Java、Jini、そしてjuxtaposeでコミュニケーションが変わる
2001/2/24
米サン・マイクロシステムズのチーフ リサーチャー ジョン・ゲージ(John Gage)氏が都内で会見を開き、記者団に先週末に明らかになった同社のPtoPコンセプト「juxtapose」について正式に解説した。同氏は、サンの共同創設者でチーフ サイエンティスト ビル・ジョイ(Bill Joy)氏のスポークスマン的存在で、パブリックな場でサンのコンピューティング哲学について語ることが多い人物だ。
ジョン・ゲージ氏 「生粋のカリフォルニア人」という彼の趣味はサーフィンだそう |
ビル・ジョイ氏は2月15日、米サンフランシスコで開催中だったPeer-to-Peer Conference(主催:O'Reilly)の基調講演にて、「juxtapose」イニシアティブを発表した(2月17日付け記事「サンのPtoPは「JXTA」、ビル・ジョイが発表」参照)。ジョイ氏の発表は予定外だったらしく、@ITをはじめ一部報道でスペルの異なる「jxta」が用いられた。しかし、今後「juxtapose」で統一するとのこと。“juxtapose”とは「隣や近くに並べる」といった意味の動詞。
ナップスターのようなPtoP技術を用いたサービスの登場により、コミュニケーションの方法は大きく変わりつつある。「新しいコミュニケーションの世界の到来は目の前」とゲージ氏、今のPtoPに必要なのは「デバイス間が信頼できるトランザクションのプロトコル」と述べた。
ゲージ氏によれば、「juxtapose」の基本コンポーネントは、「セキュリティ」「アイデンティティ」「グルーピング」「モニタリングとメジャーリング」の4つ。かつてジョイ氏がUNIXのBSDを創ったときと同様、パイプ、プロセス、グループのステップを踏襲する。メタ・データの記述を“コミュニティ・パイプ”で結合し、ネットワークにあるリソースにアクセスしマイグレーションする“コミュニティ・プロセス”を経て組織化(“コミュニティ・グループ”)する。この作業を経て端末間の対話を実現する。
XMLベースの「juxtapose」はオープン・ソースでだれでも参加できる。JavaやJiniとは関係なく、まったく独立したソフトウェアという。TCP/IPなどの伝送プロトコルにも依存しない。「マイクロソフトのように支配するつもりはないし、複雑にするつもりはない」とゲージ氏。「とにかくシンプルにする」と繰り返し強調し、同社ではコア部分だけを提供し、インプリメンテーションはユーザーの自由とする方針であることを語った。サンでは現在、ジョイ氏の下でマイク・クレアリー(Mike Clary)氏を中心に同プロジェクトを進めている。
「Javaはプログラムを動かすことができる言語、Jiniはデバイスが自分自身を記述できるソフトウェア、そしてあらゆるデバイス、コンテンツをまとめたり、他のデータと組み合わせたりするのがjuxtapose」とゲージ氏は語る。
ゲージ氏のケータイはもちろんiモード。ストラップは、Java人形とiモードマークの2種 |
ゲージ氏の今回の来日は、NTTドコモのiモード2周年記念レセプションでのスピーチのためで、“Java”という言葉を広く一般の人にまで広めたiモードの成功を喜んでいる様子。「日本は世界で一番最初にJavaコミュニティを実現した」(ゲージ氏)と語った。通信速度が速くなり、ソニーのプレイステーション2のようなデバイスが普及し、ペタからゼタへ、さらにはエクサ・バイト級のデータ・ストレージがネットワークでつながると大きな変化が起こるという。「われわれは今、その変化の入り口にいる」(ゲージ氏)。
「juxtapose」は今年の4月にappacheライセンス下で発表の予定。6月に開催予定の同社のイベント、JavaOneでも呼び物の1つとなりそうだ。
(編集局 末岡洋子)
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サン・マイクロシステムズ
O'Reillyの発表資料(英語)
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