XMLの父が分裂したBtoBの統一を語る
2001/7/26
米サン・マイクロシステムズのジョン・ボザック(Jon Bosak)氏は、XMLを生み出したW3CのSGMLワークグループで議長を務めた人物だ。そのボザック氏が、Webサービスをテーマに7月24日と25日に横浜で行われたイベント「The WebServices Japan 2001」に登場。基調講演で、XMLを基盤としたBtoBの将来像について独自のビジョンを語った。
米サン XML アーキテクト ジョン・ボザック(Jon Bosak)氏。XMLの生みの親といわれている |
ボザック氏は、何よりもXMLがオープンスタンダードな情報基盤であることを指摘。データと、それを扱うロジックを切り離したことにより、より柔軟で安全な情報の記述がXMLで可能になったとした。こうした情報基盤が整備されたことで発展した分野が、企業間商取引、いわゆるBtoBの分野だ。
ボザック氏は個人的な見解と断りながらも、BtoBの進化を3つのレベルに分けて説明した。レベル1はもっとも初期の段階のBtoBで、通信手段、取引相手の検索、取引条件の確認などの標準化が行われることでインフラが整い、従来の電話や電子メールなどの代わりに、これらの標準によるやりとりでBtoBが行われる。「いま現在、われわれはここにいる」と、ボザック氏は指摘する。さらにレベル2では、通信方法や注文書のフォーマットなど、やり取りされるメッセージが標準化され、それらをサポートしたパッケージソフトでBtoBシステムが構築可能になる。レベル3では、人間の介入なしにBtoBプロセスが完了するほどプロセスが自動化されるようになる。
「今年の5月に発表されたebXMLによって、レベル1の機能は提供された」とボザック氏は言う。続くレベル2ではメッセージングの標準化が行われることになるが、現状ではBtoBのための多くの言語が存在しており、それらは相互に互換性を持たないことが問題だという。つまり、コマースワンのcXMLとアリバのxCBL、ロゼッタネットのRosettaNet、マイクロソフトのBizTalkなど、すでに利用されているビジネス言語同士は相互にやりとりすることはできない。
この問題を解決するために必要となるのは「Universal Business Language(UBL)」だという。インターネット上のBtoBに特化し、国際化を最初から視野に入れた、あらゆる業種や取引形態で利用可能なビジネス言語である。
ボザック氏の提案は、UBLを実現するためxCBL 3.0をベースに作業を開始してはどうだろうか、というものだった。その理由としては、xCBLはEDIやRosettaNet、ebXMLなどの既に稼働しているビジネス言語の経験を取り入れており、しかも多くのベンダがxCBLを取り入れているからだという。サン、コマースワン、SAPなどのソフトウェアベンダは、すでにUBL組織委員会を作り、活動を始めようとしているとボザック氏は報告した。
「XMLのビジネスライブラリには標準化が重要だ」(ボザック氏)が、現実にはRosettaNetをはじめ、既に多くのビジネス言語の実用化が進んでしまっている。ボザック氏自身が指摘するように、こうした既存のビジネス言語を排除していくことは非常に難しいだろう。また、あらゆる業種業態にも利用可能なBtoBのインフラを提供するという目標で設計されたebXMLも、仕様が発表されたとはいえまだその実用性は未知数のままだ。こうした状況でのUBLの実現はかなり困難な目標のように思える。が、もしも実現すれば、そのメリットはXMLが登場したときと同じように計り知れないものになるだろう。
(編集局 新野淳一)
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