SunがWebサービス戦略発表――ライバルMSへの回答
2001/2/8
(02/06/01, 8:15 p.m. ET) By Antone Gonsalves, TechWeb
News
Sun Microsystemsは2月5日、最大のライバルであるMicrosoftの.Net戦略に対する回答――Web上でのアプリケーションサービスの構築、導入、そしてアクセスを公開した。この「Sun Open Net Environment」(Sun ONE)は、Java 2エンタープライズプラットフォーム、SunのForte開発ツール、そしてiPlanetソフトウェアから構成される。
サンの会長兼CEO、Scott McNealy氏によると、Sun ONEは、ユーザーがどのような場所からどのようなデバイスを使ってサービスにアクセスする場合でも、インターネットの複雑な部分を感じさせないプラットフォームの提供を目的としているという。
McNealy氏はカリフォルニア州サンフランシスコで開催されたSun ONEの発表イベントに集まった報道陣やアナリストに対し、「インターネットに乗せることではなく、インターネットやその上の(デバイスなどの)あらゆる面倒さから降ろすことを目的としている」と語った。
アナリストは、MicrosoftとSunとの競争は、JavaプラットフォームとそれがWindowsOSに与える脅威から、新しい段階に突入したと見ている。新しい段階とは、大企業がWebサービスのアーキテクチャ構築をWindows上(Microsoftのツールを使用)でするのかUNIX上(Javaベースのツールを使用)でするのかの競争だ。
ある業界アナリストは、「今は戦争状態だ。UNIX陣営にとって危険なのは、Microsoftが戦い方を熟知していることだ。Microsoftはローエンドや中小企業市場を独占しているが、J2EEはハイエンドを牛耳っている。Java連合がJ2EEやWebサービスで結集しない限り、掌握しつつあった中間市場を失う可能性が出てきた」と語る。
この日の発表イベントでは、IBMやBEA SystemsといったSunのJ2EEパートナーの姿は見られなかった。
「Forte for Java 3」発表は2カ月以内に
McNealy氏によると、同社が「スマートサービス」と呼ぶWebサービスに対するビジョンには、同社のソフトウェアとツールが含まれているという。Webサービス向けプラットフォームが完全な形で投入されるのは2002年の後半になる。
Sunは「Forte for Java 4」を昨年末までに提供する予定だった。「Forte for Java 4」は統合開発環境で、デベロッパーはEJB(Enterprise JavaBeans)の構築に加え、アプリケーションに業界の支持を獲得しつつある複数のWebサービス技術をサポートしたインタフェースをもたせることができる。これらの技術には、XML、SOAP、そしてWSDL(Webサービス記述言語)などがある。
関係者によると、暫定リリースである「Forte for Java 3」は、今後2カ月以内に投入されるという。
MSとの違いは引き続きオープン性
5日に発表された新技術の1つが、「Sun ONE Webtop, Developer Release 1.0」だ。これは、サーバ上で動作するWebサービスや生産性アプリケーションを表示するブラウザベースのデスクトップだ。
Webサービスアーキテクチャのパーツとしては、ほかにもiPlanet(別名Sun-Netscape Alliance)の多数の製品が含まれている。製品としては、「iPlanet Directory Server」、「Portal Server」、「Application Server」、「Web Server」、そしてコミュニケーション、インテグレーション、およびコマースの各サーバなどがある。
Sunの関係者は、同社の提供するWebサービスアーキテクチャとMicrosoftのものとの大きな違いについて、「Microsoftはカスタマーを自社の独自技術のActive DirectoryやSQL Serverデータベースに縛り付けてしまう点にある」という。一方、Sunのアーキテクチャは、サードパーティー製品と交換可能な「オープンインタフェースかつ非独自のコンポーネント」により構成されているとMcNealy氏は主張している。
Sunは自社開催のイベントでよく行うように、PCを中心としたMicrosoftのソフトウェアを、使い古された過去の技術として描写するビデオを上映した。その中には、Microsoftの共同創業者であるBill Gates氏とCEOのSteve Ballmer氏によく似た俳優が病院のベッドの側で嘆くシーンもあった。そのベッドには、生命維持装置を付けた死にそうなPCが横たわっていた。
アナリストの感触は複雑
SunのWebサービスへの対応に関する発表は長く待たれていたものだっただけに、発表後のアナリストの印象はさまざまだった。Patricia Seybold GloupのPeter O'Kelleyは好意的に見る。「ソフトウェアをネットワークに追加するスマートサービスは、ユーザーを認識し、ユーザープロファイルに応じたサービスとコンテンツを配信できるだろう」と氏は語る。「ネットワークに『スマート』を持たせることにより、ハンドヘルドであろうがPCであろうが、安全で一貫した方法でアプリケーション・サービスにアクセスできる」
O'Kelley氏が、「スマートサービス」が他のベンダーの提供するWebサービスとの差別化になると見る一方、技術調査会社IlluminataのNashua N.H.氏は意見を異にする。
「(「スマートサービス」は)ひねりをきかせただけ」と氏は語る、「MSにしろHP(Hewlett-Packard)にしろ、他のWebサービスの主導者にも自分たちのモデルにコンテンツやプロセスを組み込んでいる」(同氏)
IDCのEvan Quinn氏は標準化が策定されない限りは、Sunは「スマートサービス」がどう実装されるかの具体的な説明を避けるだろうと見る。「Webサービスが彼らにとって成功となるために必要なことは、標準技術によって進められることだ」(Quinn氏)。「しかし、競争という面を見るとそうは言っていられない。SunはMS同様、優位に立ちたいのだろう」
今日、シンプルなWebサービスの構築は可能だが、ツールは少なく、標準化は未だプロセスの段階だ。進んだWebサービスの構築が実現するのは早くとも今年後半というのが大筋の見方だ。プログラミングインターフェースの面でのWebサービスの標準化を策定していくのはUDDI、SOAP、XAML、WSDLやebXMLといったXMLベースの産業団体といわれている。Sunと同社のパートナーにより作られたJ2EE、MSのOS、Windows 2000はWebアプリケーションが実行されるプラットフォームと考えられている。
*この記事は一部編集しています。
[英文記事]
Sun Launches
Web Services Strategy
Sun ONE Gets
Mixed Reviews From Analysts
[関連リンク]
米サン・マイクロシステムズの発表資料
Sun
ONEの紹介ページ(英語)
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