サン、PtoP技術「Jxta」をオープンソースとして公開

2001/4/28
By Richard Karpinski, Wednesday, April 25, 2001, 6:09 PM ET. TechWeb

 米サン・マイクロシステムズは4月25日,ピア・ツー・ピア(PtoP)コンピューティング向け技術セットのユビキタス“スタック”、「Jxta」を発表した。同社では、この「Jxta」がTCP/IPやHTTPがWWWに拍車をかけたような形で普及することを願っているようだ(2月24日記事参照)。

 同社ではこの取り組みを「リサーチプロジェクト」だと呼び続けているものの,チーフサイエンティストのビル・ジョイ(Bill Joy)氏が(JavaやJiniとともに)ネットワークベースコンピューティングに対する同氏のビジョンを実現するものだとするJxtaにサンが大きな期待をかけているのは疑いのないところだ。Jxtaは,ネットワークのあらゆるピア(サーバから携帯電話まで)同士の相互運用とデータ交換を可能にする汎用プロトコルになることを目指している。

 IM(インスタントメッセージング)やNapster経由の音楽ファイル共有といった、現在人気のあるアプリケーションは,PtoPコンピューティングが有望な技術であることを示している。だがPtoP支持者は,このようなアプリケーションは始まりに過ぎないという。彼らは分散アプリケーションがインターネット経由でシンプルなサービスとして配信される世界を描いている。

 ジョイ氏は,Jxtaに秘められたパワーとTCP/IPやHTTPとを比較しながら,「われわれは発展途上の市場における標準プロトコルの力を過小評価することはできない」と語った。

 サンのチーフ リサーチャー ジョン・ゲイジ(John Gage)氏は,「アプリケーションには移り変わりがあるが,プロトコルはいつまでも残る」と付け加える。

 同社は,ベンダー各社や企業ユーザーが次世代アプリケーションアーキテクチャに関して重要な選択を行おうとしているソフトウェアの世界にJxtaを投入する。数年前のJavaとほぼ同じようなものだ。

 JavaとJxta――サンの幹部はこの2つを比較することを嫌がる。しかし,Jxta(そしてJava)は今後数年間,デベロッパーの関心と資金をめぐってMicrosoftの.NetやHailstorm構想と競争することになるだろう。

 Javaの場合、同社は、コアの開発を社内にとどめ、その後プロジェクトやコードを社外に開放したことで批判を浴びた。Jxtaは最初からオープンソースになる。Jxtaのソースコードと仕様,それにJavaで書かれた初期のリファレンスインプリメンテーションは,人気の高いApache Webサーバと同じオープンソースライセンスによってJxta.orgからダウンロードできる。Jxtaのデベロッパーコミュニティを活性化させるべく,Jxta.orgはベンダーのCollabNetがツールやディスカッションフォーラムを提供するなどサポートにあたる。

 Jxtaは3つの“レイヤー”で構成される。コアのレイヤーには、発見、転送、ピアやピアグループの作成を行うベースとなる基盤部品が含まれる。ミドルサービスレイヤでは、検索やセキュリティといった汎用サービスとのコネクションが提供される。アプリケーションレイヤーではファイル共有,リソース共有,分散ストレージなどといった統合アプリの開発がサポートされる。

 その他のJxtaの重要な概念には,「ピアグループ」(共通のルールセットを使って機能するピアの集合),「パイプ」(ピア間のコミュニケーションを確立するためのメカニズム),そしてJxta「シェル」(コマンドライン・インタープリタによってユーザーがJxtaと対話できるようにするアプリケーション)などがある。

 サンではまた、「公開」Jxtaネットワークを可能にするという。これは、Gnutellaファイル共有システムのように、オープンで便利な環境の中でピアデバイス間を公にリンクするもの。

[英文記事]
Sun Pulls Back Curtain on Jxta

[関連リンク]
米サンの発表(Webキャスト)
jxtaのページ
PROJECT JXTA

[関連記事]
サンのPtoPは「JXTA」、ビル・ジョイが発表 (@ITNews)
Java、Jini、そしてjuxtaposeでコミュニケーションが変わる (@ITNews)
米サン、PtoPベンダーを買収 (@ITNews)
PtoPプラットフォームは不毛の時期こそ効果的? (TechWeb/@ITNews)
PtoPベンダーの課題は価値の証明 (TechWeb/@ITNews)
初の企業向けP2Pソフトを発表、Groove Networks (@ITNews)

Copyright(c) 2001 CMP LLC. All rights reserved

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)