。しかし、eビジネスはビジネスのルールを変えてしまった」(コールマン氏)。こうした新しいルールでバリューチェーンやサプライチェーンを構築したデルやシスコ、チャールズ・シュワブが成功し、競合から市場を奪い、圧倒的な存在になったとした。
eビジネスプラットフォームの必須条件
同社はこのeビジネスのプラットフォーム製品を提供していくことを戦略の最大の柱にしている。すでに発表済みのWebLogic 6.0ではTuxedoの機能を取り込み、より大規模なシステムに対応できるようになった。米国で2001年7月にリリース予定だ。
eビジネスのプラットフォームとして必要なのは、システム構築に必要な要素をすべて包含した、エンド・ツー・エンドな製品だとコールマン氏は言う。
「競合他社より早くアプリケーションを展開する必要から準備期間は短くなり、現在では平均4カ月以下。Javaはこれを実現する技術だ。また、インターネット対応はもちろん、セキュリティの実現、現在のシステムを強化できる接続性、そして取引先とBtoB接続できる機能も備えていなければならない」(コールマン氏)。
J2EEをサポートしたWebLogicとTuxedoの組み合わせは、当然これらの条件をクリアしているが、そのすべてがスタンダードに準拠している点も重要なのだとコールマン氏は指摘する。また、最後のBtoB接続については、この日明らかにされた同社のWebサービス戦略を示したものだ。
Webサービスは企業間統合の標準になる
インターネット越しにサーバの機能を呼び出せる「Webサービス」は、企業間のアプリケーションを連携させる手段の本命と目されている。
BEAはこれまでWebサービスへの対応を表明してこなかったが、WebLogicでSOAPをサポート(現在ベータ版を公開)することを皮切りに、具体的な戦略を発表した。インターネット上のWebサービスを検索できるUDDI/WSDLを次期バージョンでサポート。同時に、BtoBの標準化団体ebXMLが定めるBtoB仕様も次期バージョンでサポートする。これらはすべてWebLogic上のJ2EEアプリケーションから利用可能になる。さらに、SOAPでは処理できない高度なトランザクション管理を実現するプロトコルであるBTP(Business
Transaction Protocol)を、業界団体のOASISに提案中だ。
コールマン氏は、Webサービスが企業を超えてアプリケーション統合を実現するためのスタンダードになると予測、eビジネスプラットフォームを標榜するWebLogicで積極的に対応していく姿勢を見せた。「Webサービスは、エンド・ツー・エンドを実現するためのもう1つの要素になるだろう」(コールマン氏)。
WebLogicで将来を約束するプラットフォームを
同社のこれまでの成功は、Tuxedoが大規模ビジネスに必須のトランザクションモニタとして業界標準の地位を維持してきたことと、WebLogicがアグレッシブにEJBやJ2EEといったJavaスタンダードへ対応してきたことが大きな理由だといえる。
コールマン氏は、eビジネスのプラットフォームとしてスタンダードへの準拠と、エンド・ツー・エンドの機能の提供の2つが必須だと述べた。この2つのどちらかが欠けたとき、顧客はなんらかの方法でプラットフォームを変更しなければならなくなる。しかし、「プラットフォームを切り替えるには、信じられないほど膨大なコストがかかる。特にサーバ側では大問題だ」(コールマン氏)。
eビジネスのプラットフォームは、この2つにどれだけコミットするかが重要だというのが同社の主張だ。その意味で「WebLogicはFuture-Proof(将来にわたって保証された)eビジネスプラットフォームだ」ということを、BEAはこのイベントで何度も繰り返し顧客に示し続けている。
(編集局 新野淳一)
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