「ストレージ史上の一大進化」、EMCの新ビジョンは“オートIS”

2001/8/24

 ストレージ大手の米イーエムシーは8月初め、次世代ストレージのビジョンとして“オート・インフォメーション・ストレージ”を提唱していくことを発表した。8月22日、同社 上級副社長CT0 ジム・ロスニー(James B. Rothnie)氏が来日し、この新しいビジョンについての説明を行った。

 情報量は日々拡大する一方で、ストレージの専門知識を持つ人材は相変わらず不足している。ストレージの管理は、企業が頭を悩ませてきた課題の1つだ。ストレージ最大手を自負するEMCでは、過去10年間この分野に最大規模の投資を行い解決を図ってきた。そしてこれまでに、ストレージ密度の拡大、ネットワーク化などの対策を提供してきた。その延長線上で、ストレージ管理を根本から見直して到達したビジョンが“オート・インフォメーション・ストレージ(オートIS)”。“オート”はオートメーテッド(Automated)の省略で、和訳すると“ストレージ管理の自動化”になる。

米EMC上級副社長CT0 ジム・ロスニー氏 “オートIS”ビジョンは米国で開催された同社年次会合で、400人のアナリストらを前に発表されたもの

 「5年前、ストレージ管理者1人が管理可能な情報量は100ギガバイトだった。その後、ストレージのネットワーク化により6〜7テラバイトに拡大した。オートISが実現すれば、その規模は数百テラバイトに達するだろう」とロスニー氏。

 オートISの2つの特徴は、データの抽象化とデータ移行。データの抽象化では、通信網が“雲”に例えられるように、ストレージでも“ストレージ雲”を目指す。つまり、通信の場合、利用者は、“雲”の中では何があるのか/何が行われているのか/変更されたのか、などを気にすることなく利用できる。ストレージでも、物理的・論理的な構造を意識せずとも利用できることを目指すというのだ。「これにより、システムは驚くほどシンプルになり、管理は容易になるだろう」(ロスニー氏)。

 もう1つのデータ移行(モビリティ)では、データのリルート(再迂回)を自動化する。これにより、高性能を実現し、変更への対応が容易になるほか、費用対効果の面でもメリットがあるという。

 EMCではハイエンド製品「Symmetrix」で、これらデータの抽出とデータ移行を単一筐体で両立している。将来的にはこの2つをネットワークで実現していく。「ネットワークそのものの性能の向上、設定・変更の簡素化を実現する」(ロスニー氏)。そうなると、新しくハードを追加した際も、ネットワークが認識して設定を行ってくれるようになる。

 オートISビジョンを実現する製品は3つある。データ移行は「SRDF」/「MirrorView」と、I/Oリダイレクタのメカニズム「PowerPath」で実現する。また、制御に関しては「ECC(EMC Contorol Center)」が対象となる。製品は順次投入されるが、全製品がそろうのは来年末を予定している。

 「このビジョンがもたらす意義は大きい。ストレージ管理という顧客の長年の問題を解消されるのだ。オートISはストレージ市場を変革するものだ」。ロスニー氏はEMCが今後も市場を牽引して行くと自信を見せて締めくくった。

(編集局 末岡洋子)

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イーエムシー ジャパン

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