アウトソーシング利用企業の半数以上がサービスに不満
2001/6/28
IDC Japanは、国内ITアウトソーシングおよびASPにおけるユーザー調査結果を発表した。同調査によれば、ITアウトソーシング企業の上位3社は日本IBM、富士通、NTTデータとなった。また、半分以上のユーザーが利用サービスに不満を持っている実態も明らかになった。
この調査は、IDC Japanが国内企業543社の情報システム管理者および担当者を対象に行った。対象企業は業種・規模を問わず幅広く抽出した。
アウトソーシング企業のランク付けは、「即座にイメージできるITアウトソーシングベンダ3社」という項目に対する答えに基づく。1位は日本IBM、2位は富士通、3位はNTTデータとなった。NEC、日立製作所といった大手ベンダとともに、大塚商会、CSK、CTCといった企業も高位置に付けているという。
満足度に関しては、調査回答企業でITアウトソーシングサービスを利用している企業を対象に調査した。その結果、ユーザー企業の51.5%が現在利用中のサービスに対し何らかの不満を抱いていることが判明した。
同社ITサービスリサーチアナリスト 五百部宗一氏は、顧客企業とITアウトソーシング事業社間のミスマッチを指摘している。「ユーザーが“何か良いことが起こるのでは”“一石二鳥・三鳥の効果が享受できるのでは”といった過大な期待を抱いているのが現実。ベンダはユーザー企業のこういった現状を直視し、SLA(サービス・レベル・アグリーメント)などを積極的に活用して、顧客に正しい認識を持たせることが重要」としている。
同社はまた、アウトソーシング導入に対してユーザー企業が懸念する点が変化しつつあることを指摘している。過去に同様の調査を実施した際は社内組織の再編などの人事に関する問題が懸念事項として挙がったが、今回の調査ではコスト、社内機密情報の漏えい、IT関連のコントロールを挙げる企業が多かったという。背景には、経済状態が好転しないこともあり、企業組織変革を迫られた企業で意識改革が起こってきているとしている。
ASPに関しては導入率は3%と低い結果となったが、導入を検討している企業は3割以上だという。五百部氏は導入率の低さの原因としてカスタマイズを好む日本市場の傾向、ASP側の柔軟性のなさなどを挙げている。
急速な技術革新、IS部門の受け持ち範囲の拡大・複雑化などにより、アウトソーシング市場は成長しつつある。ITサービス全体のうちでアウトソーシング事業が占める割合は2000年には16%で、処理サービス事業、システムインテグレーション事業に次いで3位だった。同社では2005年には20%となり、システムインテグレーション事業を抜いて2位になると予測している。自社内で開発・管理することを好むといわれる日本企業だが、アウトソーシングをうまく取り入れることがコスト削減以上のメリットをもたらすことは明らかだ。企業側は何とかしてアウトソーシングを利用できないかと思案している。今回のIDC Japanの調査では、ユーザーとベンダ間のギャップが明らかになった。利用企業にも課題はあるが、まずは提供するベンダ主導でこのギャップを埋めていくのが効果的なシナリオと言えるのではないか。
(編集局 末岡洋子)
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