ケータイと情報家電のJavaを統合する包括的提携

2001/4/17

 アプリックスと、ゼンテック・テクノロジー・ジャパンは4月16日、国内の組込み向けJava分野における業務提携に合意したと発表した。アプリックスは携帯電話のJavaプラットフォーム分野でソニーのiモード機に採用されているほか、J-フォン、KDDIの携帯電話でも採用が決定している。一方のゼンテックは、有力大手家電メーカーにデジタル家電製品をOEMしてきた企業。

 両社は今後それぞれの強みを生かし、携帯電話と情報家電の連携や、家電のネットワーク化によってもたらされる新しいサービスに関連するさまざな技術開発、ソリューション構築を行っていく。この合意にもとづきアプリックスとゼンテックは、携帯電話から情報家電にいたるまで国内の組込みJava市場に向けての技術開発やサポート業務に関して、共同で事業展開を行うことになる。

 アプリックスは、同社の組込みJava分野での主力製品である「JBlend」で大きな成功を収めている。JBlendは、大手家電メーカーの家電製品に採用されてきた経緯をもつほか、最近ではソニーのiモードJava対応携帯電話「SO503i」のJavaプラットフォームに採用されている。また、今後出荷が予定されているJ-フォン、KDDIのJava対応携帯電話への採用も決定しており、携帯電話向けJava市場においては最も大きなシェアを持つ可能性が出てきた。

 一方、ゼンテックはデジタル・テレビに代表されるデジタル家電製品の開発を長く手がけてきた企業であり、有力大手家電メーカーに同社が開発した製品を積極的にOEM供給してきた。また、最近ではNTTドコモのiモードJava対応の開発ツール「i-JADE」の提供を開始。サードパーティ製の開発ツールでは事実上開発ツールのデファクトとなりつつある。

 この提携によって直近での大きなメリットを受けるのは、携帯電話向けJavaアプリケーションの開発を行うコンテンツ・プロバイダだ。現在機種間の仕様の違いによって携帯Javaの開発は敷居が非常に高くなっているが、JBlendが携帯Java向けのプラットフォームとしてデファクト・スタンダードの地位を獲得し、それに向けた開発環境が提供されるならば開発環境の問題は急速に解消すだろう。それによって多様なJavaアプリケーションの開発が加速されるため、キャリアや携帯電話メーカーにとっても市場の拡大を通じたメリットが大きくなる。

 なお、これまで国内での組込み向けブラウザ市場では、アクセスが多方面で大きなシェアをもち、アプリックスはそれに追従する関係にあった。また、アクセスも独自に情報家電向け製品の技術開発を進めているが、今回のアプリックスとデジタル家電に強みをもつゼンテックの包括的な提携によってアクセスに対する強力なライバルが登場したことになる。市場競争の加速化が、21世紀の技術「情報家電」に強い日本の誕生へと導いてくれることを期待したい。

(宮下知起)

[関連リンク]
アプリックス
JBlendの紹介ページ

ゼンテック・テクノロジー・ジャパン

[関連記事]
KDDIの携帯Java仕様はMIDP、NTTドコモへの包囲網が進む(@ITNews)
NTTドコモがiモードJava携帯端末503iシリーズの出荷を発表 (@ITNews)
J-フォンのJava搭載は2Dスプライト対応 (@ITNews)
携帯Javaは情報家電への挑戦の布石(Java Solution)

 

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)