日立がAPサーバの新バージョン、eビジネス基盤で攻勢に

2001/6/21

 日立製作所は、アプリケーションサーバの新バージョン「Cosminexus Version 4」を6月22日から出荷すると発表した。また、同時に戦略パートナーと自社内の支援部隊の強化も表明し、Cosminexusをベースとしたeビジネスソリューション提供の拡大に力を入れていく。

 日立は、eビジネスの迅速な推進を実現するBtoB、BtoEパッケージやソフトウェア部品を提供する戦略パートナーの拡大、新規に開設する先端技術者を集めたJava/XMLソリューションセンターによるSI部門への技術的支援、ソフトウェア基盤であるCosminexus、の3つを柱として事業展開していくという。

 今回、日立が新しく提供するCosminexusファミリーのポイントとなるコンポーネント製品は、企業内ポータルの構築を容易にする「Cosminexus Portal Framework」、社内業務と企業間取引をシームレスに統合する「Cosminexus Net Business Integrator」(機能強化)、Open cBank(オープン コンポーネントバンク)パートナーより提供されるEJB部品を利用できる「cFramework」の3点だ。これらの中でも特に注目されるのは、EC−Oneが開発したcFrameworkのバンドルでの提供である。cFrameworkは、EJBコンポーネント部品の相互利用と流通を目指すパートナー・モデル「Oepn cBank」の標準フレームワーク。cFrameworkを利用することで、Oepn cBankパートナーが提供する600種類を超えるソフトウェア部品が利用できる。また、「Cosminexus Net Business Integrator」ではRosettaNetコンソーシアムが策定したSCM用XML標準に対応。今後は、SOAP、UDDIをベースとしたWebサービスにも対応し、業務連携やBtoB連携の業標準に積極的に対応していくことで、ビジネスインテグレーション機能を強化していくという。

 戦略パートナーとしては、前述のOpen Bankパートナーへの参加のほかに、BtoBシステム、eマーケットプレイス構築を目指したデル、インテル、サイバーキャッシュ、日立ソフトウェアエンジニアリングとの協業がある。また、Java/XMLソリューションセンターではSI部門への技術的支援のみならず、Java/XMLなどの標準化やコンソーシアム活動に積極的に参加し、業界標準の策定に協力していく。

 日立は、こらからのネットビジネスの主役はリアルビジネスを実践する既存企業であるとし、そこで展開される新しいeビジネスの形態を「コラボレイティブEビジネス」と名付ける。インターネットを介して企業内組織と企業、顧客(人)がシームレスに結びつき、新たな企業競争力を獲得したeビジネス形態の実践を、Cosminexus Version 4を基盤プラットフォームとして推進していくのが日立の役割だとする。リアルビジネスのネットビジネス化は、既存企業の基幹系システムを中心とするリアルシステムとBtoBやBtoCなどのeビジネスシステムとの統合がキーであり、日立が強い基幹業務や他システム連携についてのノウハウの有無がものをいう場面でもある。アプリケーションサーバの知名度は必ずしも高いとはいえない日立が、ソリューション力でeビジネス基盤提供の勝負に出た形だ。

 今回のCosminexusは、日本独自の動きであるEJBの部品化ビジネスの追い風となると考えられる。また、Open cBankと同様にEJBのマーケットプレイスを目指す「富士通コンポネントセンター」や「コンポーネントスクエア」などの動きにも、少なからず影響を与えそうだ。

(宮下知起)

[関連リンク]
日立製作所
Cosminexus製品紹介のページ

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