富士通から検索ソフト事業がスピンアウト

2001/8/28

 富士通とインキュベータのサンブリッジは8月27日、富士通の社内ベンチャー制度により、同社の開発グループが中心のソフトウェア会社を設立したと発表した。会社名は「アクセラテクノロジ株式会社」で、株主構成は、議決権ベースで起業家47.6%、富士通が40.5%、サンブリッジが11.9%。同社は同日より、ビジネス用検索ソフトウェア「eAccela BizSearch」の販売を開始する。

左からサンブリッジ代表取締役社長 アレン・マイナー氏、アクセラテクノロジ代表取締役社長 進藤達也氏、富士通常務取締役 前山淳次氏 富士通前山氏は「スピンアウトにより優秀な人材が流出するとは思わない。富士通の枠組みを超えるためには分離独立する必要がある」と語る

 新会社は、富士通が実施している「スピンアウト・プログラム」により設立される。同プログラムは、富士通内の優秀な技術を発掘し、独立したビジネスにするという全社的なもので、2000年10月に開始された。すでに新会社を含む5社が同プログラムを利用して設立されており、ソフトウェア・ビジネスとしてはアクセラテクノロジが第1号という。

 新会社は、eビジネス分野の検索にフォーカスして事業を展開する。ベースは、1997年に富士通が開発したスーパーコンピュータ向けの検索システム。同システムは、1999年に「IntelligentSearch」として一般に販売され、2000年には財団法人 ソフトウェア情報センター(SOFTIC)の「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー 2000」を受賞、300社の導入実績を持つ。新会社では、「IntelligentSearch」の上位製品として、XMLをサポートした新製品「eAccela BizSearch」を開発した。標準の検索ソフトの5〜10倍の高速性とビジネス用途に特化し、検索に漏れがないことが特徴。今後は、BtoB、BtoC用途の電子カタログやSCMでの伝票自動チェック、eCRMでのWebでのセルフサービスなどに分野を絞って開発・販売事業を行う。

 インキュベータのサンブリッジは、資本面、経営面、ビジネス面での広範な支援を行う。アクセラテクノロジはサンブリッジの提供するベンチャー企業集合施設「ベンチャー・ハビタット」にオフィスを構え、ブランドの確立、富士通の枠にとらわれないオープンなビジネスの立ち上げなどに関して支援を受ける。今回の支援について、同社代表取締役社長 アレン・マイナー氏は「18カ月間の案件の中で、初めて全投資条件をクリアした案件だった」と述べ、新会社の技術やターゲット市場、人材を高く評価した。

 アクセラテクノロジは、年率30%で成長し、2003年度に売上高20億円、単年黒字達成を目標とする。

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