Webサービス、優秀な技術だけでは不十分?

2001/3/10
(03/08/01, 4:10 p.m. ET) By Antone Gonsalves, TechWeb News

 名の知られていない企業にとって、競争の激しい市場で立場を確立するのはたやすいことではない。参入市場に有名な企業が名を連ねている場合はもっと難しくなる。現在、こんな難題にぶつかっている企業がVelocigenだ。

 VelocigenのWebサービス製品「VelocigenX Web Services」は技術的に優れているという声は多い。しかし、IBMやヒューレット・パッカード(HP)、マイクロソフト、サン・マイクロシステムズ、そしてオラクルといったビック・ネームと戦うには不十分のようだ。

 「Velocigenの製品がどのマーケットを対象としているかはとても分かりやすい」とAberdeen GroupのアナリストDarcy Fowkes氏は語る。「しかし、ユーザーから見るとVelocigenのメッセージは分かりにくい。彼らに市場へ出るにあたっての戦略を聞いてみたところ、何も出てこなかった。突然ライトに照らされて驚いている鹿のようにね」

 これは、来週にも、自社の初製品を投入することになっているVelocigenにとって、耳の痛いコメントだ。「VelocigenX」は、CC++JavaPerlで記述されたデータやアプリケーションにSOAPのインターフェースを付加することができ、データをコンポーネントとして登録してくれる。リンクされたオブジェクトは元のアプリケーション上にインテグレーション・レイヤーを形成し、Velocigenサーバ上で実装される。

 同社のパートナー、Interactive Telesisは、Interactive Telesisのアプリケーションとバックエンドを接続するデモ用アプリケーションをVelocigenと共同で作成した。このアプリケーションの利用により、自分の銀行のコンピュータに音声による口座情報の問い合わせを行うといったことができるという。

 マイクロソフトやIBMから提供されている同様のツールと比較すると、「VelocigenX」は、さまざまなプログラミング言語を利用できる点で勝っている。マイクロソフトはWindowsプラットフォームにしかフォーカスしていないし、IBMの場合はJavaだけだ。それにもかかわらず、Telesisの幹部Don Cameron氏によれば、技術の優位性だけでは不十分なのだという。「私の考えでは、すべてはディストリビューション次第だ」とCameron氏。業績での成功を考えると、「技術は二の次」なのだという。

 Velocigenのマーケティング担当副社長 Jim Neumann氏は、「VelocigenX」のもともとの販売プランが失敗したことを認めている。Velocigenでは数百人規模のセールス部隊を雇えるほどの資金を得て、IBMやHPと真っ向から戦うつもりでいた。「頭ごなしにやっつけるには最高の方法だったが…」とNeumann氏。同氏はほんの3カ月前までIBM技術グループのマーケティング副部長を務めていたという。

 産業界の重量級と衝突するかわりに、IBMなどと再販契約を結ぶ戦略に変更した。将来的には、ITコンサルティング会社へ販売を図りたいところだ。「まだ何も具体的な話は発表できない」とNeumann氏は言うが、案件はいくつか進行中だという。

 同社の従業員は現在18名、業界の巨人が占拠する市場での戦いは楽なものではないと思われる。「製品は価値あるものだ」とFowkes氏は言う。「ユーザーが使いたくなるようなものだ。ただ、技術の段階から見て、ガレージの中で開発してきた連中が成功を収めることは、かなり厳しいだろう」

[英文記事]
In Web Services, Good Technology Is Not Enough

[関連リンク]
Velocigen

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