米国でのモバイル・コマース元年は2002年
2001/5/29
米IDCのワイヤレス&モバイルコミュニケーションズのシニアアナリスト シャルル・ヴァイス(Charul Vyas)氏が5月28日、都内で開催されたセミナー「Wireless&Mobile Commuications」で、米国のワイヤレスサービス市場の動向予測について講演した。
MCは2002年が元年に
ヴァイス氏は期待されるワイヤレス・サービスとして、モバイル・コマース(MC)、ワイヤレス・インターネット、位置情報サービス、インスタント・メッセ―ジング(IM)などを挙げる。ワイヤレスでの広告に関しては、ユーザーは割引などの特典が得られなら広告を厭わないという調査結果を披露しながら、「潜在マーケットは大きい」とした。
モバイル・コマースについては、IDCでは2002年を起点に飛躍的に伸びると予想。2004年には携帯端末の加入者のうち20%がMCを利用し、1人当たりのMCでの支出金額は月額75ドルに達するという。なお、同社の定義するMCとは、携帯端末を用いたワイヤレス・ネットワーク上で完結する取引を指す。株取引を行い、銀行口座から金額を振り込む、財布機能を使い携帯端末で商品を購入するなどはMCとみなされるが、オンラインバンキングによる金額の振り込みは、サービスや商品を購入していないためMCとはみなしていない。
ヴァイス氏は、MCでのユーザーの消費活動はPCとは異なるものになると見る。「PCではブラウズして他のサイトを見て購入していたが、MCの場合はターゲットを絞っての購入活動が主になる」と言う。例えば、送られてきた商品やサービスの情報に基づいて航空券やコンサートのチケットなどを購買するようになるという。
2002年を飛躍の年と見る根拠には、この年に“マイクロペイメント”の導入が予定されているから。マイクロペイメントとは、電子決済機能のことで、これらの機能が端末に搭載されれば小額決済が実現する。
MCが活発に利用されるためには、セキュリティ、認証など安全性の確保が課題に挙がる。また、ユーザーの利用を促進する機能としては先のマイクロペイメント機能のほかに、電子財布機能、位置情報に基づく情報配信を挙げる。eWalletsといわれる電子財布では、ユーザーが自分のクレジットカード情報をいったん入力すればその情報が端末やキャリアのネットワーク内に格納されるため、重複して入力する必要がなくなる。ハード面では、カラー対応機など魅力的な端末の登場も望まれる。
ベンダーに必要なのは息の長い周知・啓蒙活動
ワイヤレス環境で需要が高いアプリケーションについては、添付ファイルのある電子メールの送受信、動画像の送受信、比較ショッピング、イントラネットやインターネットにある自社企業システムへのアクセスを挙げる。また、トップ5には入らなかったが、ワイヤレスの特異性として居場所を把握できる位置情報サービスにも言及した。
これらのアプリケーションやサービスは、通信キャリアや端末メーカー、ソフトウェア・ベンダーなどから提供される。そして提供者側の課題として周知啓蒙の重要性を強調した。同社が行った調査によれば、占いや天気予報などのアプケーションに興味があると答えるユーザーが多いにもかかわらず、どんなサービスが提供されているのかを知らないケースが多いという。「技術に強いユーザー、弱いユーザーとセグメント別に分けられるが、どのユーザーにも、いま現在利用できる技術は何で、将来利用できるようになる技術はどのようなものかを啓蒙していく必要がある」(ヴァイス氏)。
同氏がもう1点強調するのがパーソナライズ化だ。「ユーザーにある程度の柔軟性、操作性を与えることにより、体験のカスタム化、個人化を実現する。それがユーザーを引きつけ、維持できるキーとなる」とヴァイス氏は語った。
(編集局 末岡洋子)
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