広帯域対応のアーキテクチャを研究開発するインテル

2001/3/7

 インテルは、ネットワークの研究・開発を促進する「インターネット・エクスチェンジ・アーキテクチャ・コンピタンス・センタ」を開設したと発表、この分野への同社のコミットを強調するとともに、ブロードバンド時代を積極的に促進していくことを発表した。これらは同社が3月6日、報道関係者向けに開いた会「Intel Network and Communication Day」で明らかにしたもの。

会場では、レジデンシャル・ゲートウェイを設置した光ファイバー環境で、PtoP技術を用いたビデオのデータ交換を実演した。現在はPCベースで行われるPtoPだが、将来は情報家電などで簡単に行われるようになるという

 同社代表取締役社長のジョン・アントン(John Antone)氏は、「インテルはテレコム・通信機器および携帯電話端末といった市場へも注力している」と語る。高いシェアを誇るPC用プロセッサをはじめ、同社は戦略として“4つのビルディング・ブロック”を提唱している。この分野はネットワーキング・コミュニケーション分野にあたり、ソリューションとしては、テレコム向けの「インテル・インターネットエクスチェンジアーキテクチャ(IXA)」と携帯端末向けの「インテル パーソナルインタネットアーキテクチャ(PCA)」の2体系で構成される。

フランツ氏は米国の6倍とも言われる日本の通信費の高さや、帯域の狭さについても指摘した

 この日は米インテルからネットワーク・プロセッシング事業部長のトム・フランツ(Tok Franz)氏が出席し、次世代ネットワークとその展開像についてプレゼンテーションを行った。

 ブロードバンド化が必至の現在、「新しいサービスとユニバーサルアクセス、そして帯域の3つがスパイラルに展開して行くことが重要だ」とフランツ氏は語る。音声やデータを大容量・高速ネットワークで送るだけでは不十分で、「インテリジェントなネットワークが求められている」という。

 インテルでは、この新しいネットワークとはIPをバックボーンとした“IP over Ethernet”を主体とするものとなると予想し、セキュリティや負荷分散、複数のデータタイプへ対応といった付加価値統合型のネットワークを追求していく。

 フランツ氏は別の側面からも新しいサービスの登場の必要性を説いた。通信業者では、トラフィックの増大に合わせて設備投資額も伸びている。だが収益は設備投資額の伸びに追いついていないのが現状だ。帯域拡張のニーズは500〜1000倍に対し、売上予測は10倍強という具体的な調査結果を引用しながら、「問題を解決する新しいテクノロジーやサービスが必要」とフランツ氏。「インテルではオープン技術を採用したアーキテクチャを提供することにより、新サービスや新システムの創造を促していく」。

「レジデンシャル・ゲートウェイ(GW)」 家庭内に設置し、情報を処理・分配する 左はレジデンシャルGW、右は「ネットワーク・エッジ」の内部。エッジとは各ネットワークの境界で、プロトコルの変換などを行う

 この日発表された「IXA コンピタンス・センタ」の設立はその一環で、光ファイバー技術を中心とした研究・開発のコンソーシアムだ。参加者には、通信事業者だけでなく、HSAC(光サービス・アーキテクチャ・コンソーシアム)、大学なども名を連ねている。インテルでは同コンソーシアムを通じ、インテルIXAの普及を図る模様だ。特に、FTTH(Fiber To The Home)、レジデンシャル・ゲートウェイ、終端装置のOLT(Optical Line Terninator)などにフォーカスを当てた活動を行うという。

(編集局 末岡洋子)

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