MCがいよいよ本格化? KDDIらが1万人で実験を開始 

2001/8/23

 ice PAY Japan、KDDI、イーバンク銀行、伊藤忠テクノサイエンス、韓国Woori Technology、プロシードの6社は8月22日、来年春にも携帯電話を利用したモバイル・コマース(MC)・サービス「ice PAY」を開始することを発表した。それに先立ち、今年の11月より1万人を対象に実証実験を行う。6社によれば、同サービスが実現すれば、国内初の決済システムと連動したMCサービスになるという。

「ice PAYモジュール」を指し込んだ携帯電話を手にする6社の代表者。左から3番目がice PAY Japan代表取締役社長(プロシード事業開発部長) 斎藤良弘氏

 6社によれば、「ice PAY」では、携帯電話を財布代わりに利用して、EC(電子商取引)をはじめ、タクシーや商店など実店舗での商取引が実現することを目指す。また、ユーザー間のお金のやり取りも電子メールアドレスを用いて可能となるという。懸念される安全性に関しては、取り引きの度に使い捨ての可変番号を生成することにより確保する。

ice PAYモジュール

 同サービスの仕組みはこうだ。ユーザーは、「ice PAYモジュール」(写真:Woori Technology開発)と呼ばれる暗号アルゴリズムを格納した小型モジュールを既存の携帯電話に装着してサービスを利用する。MCの場合、KDDIのEZWeb上の「ice PAY」ポータルにアクセスし、ポータル内のショッピングサイトでショッピングを行う。注文情報がサイト運営者に送られると、ice PAY Japanが認証代行業務を行い、認証情報と資金移動指示をイーバンク銀行に送る。イーバンク銀行がユーザーの口座から加盟店口座に出金を行う。実店舗での利用の場合は、ユーザーは支払い時にモジュールを店舗側に渡し、店舗側のau端末で操作することになる。

 ice PAY JAPANでは、同サービス利用のメリットとして、既存の携帯端末で安全で簡単なMCやモバイルバンキングが実現できることや、加入に年齢制限などの制約がないことを挙げる。また、実店舗を含む商品提供側には、モジュールに特定URLを記憶させることにより誘導が行えることや顧客属性情報の容易な入手によるマーケティング面でのメリットがあるという。

 11月より開始する実証実験では、ユーザビリティや決済手段としての実現性、マーケティング手段としての実用性などを評価する。これにより得られたフィードバックを2002年春の商用化で反映させていく。また、実証実験中に得られたデータは、インターネット視聴率調査会社ネットレイティングスと提携し、プロパティ別やドメイン別の全サイト利用状況、ユーザー属性分布の把握に役立てる。

 実験には実店舗を含め17社が参加を表明している。ユーザー1万人のうち5000人は公募する(詳細はice PAY Japanのサイトを参照)。実験ではKDDIと組むが、商用化の際は他のキャリアにも広く提供していく予定。

 ice PAY Japanは、このサービスの開発・運用にあたり、Woori Technologyとプロシードが合弁で設立した新会社。実証実験の事務局の役割も持つ。発表の席で6社の出席者は「来春までが日本のMC元年となるだろう」と、意気込みを見せた。

[関連リンク]
ice PAY Japanの発表資料
KDDIの発表資料
イーバンク銀行
伊藤忠テクノサイエンス
Woori Technology
プロシード

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